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JR東日本が2030年度に導入予定の「水素ハイブリッド電車」とは?

2024.07.30

水素ハイブリッド電車

 JR東日本は2022年3月から営業路線での実証試験を行なっている、国内初の水素ハイブリッド電車『HYBARI』を2024年2月にマスコミ公開した。

 水素ハイブリッド電車とは、水素と酸素を化学反応させて発電する燃料電池と、電力を蓄える蓄電池を搭載した車両のこと。燃料電池と蓄電池から電力を得て走るので、二酸化炭素を発生させないのだ。

『HYBARI』は燃料電池車『MIRAI』を市販しているトヨタ自動車と、鉄道車両を手掛ける日立製作所と連携して、JR東日本が開発。最高速度は時速100㎞で、水素タンクをフル充填した状態では約140㎞走行できる。これは試験車の性能であり、JR東日本によると実用化までに改善をめざすという。2030年度の実用化を予定し、「いつまでに何台を導入するなどの計画については検討中」(JR東日本・広報)としている。

 JR東日本は、新たに水素ハイブリッド電車を導入する理由について、

「『脱炭素社会』へ貢献し、エネルギー源を多様化する一環でも水素の活用を推進しており、そのひとつとして水素ハイブリッド電車『HYBARI』を開発、営業投入をめざしています」

 と、環境面を理由のひとつに挙げた。『HYBARI』をどの路線で運用するのかは検討段階だが、二酸化炭素を排出するディーゼルエンジンを搭載した気動車を置き換え、電化されていない区間を走る可能性は高い。

 問題は水素を供給する水素ステーションの設置だが、

「水素供給会社と連携し検討中ですが、水素ハイブリッド電車をはじめ、多様なFC(燃料電池)モビリティー(乗用車・バス・トラックなど)へ水素を供給する『総合水素ステーション』を想定しております」(JR東日本・広報)

 これをふまえると、他業種と連携して広い地域にわたって一気に水素ステーションを設置し、短い期間で既存の気動車を水素ハイブリッド電車に置き換える可能性もありそうだ。

 電化するより安価で脱炭素化できる水素ハイブリッド電車の普及は早いかもしれない。水素ステーションの設置を加速させ、燃料電池自動車など他業種にも影響を与えそうだ。

JR東日本『HYBARI(ひばり)』

JR東日本『HYBARI』トヨタ自動車の燃料電池技術と、日立製作所の鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術を活用し、総合車両製作所が製作。HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovationの頭文字から名づけられた。

実証試験は南武線、鶴見線で実施

JR東日本『HYBARI』南武線と鶴見線で走行試験を実施。車両の性能や安全性の確認に加え、地上設備の検討や将来に向けたデータ収集も行なっている。試験車両なので、一般の方は乗車できない。

燃料電池ハイブリッドシステム

燃料電池ハイブリッドシステム燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電する。トヨタ自動車は自動車だけでなく、フォークリフトやバスにも燃料電池を活用している。

HYBARIHYBARIは2両編成。1号車にハイブリッド制御に関するシステムを搭載し、2号車には水素に関する装置を積む。

取材・文/金子長武 写真提供/JR東日本

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