数年前から続くインダストリアルスタイルやカフェ風インテリアブームにより、人気が再加熱しているヴィンテージ&アンティーク家具。もともと環境意識の高いヨーロッパ諸国では良いモノを長く、リペアしながら大切に使うのは一般的なことで、実はサステナブルやエシカル思想のさきがけでもある。
そこで今回は、ヴィンテージ・アンティーク家具の特徴や大量生産品にはない魅力、環境保護の観点から見た良さなどについてまとめた。記事の後半では、アンティーク・ヴィンテージ専門店であり、オープン前からインスタグラムで話題になっていたオンライン限定ショップ『TIME HYPE』さんに伺ったお話もご紹介しているのでチェックしてみてほしい。
ヴィンテージとアンティークの違いとは?
「ヴィンテージ」や「アンティーク」は共に古くて価値のあるものを指すときに使われる言葉だ。ただし、実は意味や使われ方が違うことはあまり知られていない。
【ヴィンテージとは?】
もとは品質の良い(上質なブドウが収穫された年に造られた)ワインを指す言葉で、語源はフランスの「Vendage」。そこから転じて、高品質で年月を経ても価値のあるインテリアや布製品、楽器などをヴィンテージと呼ぶようになった。製造から100年以下のものがヴィンテージと呼ばれることが多いが、明確な定義はない。
例)1940~1960年代頃のミッドセンチュリー家具
【アンティークとは?】
ラテン語の「Antiquus」が語源。GATT(関税および貿易に関する一般協定)においては、製造から100年以上経過した美術品や工芸品のこと。ただし、アンティークの文化が根付くヨーロッパでは100年経過しているか否かは関係ないことが一般的。伝統的な装飾や技法で造られた歴史を感じさせるもの、美術的価値が高いものなどがアンティークと呼ばれている。
例)1930年代に造られた英国アンティークのワインテーブル
見た目だけじゃないヴィンテージ・アンティーク家具の魅力
1点1点、見た目も国も材質も異なり、高価なものから手の届きやすいものまで様々なのがヴィンテージ・アンティーク家具の面白さ。デザインの美しさはもちろん、他にも豊富な魅力がある。
■ 唯一無二の希少性
画像提供:TIME HYPE
ヴィンテージ・アンティーク家具は、それが人に使用されていたかどうかに関わらず、経年による変化が起きている。例え同じ素材・デザインの家具だったとしても、置かれていた環境によってその変化は異なるのだ。加えて売りに出される際、リペアやメンテナンスを施す家具職人によっても姿が変わる。
一方、大量生産された新品の家具の場合、むしろ個体による差異ができる限り出ないよう、いつ・誰が・どこで購入しても同じクオリティのものが手に入るよう作られている。それはそれで良いところはたくさんあるが、世界にただ1つのヴィンテージ・アンティーク家具との出会いに希少性を感じているファンは多いだろう。
■ 何十年何百年と使い続けられる品質の良さ
画像提供:TIME HYPE
一般的に、大型家電の寿命は10年前後といわれている。小型家電や家具の場合、1年~3年、長くても5、6年というものが多いだろう。それは、「買い替えること」を想定して作られているためだ。
一方で、多くのヴィンテージ・アンティーク家具の場合、「使い続けること」を想定して作られている。そのため、素材や塗料、製法にこだわり抜き、職人の手で丁寧に仕上げられる。現代では考えられないような手間暇をかけて製造されたものだからこそ、ヴィンテージ・アンティーク家具として何十年、何百年後にも使うことができるのだ。
それが自分の手に渡ってきた後の経年変化を楽しむことができるのも、品質の良いヴィンテージ・アンティーク家具ならではだろう。
■ 「使い捨てない」考え方
画像提供:TIME HYPE
ヨーロッパの人は「良いものを長く使う」ことを美徳としている。古いものこそがかっこよく、古いものを何代にも渡って受け継ぐことは豊かさの象徴だと考える。
例えば住宅なども、築年数が経過してもきちんとメンテナンスをすれば、むしろ購入時よりも高い金額で売れることも普通なのだという。食器や雑貨でも、少しのキズなら自分で修復し、大切に使い続ける家庭が多いそうだ。基本的に「使い捨てない」、サステナブルやエシカルの考え方が根付いているのだ。
新品の家具を買うのは簡単だが、新しい家具を作るにはそれだけの資源が使われていることを忘れてはならない。上質な素材から作られた古き良きヴィンテージ・アンティーク家具を手に入れ、次の世代へつなげることに、ぜひ価値を感じてみてほしい。