いよいよ今年も猛暑が近づいてきた。特に外回りや外での作業が多いビジネスマンは熱中症対策の準備に意気込んでいることだろう。熱中症対策といえば、こまめな水分摂取やネッククーラーなどのアイテム使用の方法があるが、意外と間違った行動していることもあるかもしれない。
そこで脱水に詳しく、著書『いのちを守る水分補給~熱中症・脱水症はこうして防ぐ』を通じて熱中症予防を啓発している医師、谷口英喜氏に、間違って行われているかもしれない熱中症対策について、正しい方法を教えてもらった。
水だけ・塩飴だけはNGだった!
熱中症予防策といえば水分や塩分をこまめに摂取するのが良いといわれる。しかし勘違いされやすいことがある。それは水だけを飲む、もしくは塩飴だけを舐めるといった片方だけの対策だ。水を飲めば良い、塩を舐めておけば良いというわけではない。両方を適度に摂取することが重要なのだ。
まず暑熱環境で汗をかいて失われた水や電解質、ビタミンを補うことを意識する必要がある。そのため、日ごろから電解質であるナトリウムやカリウム、マグネシウム、ビタミンB1を意識して摂取しよう。
特にナトリウムは塩分に含まれているため、塩分を適度に摂取しつつ、水分補給を心がけよう。そうしなければナトリウムは体内に吸収されにくく、まだ残りにくくなるという。
水だけを大量に摂ると、いわゆる水中毒になってしまい、体内の塩分濃度が極端に下がってしまうことで、低ナトリウム血症を起こすリスクもある。水分を1時間に1リットル以上飲むと危険だという。
逆に塩分ばかりをとって水分を摂取しないのもリスクがあるという。水分が実質的に補給につながらないため、これもまた危険な状態になってしまうのだ。
おすすめなのは、塩飴を舐めるのであれば1つに対してコップ一杯の水分を合わせて摂ることだそうだ。
また水をたくさん飲むときには、塩分の含まれたドリンクや食事も合わせて摂取することを心がけよう。
熱中症対策におすすめの栄養素は?
先ほど日ごろの栄養摂取が重要だと述べたが、長期的な視野で偏りのない食事を心がけ、栄養をしっかり摂ることも重要だという。
特に1年中、おすすめの栄養素がタンパク質とタウリンだそうだ。
たんぱく質は筋肉を作る働きがあると知られているが、筋肉は身体の中で水を貯蔵する重要な役割がある。現に、体内の水分は、半分弱の量が筋肉に貯蔵されるという。筋肉量を増加させるタンパク質を摂取して体動かし、筋肉を維持することを心がけることは、熱中症予防になるのだ。
ただし、注意が必要なのは、タンパク質は熱中症になってしまった後はNGということ。体温をさらに上昇させてしまう恐れがあるからだ。よく覚えておこう。
タウリンは、牡蠣やあさりなどの魚介類に多く含まれる栄養素で、疲労回復や身体機能の調整のほか、深部体温が低下することが近年、研究からもわかっているそうだ。このことから熱中症対策にも役立つことが考えられる。
タウリンといえば、市販の栄養ドリンクにも含まれるため、それを摂取するのも良いという。