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なぜお金を払ってまで勉強したいのか?大人のための学び舎「勉強カフェ」が成功した理由

2024.07.12

開業直後に大ピンチ!紆余曲折から生み出された『勉強カフェ』

2008年に開業した『勉強カフェ』だが、オープン当初は倒産危機に陥ったこともあったという。

「実は開業時、『勉強カフェ』とは名乗っていなかったんです。自習室でも図書館でもレンタルオフィスでもないし、コワーキングスペースは当時の日本にはまだなかった。じゃあ、自分がやろうとしているこの新しい業態は何だ?という問いに一言で言い表すことができなかったんです」

「色々考えた結果、「会員制書斎空間BOOKMARKS TOKYO」として始めたのですが、そんな長くて怪しい名前の店なんかに入ろうと思いませんよね笑。開業数ヶ月で会員数は数名と惨憺たる状況でした」

「そこから店名の変遷を経て、ようやく『勉強カフェ』に落ち着つき、コンセプトも固めた結果、なんとか光が見えてきたんです。また、地道にプレスリリースを書いてはFAXで送るという営業活動を行っていたのですが、ある日それが全国紙の新聞に掲載され、そこからメディアの取材が舞い込むようになりました。必死に送っていたリリースも、当時のピンチを救ってくれた一因かもしれません」

なんとか船出した『勉強カフェ』だが、のちにはこんな失敗も。

「5店舗目を東京・青山にオープンした時、キッチン付き店舗を貸していただけるということで、これまでとテイストの違う『勉強カフェ』を作ろうと思ったんですが…あえなく失敗しました」

「青山店は、「集中して勉強できる場所」というポイントよりも、「こんなのあったらいいな」というところにフォーカスしてしまったため、お客様が全然いらっしゃらなかった。『ビジネスとは不満や課題を解決するものでないといけない』という尊敬する人からの言葉を蔑ろにしてしまった結果です。とても良い勉強になりましたね」(※現在青山店は閉店)

数々の苦難がありながらも徐々に認知度は高まり、今や会員数は全国で5,000名以上。これまで1万人以上の方が「勉強カフェ」で学び、巣立っていったという。

ありきたりな自習室とは一線を画す『勉強カフェ』の確固たる強み

ここで、「勉強カフェ」のシステムを簡単に紹介しておこう。

コンセプトは、主体的に学び続けるライフスタイルを持つ人々に向けた「LEARNING NEVER ENDS」。会員制ラーニングスペースだ。

月額制(5,478円~)の会員プランと、入会不要のビジター制(550円/ 1時間~)、2つの使い方がある。

店内は「ラウンジ」と「ワークスペース」の2つに分かれており、ラウンジでは勉強はもちろん、スタッフや他会員との会話、食事などでも利用できる。勉強に集中したい時はワークスペースへ。利用者は20-40代の社会人を中心に高校生~80代の方まで様々だという。

――他の有料自習室と比べて『勉強カフェ』の強みは?

「ただの場所貸しビジネスではなく、利用者が勉強に集中できる・勉強する気が湧いてくる・勉強が習慣化できるといった価値提供にフォーカスしている空間だという点です」

「例えば、店内の一番目立つ壁一面に会員の皆様に書いていただいた目標が掲示されています(マイゴールシート)。来店時に自分が書いた目標や他の会員の目標を見ることでモチベーションが上がるとともに、このシートをもとに同じ勉強をしている人を紹介することに繋がることもあります」

「また、場所の提供だけにとどまらず、他会員との勉強会やイベントなども頻繁に開催しています。一例として25分集中して5分休憩するという「ポモドーロ・テクニック」という集中法を活用したプログラムを提供するなど、任意で参加いただくことができます」

「今の時代、公共の図書館も非常に便利ですし、綺麗なシェアオフィスやコワーキングスペースもたくさんありますが、上記のようにハード・ソフトの両面で勉強の成果に特化した施設であるのは、『勉強カフェ』が持つ独自性だと思います」

「客の悩みにフォーカスする」代表が語るビジネス成功の極意

山村代表は起業する数年前、学生だった頃に生まれて初めての一人旅をした。場所はイタリア。

トスカーナの田舎をバックパッカーで巡るうち、イタリア人の人懐っこさとライフスタイル、そしてバールの文化に魅了されたという。

イタリアが大好きになったことも、サイゼリヤに新卒で入社したきっかけの一つといえよう。そこで培った店長経験が、現在の仕事にも活かされている。

「私のキャリアのルーツがサービス業における店長で、その一方、有料自習室というのは不動産業的な業界でしたので、そこにサービス業の観点をいれてソフト、サービス重視で『勉強カフェ』を立ち上げた点は他の施設には無い独自性に繋がったと思っています」

――『勉強カフェ』が認知され、成功した理由はなんだと思われますか?

「正直、まだ全然成功したとは思っていないのですが、『勉強カフェ』のネーミングによる訴求力、創業した時期(コワーキングスペースが日本に入ってくる前に創業していたことによる先行優位性)、あとはこのような場所への根強い一定のニーズがあるということだと思います」

そう語る代表に、こんな質問も投げかけてみた。

――大人になって学び始める、学び直す人が少なくないと感じます。なぜ人はこんなに学びたがるのでしょうか?

「人が学ぶ理由は様々だと思いますが、学ぶことで自身ができることを増やせる、自身の未来の可能性が広げられるという前向きな理由があるのかもしれません」

「現実的には仕事で求められるから、キャリア形成に必要だから、給与アップや転職するために有利だからなどの理由で勉強をしている社会人が多いように思います。でもそれで良いと思います。理由はどうであれ、社会人の52.6%は何も勉強していないとも言われる中、仕事をしながら勉強をすること自体がリスペクトに値する行為だと思います」

――『勉強カフェ』の経営で心がけてることは?

「お客様の抱える悩みにフォーカスするということです。勉強に関して抱える悩みも時代によって移り変わってゆくので、ずれないように寄り添い方を柔軟に変えていくことを心がけています」

――今後の展望をお聞かせください

「やはり自宅や職場など拠点の近くに『勉強カフェ』があるからこそ通いやすくなり、勉強の習慣化にも繋がると考えていますので、多くの地域に展開できることを目指しています」

取材協力
勉強カフェ
勉強カフェ公式X
山村宙史氏 X

文/太田ポーシャ

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