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生活困窮者のペット飼育問題、社会としてどう向き合うべきか?

2024.07.15

人と動物の共生センター理事長で獣医師の奥田順之先生は、さまざまなペット飼育の問題について調査、改善活動を行っているが、最近、生活困窮者のペット飼育の問題が深刻化していると言う。

「生活困窮者のペット飼育問題は、人間の福祉とも関わる問題であり、ペットを飼っている誰もが直面する可能性のある問題でもあります。社会問題として、多くの人に関心をもっていただきたい」と、各地で講演活動を行っている。今回は奥田先生にその実態と解決法などについて教えてもらおう。

ペットの殺処分問題からスタートした保護活動

――はじめまして!奥田先生は岐阜大学獣医学部時代から動物福祉活動を行っていましたが、活動をスタートしたきっかけ、動機などについて教えてください。

奥田先生 獣医学部ですから当たり前なのですが、大学時代は自分よりも深い動物愛をもった人たちがたくさんいて、逆に圧倒されました。獣医になったきっかけは、小学校時代、兄が拾ってきた犬をフィラリアで亡くしたことです。フィラリアは予防できる病気なのに、それを知らずに病気にさせてしまいました。あまり世話もできずに、亡くなった時、ものすごく後悔しました。激しい自戒の念に襲われて、動物のために何かしたいと、獣医学部を目指しました。

大学では予防医学を勉強していたのですが、3年生の頃、広島ドッグパーク事件が発生しました。パーク内で飼育されていた約700頭の犬が放置され、大問題になったのです。一方で、当時、日本では30~40万頭の犬が保健所などで殺処分されていました。

日本国中から注目を集める700頭の犬と、誰にも関心をもたれずに殺処分される犬。ふたつの矛盾を強く感じ、せめて自分たち獣医学部の学生は殺処分問題を正しく知っておくべき問題だと考え、ドリームボックスという学生団体を立ち上げました。これが現在に続く動物福祉活動のスタートでした。

獣医師だからこそ無関心でいてはならない殺処分問題

奥田先生 殺処分される犬がいることを、心の片隅に持ち続ける獣医師が増えるべきだと思って、30名ほどのメンバーが集まって勉強会をするなど、活動を続けました。

私自身は大学卒業後、シェルター作ろうとしていたのですが、主体となっていた企業の影響で計画がストップしてしまいました。街づくりのNPO活動に参加するなど、紆余曲折を経て、やはり獣医師の資格をもった人間として、動物に関わるべきだと考えて、2012年3月に NPO 法人人と動物の共生センターを設立しました。4月には「犬のしつけ教室 ONE Life」をオープンさせています。

――現在、人と動物の共生センターの理事長に就任されていますが、具体的にどのような活動をされているのでしょう。

奥田先生 「人と動物の共生センター」では適正飼育の普及やペット防災、ペット産業のCSR活動推進、過剰繁殖対策、ペット後見互助会など、人と動物の共生にまつわる社会的課題の解決を目指して活動しています。

ペットと共にくらす社会の仕組みが無い

奥田先生 また、各種事業を通じて、飼い主、動物、飼い主以外の人「三者の福祉」が守られる共生社会の実現に向けて活動している組織です。

すでにペットが家族の一員であるという認識は広まり、飼い主さんにとっては当たり前の感覚です。だからこそ、災害の時は一緒に避難するのは当然なのですが、実際に動物を連れて避難できる場所がきちんと確保されているかといえば、そうではない面がたくさんあります。ペットが当たり前にいる状態なのに、まだまだペットと共に暮らす社会の仕組みがありません

また、多くの人々がもっている、「動物たちのために、何かしたい」という気持ち対して、実践的・具体的な提案をすることも、センターの役割であると考えています。

特に動物福祉活動は横のつながりが薄く、活動者・実践者が学んだりつながりをつくったりする場がありませんでした。センターではそうした場を提供していきたいのです。

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