日本では初めてとなるMINI「COOPER」のEVに、先日、バルセロナで試乗した。3ドアボディの「MINI COOPER」としては10年ぶりとなるモデルチェンジが行なわれた。これで4世代目となる。日本仕様としてもエンジン版とEV(電気自動車)版が2グレードずつ用意されていることは、すでに3月に発表されている。
エンジン車より安いEVの価格にも注目
エンジン版は、最高出力115kW/5000rpm、最大トルク230Nm/1500-4600rpmを発生する1.5L3気筒エンジンを搭載する「COOPER C」(価格396万円。以下、消費税込)と、最高出力150kW/5000rpm、最大トルク300Nm/1450-4500rpmを発生する2.0L4気筒エンジンを搭載する「COOPER S」(価格465万円)。
一方、EV版の「COOPER E」は、最高出力135kWと最大トルク290Nmを発生する電気モーターで前輪を駆動し、0-100km/h加速が7.3秒(価格463万円)と「COOPER SE」は最高出力160kW、最大トルク330Nmを発揮するやや強力なモーターを搭載し、0-100km/h加速は6.7秒。価格は531万円。
EVで気になる航続距離も、日本仕様では「COOPER E」が344km(WLTC値)であるのに対して「COOPER SE」は容量が大きな分446km(WLTC値)となる。偶然だろうけれども、ガソリン版の「S」(465万円)の方がEV版の「E」(463万円)よりも価格が2万円高い。
BMWに限らず、同じシリーズにエンジン版とEV版が用意されている場合にはEV版の方が定価が高くなるものだけれども、グレードや仕様の違いを考慮しなければ、このようにEV版の定価の方が安くなる場合も出てきたのだ。
地域による補助金の違いなどもあり、いちがいに定価の高低を比較してもあまり意味はないのだが、EVが珍しいものでなくなり、パーツや製造工程でのコストダウンが進めば、この傾向はさらに続くだろう。そして、それがいつのことになるかわからないけれども、やがてEVの製造コストの方が圧倒的に安くなると、エンジン車はちょうど現在の高級機械式時計のように高価なものになっていくのかもしれない。
EV(電気自動車)版であるMINI「COOPER」の上級グレードである 「SE」にスペインのバルセロナ郊外で乗った。その走りっぷりは、EVらしく滑らかで静かな加速であるのは当然として、SUVと違って車高や重心が低いこともあって安定感が高く、加減速やコーナリングなどに伴ったボディの前後左右への揺れ動きも小さく、とても上質なものだった。
運転支援機能は最新のBMWそのものなので、渋滞時のハンズオフが可能だ。インターフェイスに大変に優れており、ユーザーフレンドリーでとても使いやすいことは、同じものが搭載されている、2023年に登場したBMW「iX1」で高く評価したばかりだ。