猫にひっかかれた後に傷が腫れあがってきたら、要注意!
猫と暮らしていれば、腕にひっかき傷ができるのは日常茶飯事。特に、半袖や薄着になる春夏は、増えがちですよね。でも軽く考えがちなその傷から猫が持つ病原菌に感染して「猫ひっかき病」を発症するリスクがあることをご存じですか?
愛知県衛生研究所生物学部のレポートによると、「猫ひっかき病」とは、ネコにひっかかれたり、噛まれたり、飼い主の傷を猫に舐められたりしたことで発症するリンパ節炎のこと。ひっかかれた10日後くらいから傷が赤く腫れてきます。次に手の傷なら脇の下のリンパ節が、足の傷なら足の付け根のリンパ節が腫れ上がり、時には腫れた部分が鶏の卵くらいの大きさになることもあるそうです。
また多くの場合、微熱が長く続き、全身倦怠、関節痛、吐き気等が起こります。怖いのは、妊婦や免疫力の落ちている方は重症化することがあり、髄膜炎や内膜炎などの合併症を引き起こす可能性があるということ。自然に治ることが多いのですが、治るまで数週間から場合によっては数ヶ月かかることもあるそうです…。
全国で、約2万人が「猫ひっかき病」に感染している⁉
この病気の病原体は長いこと不明でしたが、1992年にグラム陰性の桿菌であるバルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)であることがわかりました。日本では猫の9%~15%がこの菌を保有しているとの報告もあり、愛知県衛生研究所の推計では猫ひっかき病患者数は全国で年間2万人程度。夏から初冬に多く、これは猫につくノミの繁殖と関係があると考えられています。またこの時期は、春に生まれた子猫が外を出歩くようになる時期ですので、猫の間で広がり、人に感染させているのではないかとも考えられています。
この病気は世界的にも多く、アメリカの緊急動物病院「BluePearl Pet Hospital」の2021年のペット健康トレンドレポートによると、猫引っかき病の発症が8月から11月にかけて増加することが確認されています。これは、暑くなると肌の露出が増えて引っかき傷ができやすいことや、暖かいと猫がより活発になることが原因と考えられています。
リスク回避のために、月1回程度の爪切りを
猫ひっかき病予防対策として非常に重要なのが、月1回程度の猫の爪切りです。そもそも猫の爪が伸びすぎると、以下のようなリスクが高まります。
*カーテンやカーペットなどの布類に爪が引っかかり、爪が根元から折れて怪我をする
*巻き爪になると、爪がデリケートな肉球に刺さってそこから化膿する
*複数飼育だと、猫同士のケンカやじゃれあいで怪我をする
とはいえ、ネコの飼い主224名を対象にした「ネコを飼う上で困っていること」アンケートによると、困りごとの第1位は「爪切り」で6割の方が難しいと回答しています。
※ネコの飼い主224名を対象にした「ネコを飼う上で困っていること」アンケート 株式会社クロス・クローバー・ジャパン調べ 2023年12月
そのため、猫の飼育本には、爪切りを成功させるための以下のような涙ぐましいまでのテクニックが紹介されています。
・活動が盛んな時間帯を避け、リラックスしている時間帯を狙う
・普段から足を触られることに慣れさせておく
・1回で全部の爪を切ろうとせずに、少しずつこまめに行う
・肉球を押して爪を出し、切りやすくする
・先端の尖ったところだけを切る
・親指は嫌がられるので、小指から切る
・爪切りを始める前にご褒美をあげる
などなど…。とはいえ、これほど工夫しても嫌がられて、爪切りができずにいる飼い主も多いのが実情です・