きれいな酸が残る余市のワイン
たまたま現地にワインを届けに来ていた「ソウマファーム」の相馬慎吾さんに、余市ワインの魅力を聞いてみた。
札幌のイタリア料理店で働いているときにワイン選びをまかされたことを機に、ワイン研究に没頭したという相馬さん。
「衝撃を受けたのがボルドー・ポムロール地区の『シャトー・ル・パン』。とんでもなく香りが広がるんです。官能的だと表現されますが、その衝撃が頭から離れない。
余市でワイン用のブドウを作っていると知ってから休みごとにやってきて畑を手伝い、10年前より自分でブドウ作りをはじめました。ル・パンのように香りが広がり、余韻が長く続く色気あるワインになるよう品種を選び、栽培しています」
▲周辺に広がる葡萄畑を眺めながらの散歩やドライブが心地いい。ドメーヌ・タカヒコのナナツモリ展望台も楽しみ
余市は海に近い丘陵地帯で粘土層。
斜面なので雨が流れ落ちやすく水はけがいい。また、海からの風が吹き抜け、病気が発生しづらいという環境だ。
全国的に年々気温が高くなっていて北海道も例外じゃない。それでも余市あたりでは、夜はしっかり気温が下がる。この寒暖差がポイントだという。
「余市産のワインはどれもきれいな酸と熟したうまみが特徴です。
口に含むと、酸で味覚を鋭敏にした後にうまみが入ってくる。だからいつまでもおいしい余韻に浸れるんです。
酸というのは温度が上がると落ちてしまいます。その点、余市は気温が大きく落ちるので、きれいな酸が残るんです」
相馬さんはソーヴィニヨンブラン、メルロー、ピノノワールなど8種類のブドウを育てており「ドメーヌ・タカヒコ」、「ドメーヌモン」、「ランセッカ」などワイン好きが注目するワイナリーが採用しており、「うちのメルローで作る”モンロー”(ドメーヌモン)はセクシーですよ」と胸を張る。
ワイン飲み比べの特別イベントも
支配人の北中さんによると「この施設は相馬さんの土地に立っていて、いわば相馬さんは大家さん。そのご縁で相馬さんによる秘蔵ワインとBBQのペアリングを楽しむイベントを予定しています」。
「ソウマニヨン・ヴィンヤード・ナイト」と題される特別イベントは、7月29日、8月21日、9月18日の全3回で、特別なワインを試せるほか、ブドウ畑の見学も行われる。
余市では9月1日に「ラフェト・デ・ヴィニュロン・ア・ヨイチ」という収穫祭が開催される。残念ながらラフェトのチケットは完売したが、「ソウマニヨン・ヴィンヤード・ナイト」ならまだ参加可能。ワイン好きは狙わない手はない。
青空の下、外で冷えたワインを飲むのは最高のひととき。
宿泊はテントだがスポットクーラーを設置ずみ。
テントは12張。ダブルベッド2台またはシングルベッド4台が備わっていて、定員4名まで。
イベント時に限らず、夕食・朝食が付いているし設営・片付け不要なのでカップルや家族とともに自然の中でのんびり過ごせる。