日本国内では多くの地域で猛暑日や熱帯夜が増加傾向にあり、熱中症リスクはより一層高まっている。
熱中症予防への注意喚起の重要性が増す中、ダイキン工業はこのほど、本格的な暑さの到来を前に全国の20代~60代の男女530名を対象に「熱帯夜の睡眠時の熱中症対策とエアコン使用に関する意識調査」を実施した。
本記事では、調査結果とともに、救急医療の専門医として熱中症患者の治療にも携わる、帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長・三宅康史氏のコメント、さらには「熱帯夜にも役立つ上手なエアコンの使い方のヒント」も紹介する。
熱帯夜の睡眠時や起床時に「体の不調を感じることがある」人は全体の約7割 こうした不調は熱中症の初期症状の可能性も
熱中症には様々な初期症状がある。帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長の三宅氏は、「熱帯夜、体調に違和感なく入眠したにもかかわらず睡眠時や起床時に体の不調を感じた場合、軽い熱中症の可能性も疑ってみてほしい」と話す。
今回、熱中症の初期に見られる症状を9つ挙げ、熱帯夜の睡眠時や起床時にこれらの症状を感じたことがあるかを質問すると、半数近くが「倦怠感」(45.7%)を感じており、「異常な発汗」(18.3%)や「体温の上昇」(16.8%)、「頭痛」(15.5%)や「立ち眩み」(9.2%)など、全体のうち約7割(69.2%)の人が何らかの不調を感じたことがあるという結果となった。
三宅氏は「特に倦怠感は、熱中症の初期症状以外でも様々な要因で感じることがある」としながらも、夏期には熱中症の初期症状として最も多いのも事実と話す。この結果からは、熱帯夜の影響で多くの人が軽度なものを含め熱中症を発症していた可能性があることがうかがえる。
約3人に1人は熱帯夜に積極的な「熱中症対策をしていない」ことが判明
熱帯夜の影響で多くの人が軽度なものを含めた熱中症を発症していた可能性があることを受けて、熱帯夜に熱中症対策を行っているかどうかを確認すると、今回の調査では約3人に1人(33.7%)が「対策をしていない」と回答した。
熱帯夜に熱中症対策をしていない人に理由を尋ねたところ、「危険を感じたことがないから」(43.0%)が最も多く、続いて「睡眠時の熱中症対策が具体的にわからないから」(26.8%)、「夜間や睡眠中に熱中症になるリスクがあることを知らなかったから」(16.8%)という結果となった。
三宅氏は、「住まいの風通しの良さなど、熱帯夜を過ごす環境は人それぞれだが、熱中症の危険性をあまり意識していなかったり、熱中症対策の仕方を知らなかったりして何も対策をしないと、今後の熱中症リスクにつながる恐れもある」としたうえで、熱中症リスクを意識するとともに、特にエアコンの使い方を工夫したり就寝前に水分補給したりするなどの対策に取り組む重要性を指摘した。
熱帯夜の暑さは多くの人の睡眠の妨げになっている可能性 お悩みの1位は「暑くて目が覚める」、2位は「なかなか寝付けない」
熱帯夜は、熱中症の可能性も疑われる体の不調以外にも様々なお悩みがあるようだ。「夏場の熱帯夜の睡眠時のお悩み」について尋ねたところ、特に悩みが無い人は23.8%に留まり、約4人に3人(76.2%)が何らかの悩みを持つことがわかった。
それらの悩みのうち、最も多かったのは「暑くて目が覚める」(45.5%)で、次に「なかなか寝付けない」(33.0%)が挙げられた。多くの人にとって、暑さが睡眠の妨げになっていることがうかがえる。三宅氏は、「質の良い睡眠を意識することが翌日の熱中症リスクの低下につながる可能性がある」と話す。快適な睡眠環境を作ることも、熱中症対策のひとつとして大切なことだと言えそうだ。