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上質な乗り心地と文句なしの静粛性!圧巻の完成度に驚いたホンダの新型コンパクトミニバン「フリード」

2024.07.19

ステップワゴンに乗っているかのような安定した乗り心地

さて、新型フリードe:HEV AIR EXのFFモデルを走らせれば、まずは唐突感のない穏やかでスムーズかつ静かなEV走行でスタート。スムーズで静かな発進はハイブリッドモデルなら当然ともいえるのだが、そこにアクセルレスポンスの穏やかさが加わったところが新型フリードらしさ(変速機の違いもある)。つまり、乗員が前後に揺すられにくい走りになるというわけだ。加えてすっきり、ゆったりとしたパワーステアリングの操舵感、そしてリニアシフトコントロールがもたらす加速時のスムーズ、気持ち良さも見どころ。つまり、ステアリングを切った時のクルマの動きが、これまた穏やかで(同乗者の安心感、快適性につながる)、先代フリードの2ペダルMT、i-DCDに見られたギクシャク感とはもうさよならである。もちろん、アクセルペダルを深々と踏み込めば、ライバルのシエンタの3気筒に対して4気筒となる1.5Lエンジン106ps、13.0kg-m+モーター123ps、25.8kg-mのスペックによる加速力は2Lエンジン並みと言っていい。

乗り心地は想定外の快適感に感動できる。先代は上屋がふわふわするシーンもあったのだが、新型はフラットかつクラス上のゆったりとした上質さある快適無比の乗り心地を示してくれるのだ。荒れた路面、首都高の段差、セブラゾーンでのショック、振動も最小限で、まるでより大型のミニバン、そう、ステップワゴンに乗っているかのような乗り味なのである。

と書くと、カーブではふわふわした挙動を示すのではないかと思いがちだが、そうではない。カーブでは4輪のタイヤが路面にピタリと張り付くようなトレース性、文句なしの安定感を見せ、重心を感じさせないことから、余裕をもってカーブをクリアすることができる。カーブの運転が苦手なドライバーもこれなら安心、カーブ恐怖症をクリアできるのではないだろうか。ちなみに活発な走りでS字カーブを走り抜けるようなシーン、あるいはキビキビしたレーンチェンジを試みるシーンでも、リヤタイヤがしっかりとねばり、ステアリングを切る、戻す場面でも”おつり”のない安定しきった走りを見せてくれるあたりは、なるほど、ミニバンでも走りにこだわるホンダ車である。その上で、新型フリードでは、走りのダイナミクスを運転席中心でなく、ミニバンの特等席となる2列目席にもフォーカスして開発したというのだから、見識がある。

新型フリードで素晴らしすぎる乗り心地の良さとともに感動したのが、パワーユニットからのノイズ、ロードノイズの侵入を含めた車内の上級車並みの静かさだった。EVモードでは当然としても、エンジン始動時、そしてエンジンを高回転まで回しても、車内はうるささとは無縁。遮音・吸音にこだわり、進化させているのは当然として、実は走りのダイナミクスとともに、車内の静粛性もまた、ミニバンの特等席となる2列目席にフォーカスして開発されたというのだ。実際、2/3列目席で市街地を走行したのだが、1-3列目席間の会話も小声で容易だった。とにかく、静音ミニバンと呼んでいい車内の静かさが、新型フリードの大きな特徴、魅力のひとつとなることは間違いないところ。静かに走るクルマは、ロングドライブ、高速走行を含め、車内のうるささによるストレスが軽減されるメリット絶大なのである。

そんな車内の快適性をさらに高めてくれるのが、エアーEX、クロスター3列シートに装備される、クラス初、フリード初のリヤクーラーだ。これは前席でもON/OFF、調整できるのが美点で、大空間ゆえの暑い時期の後席の空調環境を激変させる効果ありである(ライバルのシエンタはサーキュレーターのみ)。暑がりの人はもちろん、1年中毛皮を着ている愛犬にとっても理想的な後席居住空間となりうるだろう。

先進運転支援機能も一段と充実している。新たに電子パーキングブレーキとメモリー付きオートブレーキホールド機能を備えたことで、ACC(アダプティブクルーズコントロール)に渋滞追従機能が加わり、また、日常域での信号待ちなどでブレーキを踏み続けなくていいのだから、運転にかかわるストレス低減に大いに役立ってくれるはずである。

そんな新型フリードは、繰り返すが、上質な乗り心地、文句なしの車内の静かさ、2列目キャプテンシートの用意など、このクラスのコンパクトミニバンとして、圧巻の魅力、商品力、完成度を備えていると断言できる。ファミリーユースにはもちろん、愛犬家と、1年中毛皮を着ていて暑がりで、聴覚に優れた愛犬にもうってつけの1台である。多人数乗用車としてのお薦めグレードは、今回試乗した、リヤクーラーを装備するe:HEV AIR EXのFFモデルとしたい。

なお、クロスオーバーテイストを強めた新型フリードのクロスター、それもアウトドア、車中泊に適する2列シート、5人乗りの4WDモデルの試乗記については改めてお伝えしたい。

ホンダ・フリード

文・写真/青山尚暉

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