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『疲弊』は主に、人や経済の状態を表す際に使われます。
文脈などから何となく意味が分かっても、詳細なニュアンスを理解できていない人もいるでしょう。疲弊の意味が分かると、語彙を増やせます。言い換え表現や使い方、例文などを見ていきましょう。
疲弊とは?意味と言い換え表現を解説
心や体の状態に関する日本語は多く、疲弊(ひへい)もその一つです。疲弊の意味や言い換え表現を見ていきましょう。
■心身が弱っていること
疲弊とは、心身ともに弱っている状態を指します。軽度の疲労ではなく、活力をなくして弱っている様子を指す言葉です。
『疲』には疲れること、『弊』にはボロボロになる、体がぐったりするなどの意味があります。心身状態以外に、経済状態が悪化している場合にも使うのが特徴です。
日常会話の中で出てくるというよりは、文章表現の中に登場する機会が多い傾向があります。例えば、新聞やニュースなどで経済や財政に関する状況を述べる際に、『経済が疲弊している』という表現が使われます。
■疲弊の言い換え表現「疲労」「憔悴」「過労」
心身の疲弊に似た言葉に、疲労・憔悴(しょうすい)・過労などがあります。それぞれ、微妙にニュアンスが違う点を押さえておきましょう。
- 疲労:筋力や神経の使いすぎにより、本来の機能を発揮できなくなること
- 憔悴:ストレス・疲労・病気などによって、やつれているさま
- 過労:働きすぎによって疲れがたまること
経済や財政について語るときは、『逼迫(ひっぱく)』も疲弊と近い意味で使われます。事態にゆとりがないときや、行き詰っている様子を伝える際によく出てくる表現です。併せて覚えておきましょう。
疲弊の使い方や例文
疲弊の意味と併せて使い方や例文を押さえておくと、実践で役立ちます。心身が疲弊しているときに使う場合と、経済に対して使う場合、それぞれの例文を見ていきましょう。
■心身が疲弊している場合
疲弊は、心身が疲れ切っている様子を表したいときに使用します。自分の状態を指すときだけでなく、他者に対しても使える表現です。
【例文】
- 彼はプロジェクトのプレッシャーで精神的に疲弊してしまった
- 過密スケジュールで働き続けた結果、彼女の体は完全に疲弊していた
- 経営陣は度重なる不祥事により、疲弊感を隠しきれない様子だ
- 彼女は優秀だが、このところ慣れない仕事で疲弊気味になっていると感じる
疲弊感は疲労のせいで勢いを失っている雰囲気を指し、『疲弊感が漂う』のように使います。疲弊気味は、疲労がたまっている傾向にあるときに使用します。
■経済などに使う場合
疲弊は財政や国力の状況について解説する際などにも使用します。使い方や例文を押さえておくと、ビジネスシーンで経済の話題に上がったときに役立ちます。
【例文】
- 経済の停滞が続き、多くの中小企業が疲弊している
- 長引くデフレが国の経済を疲弊させている
- 都市部への一極集中や人口減少により、地方経済の疲弊が進んでいる
上記のように、財政や国力などの活力がなくなり、弱っている状態を指すときに使いましょう。
経済が疲弊した状態が続くと、企業の倒産や貯蓄の減少につながります。地域経済が立ち行かなくなれば、雇用が減り過疎化が進む原因になります。
疲弊したときの対処法
心身が弱っている際は、休息や気分転換が必要です。早い段階で対処した方が、早い回復が見込めます。疲弊していると感じたときの対処法を見ていきましょう。
■生活習慣を改善する
疲弊していると感じたときは生活習慣を見直し、睡眠時間をしっかりと確保しましょう。休日にまとめて睡眠を取るよりも、毎日必要な分の睡眠時間の確保が求められます。
仕事やプライベートが忙しいと睡眠時間を削りがちですが、人の心や体は十分な睡眠が得られないと不調を起こしやすいので、無理は禁物です。
また、栄養バランスを考えた食事を取るようにしましょう。食べたり飲んだりしてストレスを解消しようとすると、食生活が乱れてしまいます。不足しているものはないか注意しながら、偏りのない食生活を心掛けることが大切です。
■ストレス解消をする
疲れをため込まないようにするには、自分の好きなことや気分転換をして、定期的にストレス解消をするのが大切です。『芸術鑑賞をする』『レジャーへ出かける』など、趣味に没頭する時間をつくりましょう。
山や海などの壮大な自然に触れると、自分の悩みが小さく感じられる効果にも期待できます。好きなことに集中すると、精神的な疲弊を回復しやすくなります。
遠くへ出かける時間的な余裕がない人は、身近で済ませられるストレス解消法を取り入れましょう。『読書をする』『動画を見る』『ぬるめのお湯にゆっくりと浸かる』など、家の中でも手軽にできるストレス解消法を見つけるのがおすすめです。
■軽いストレッチや運動を行う
簡単なストレッチや軽い運動は、疲弊・疲労を和らげてくれます。体を動かすと余計に疲れそうだと思われがちですが、適度な運動により体だけでなく気持ちもリフレッシュできます。
気持ち良いと感じられる範囲でやめておくと、疲労が蓄積せずに済むでしょう。仕事中は同じ姿勢を長時間続けないように、『肩を回す』『伸びる動作をする』などの適度なストレッチをする方法がおすすめです。
また、就寝前などに軽い運動をすると体が温まり、疲労が回復しやすくなります。運動を面倒だと感じやすい人は、習慣化を目指しましょう。やらなければと思うと億劫ですが、習慣化すれば『やらないと落ち着かない状態』になり、無理なく続けられます。
疲弊の意味を理解して正しく使おう
疲弊は疲労によって、心身ともに弱っている状態を指す言葉です。
経済を語る際にもよく使用され、新聞やニュースなどでも耳にする機会があります。意味を理解して正しく使いましょう。疲労・憔悴・過労なども近い意味で使われるので、状況に合わせて使い分けることが大切です。
仕事やプライベートが忙しすぎると、疲弊する原因になります。心身が弱っている状態では、本来のパフォーマンスを発揮できません。睡眠不足の防止や軽い運動、ストレス解消などを生活に取り入れ、心身の状態をメンテナンスしましょう。
構成/編集部