アダプティブモードが設定できる回生ブレーキ
アダプティブモードが設定できる回生ブレーキも優れていて、使いやすい。違う名前で他メーカーのクルマにも搭載されているが、前車との車間距離や加速度、減速度などとの違いをカメラやレーダーが自動的に検出し、回生ブレーキを加減する。安全と燃費の両方に寄与する最新の電動車ならではのデバイスだ。体験してしまうと、付いていないクルマには戻りたくなくなる。
これまでのエンジン車の常識では、コンパクトなクルマにはボディが小さめであることやエンジンが小さく非力であることを主な理由とする限界が自ずと現れていた。乗り心地が粗野な上にうるさくて、遅かった。でも、EVはそれらの短所をすべてカバーするだけでなく、それにプラスして長所をアピールできている。電気モーターは力強く、音もなくて滑らかだ。重たいバッテリーを床下に収納しているからフラフラすることもなく走って、安定性が高い。
エンジン版のMINI「COOPER」には乗っていないけれども、根本的に違うのだから較べても仕方がない。あまり大きくなくて、上質なクルマを探している人には、MINI「COOPER SE」は有力候補の一台になるだろう。自宅で充電できるかどうかがハードルになるけれども、それは他のEVでも変わらない。それよりも、MINI 「COOPER SE」で問われるのは車内スペースだ。空間効率よりもあの造形が優先されているので、見た目ほど中は広くない。後席を頻繁に利用したり、荷物が多い人には5枚のドアを持つ別の「MINI」のEVと比較検討する必要が生じてくるだろう。
でも、それがMINIに乗るということなのだ。あのカタチとイメージを受け入れつつ、上質な運転感覚が得られるのがMINI「COOPER SE」であることがわかった。それでも、新型はデザインやインテリアなどにも新基軸をいくつも盛り込んでおり、機会を探して日本でも試してみたい。
■ 関連情報
https://www.mini.jp/ja_JP/home/mini-electric/index.html
文/金子浩久(モータージャーナリスト)