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ユーミン万歳!世界的なエンジニアがカッティング用マスタリングを施した音質はどれくらい凄いのか?

2024.07.13

世界的なエンジニアがカッティング用マスタリングを施した荒井由実の曲の音質がいかほどか

熱いファンではないが、僕は強烈なレコード・マニア(音質追求)だ。“GOH HOTODA氏により新規カッティング用マスタリングを施した高音質盤”が決め手となり、大急ぎでHMVサイトに入り買ってしまった。本来ならHMVが時々やるキャンペーン、“1万円以上で20%スペシャルクーポン還元”を待つのだが、限定5000セットだけにうかうかしていられない(この原稿を書いている7月6日、HMVはこのキャンペーン実施中で6枚組『ユーミン万歳!』在庫あり、無念です)。

 『ユーミン万歳!』/松任谷由実。

さてレコードが到着するとこの原稿を書くために、GOH HOTODA氏が何者かを調べた。知らない名前だからだが、己を恥じることになる。マドンナ、ジャネット・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、坂本龍一、宇多田ヒカル他、名だたるミュージシャンの作品を手がけてきた世界的なグラミー賞エンジニアだった。まあ、僕の音楽への興味は原則70年代ロックまでなので、知らないのも無理ないかもしれないが。それはともかく、世界的なエンジニアがカッティング用マスタリングを施した荒井由実の曲の音質がいかほどか、それだけで僕的には33000円の価値は十分にあるはずだ。

2013年リマスター、LP+CD+DVD『ひこうき雲』/荒井由実。

2013年リマスター盤。

オリジナル盤。

さあ、僕の所有するレコードと聴き比べ試聴だ。試聴曲は「ひこうき雲」とする。まずは2013年にリマスターされたアルバム『ひこうき雲』から。なんの不満もない。リマスター盤でよく感じるデジタルっぽさ、不自然なメリハリもない。ところが1973年発表の銀帯オリジナル盤(厳密に言うとALFA盤と呼ばれるジャケットに大きなアルファベットALFAが印刷された盤が初回盤だが、レコード盤自体は同じようだ。以下、銀帯と呼ぶ)を聴くと驚く。針を落とすやスタジオの清涼とでも表現したい空気感が漂ってきて、リマスターとは異なるフレッシュな世界が始まる。ベースは柔らかく膨らみ、ヴォーカルは伸びがいい。一音一音が明瞭で生き生きとし、音場は上下に広がる。なんの不満もなかったリマスターに実はかかっていたベールを2枚くらい剥がしたようだ。5段階評価すれば、リマスターは3で銀帯は5くらいの差がある。ただし前述のように、銀帯さえ聴かなければ、リマスターで十分に満足できる。

50周年盤。

続いてはいよいよ33000円50周年盤だ。「ひこうき雲」は6枚組1枚目のA面5曲目に収録されている。リマスターも銀帯もA面1曲目だ。レコードは外側の溝ほど音がいいとされるので、音質的には不利な位置となる。銀帯はデビュー時19歳の荒井由実の声だが、50周年盤は大人になった荒井由実の声という印象でしっとりと柔らかい。声が大きくなるパートは角が取れてマイルドに聞こえる。演奏は銀帯やリマスター盤と違い、各楽器とも主張を抑えて控えに回った感じ。こういった違いは、「ひこうき雲」を聴き込んできた人ほど実感するだろう。ひと言で言えば、面白い音質だ。5段階評価でリマスターは3で銀帯は5としたが、50周年盤は居場所が違って5段階評価の対象外としたい。個人的にはやはり銀帯がベストだ。

50周年盤には有名曲がたくさん入っているが、1枚目の1曲目は松任谷由実で一番好きな、1993年にシングルCDで発表された「真夏の夜の夢」。サンプリングマシン全盛の時期だったからか、デジタルっぽさたっぷりの曲だ。レコードしか聴かない僕はCDプレーヤーもCDも持っていないので CDと聴き比べようがない。だがこの曲のレコード再生はノリノリの勢いやギラギラのデジタル感が足らず、違和感を覚える。考えてみれば、初めてアナログで聴く「真夏の夜の夢」だ。それゆえだろうか。レコードの音は、耳が覚えているCDの音よりプアな気がする。

ところが6枚目2曲目、1984年のレコード時代発表曲「BLIZZAD」には全く違和感がない。僕が耳にしてきた「BLIZZAD」の大半はレコード音源なのですんなり受け入れられるということだろうか。

「ひこうき雲」は銀帯オリジナル盤を上としたが、曲によりGOH HOTODA氏のマスタリングの方向も違う可能性もあり、「ひこうき雲」とは異なる印象を持つかもしれない。荒井由実作品『ひこうき雲』『ミスリム』『コバルト・アワー』はオリジナル盤を持っている。この3枚に収録された曲で6枚組『ユーミン万歳!』にもある曲は全部で11曲。両者をじっくりたっぷり聴き比べたい。そういう意味でも6枚組『ユーミン万歳!』は、毎日が休日、連休もお盆休みも一つも待ち遠しくないリタイアならではの、有り余る時間を使って“GOH HOTODA氏により新規カッティング用マスタリングを施した高音質盤”ぶりを味わえる、33000円が少しも惜しくないレコードだ。

文/斎藤好一

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