三笘薫所属のブライトンは鹿島・東京Vと国立で2試合
日本代表エース級という意味で、伊東純也に匹敵する存在なのが三笘薫。彼が在籍するブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンも2試合を行う。7月24日の鹿島アントラーズ戦と28日の東京ヴェルディ戦だ。いずれも会場は東京・国立競技場。27日には秩父宮ラグビー場で公開練習も予定されている。この1週間は三笘の現状をチェックする絶好の機会と言っていい。
ご存じの通り、三笘はアジアカップで2試合に途中出場した後、背中の負傷で公式戦から遠ざかっており、昨季はハーフシーズンを棒に振った形だ。それだけに彼が来季に向けてどんな状態にあるのかというのは、日本中の関心事ではないか。
しかもブライトンは三笘を大きく飛躍させたロベルト・デ・ゼルビ監督(現マルセイユ)が退任。31歳のファビアン・ヒュルツェラー監督が就任したばかり。若き新指揮官が三笘をどう使いこなすか気になるところだ。
ケガの状態やコンディションを踏まえると、2試合ともフル出場とはならないだろうが、それぞれ45分は出そうな気配。そこである程度の手ごたえを得られれば、8月に入ってからのプレシーズンマッチに出て調子を上げていくことになるはずだ。
「三笘が出る試合を国立で見られるなら行ってもいい」と考える人も少なくないはず。伊東純也のスタッド・ランスと並んで、ブライトンの試合は今夏の目玉になりそうだ。
久保建英在籍のレアル・ソシエダは今年2度目の来日
5月29日に一度、東京ヴェルディと国立競技場で凱旋試合を行っているレアル・ソシエダ。久保の所属クラブが7月25日に再び来日し、ガンバ大阪とパナソニックスタジアム吹田で激突することになった。
オフシーズンを日本で過ごしていた久保にしてみれば、再びスペインと日本を行き来するのは負担が大きいかもしれないが、前回とは違って大阪でのゲームというのは、モチベーション的にも違ってくるだろう。
しかもガンバ大阪には、U-20日本代表や横浜時代に共闘した親友・山田康太がいる。2人が対戦相手として相まみえるチャンスはそうそうないだけに、お互いに楽しみにしているのではないか。そこに注目しながら、スタジアムで観戦するのもまた一興だ。
香川真司の古巣対決も注目。セビージャは北海道と九州へ。
関西での試合という意味で、もう1つ、注目すべきなのは、7月24日のセレッソ大阪戦(大阪・ヤンマースタジアム長居)。ご存じの通り、元日本代表10番・香川真司にとっての古巣ドルトムントと対戦となる。香川は3月の負傷離脱以降、リーグ戦ではなかなか出番を得られていないが、後半戦に向けてコンディションを高め、チーム内序列を引き上げていこうとしているはず。ドルトムントとの一戦を大きな飛躍の場にしたいと考えているに違いない。
しかもドルトムントは昨季UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)準優勝チーム。決勝でレアル・マドリードに敗れたが、ドイツ代表のニクラス・フュルクルクやエムレ・ジャンらを擁するチームで、戦力的には世界屈指だ。しかも中村敬斗の加入の噂もあるだけに、もしかするとビッグマッチになる可能性もないとは言えない。まずはドルトムントの動向をしっかりと注視したいところ。
チケットの価格設定も比較的安めということで、この試合は狙い目かもしれない。
そして最後に、UEFAヨーロッパリーグ(欧州EL)で史上最多となる7度優勝を誇るスペインのセビージャも来日する。7月30日にはコンサドーレ札幌と札幌ドームで消化し、8月2日にはサガン鳥栖と駅前不動産スタジアム(鳥栖)で戦うことになっている。
今月、セレッソ大阪から鳥栖にレンタル移籍した元日本代表の清武弘嗣にとっては古巣対決になる。そういう意味では2戦目の方がより話題になるかもしれない。
セビージャは昨季リーガ・エスパニョーラで14位と低迷。今夏にはラス・パルマスで功成り名を遂げたガルシア・ピミエンタ監督を招聘。2024-25シーズンでの再起を目指している。日本でプレシーズンを過ごし、状態を引き上げて新シーズン開幕に向かおうとしている。それだけ本気度の高い試合が見られるかもしれない。
北海道・九州在住者にとっては、今回、この2試合しかリアルで見られるチャンスがない。ぜひ足を運んでみてはどうだろうか。
今季出番が少なくなっている香川真司。古巣対決を今後の起爆剤にできるか(筆者撮影)
超ビッグクラブはドルトムントくらいかもしれないが、それぞれに見どころはある。何を重視するかは観戦者次第。日本人選手に目を向けるならスタッド・ランス、ブライトンだろうし、プレミア勢ということならトッテナムかニューカッスルを選択すべきではないか。集客的に厳しいカードもありそうだが、しっかりとチェックしてみてほしい。
<試合日程>
●7月24日…ジュビロ磐田対スタッド・ランス(ヤマハ)、鹿島アントラーズ対ブライトン(国立)、セレッソ大阪対ドルトムント(ヤンマー)
●7月25日…ガンバ大阪対レアル・ソシエダ(吹田)
●7月27日…清水エスパルス対スタッド・ランス(日本平)、ヴィッセル神戸対トッテナム(国立)、
●7月28日…東京ヴェルディ対ブライトン(国立)、京都サンガ対シュツットガルト(亀岡)
●7月30日…コンサドーレ札幌対セビージャ(札幌ドーム)
●7月31日…町田ゼルビア対スタッド・ランス(GION)、浦和レッズ対ニューカッスル(埼玉)
●8月1日…サンフレッチェ広島対シュツットガルト(Eピース広島)
●8月2日…サガン鳥栖対セビージャ(鳥栖・駅スタ)
●8月3日…横浜F・マリノス対ニューカッスル(国立)、ヴィッセル神戸対スタッド・ランス(ノエスタ)
取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。