満員電車とは無縁、自分のペースでまったりと移動できるバイクでの通勤・通学。特に2021年以降は、コロナ渦の影響で多くの人が電車からバイクへと移動手段を変えました。
しかし、二輪ライターとして「ちょっと待って!」と言いたいのが、通勤・通学ライダーの安全対策について。バイクに乗っている時に守るべき身体の部位やその理由、守る手段(プロテクター)についてはご存じでしょうか?
いつも普段着でバイクに乗っているという皆さま、一緒に通勤・通学時の安全対策について考えてみませんか?
バイク通勤・通学には危険が潜んでいる!?
通勤・通学ライダーの皆さんに「安全対策を知ってほしい」と思うのには理由があります。まず見ていただきたいのが、警視庁が公開している二輪車の交通死亡事故統計。ショッキングなデータですが、大切なことなのでありのままにお伝えさせてもらいます。
2023年中の都内の交通事故による死者数は136人で、その中でも一番多いのが二輪車(原動機付自転車を含む)乗車中の交通事故死者数。44人と、全体の32.4%を占めているのです。
この二輪車の方々が何を目的にバイクを利用していたのか、そして身体のどの部位に怪我を負ったことが致命傷となったのかというと、「通行目的別」「致命傷部位」の項目を確認するとわかります。
通行目的別では13人(29.5%)が出勤、11人(25.0%)が退勤中の運転で亡くなっていることがわかり、致命傷部位では14人(31.8%)が頭部に、14人(31.8%)が胸部に致命傷を負って亡くなっていることがわかります。
もしも通勤中の安全対策がもっと厳重であれば、交通事故から命を救えた方がいるのかもしれない…。現実世界に「もしも」がないことはもちろん承知していますが、このデータを見ているとそう思わずにはいられないのです。
ヘルメットを正しく使おう
それでは具体的に、どのようなポイントで安全対策をすればよいのでしょうか。まずはヘルメットです。
ヘルメットをかぶる上で一番に気を付けたいことが、あご紐を正しく締めること。せっかく着用していても、あご紐が緩かったりそもそも締めていなかったりすると頭部を守ることはできません。走行中は必ずあご紐を締め、締め方の目安はあごとあご紐の間に指が1~2本が入る程度にしましょう。
またヘルメットの種類は、頭部を丸ごと覆って守れるフルフェイスヘルメットがおすすめです。ただし、夏場の暑い時期は熱中症も心配です。時期によっては、あごの部分がないジェットヘルメットも選択肢に入れてもよいかもしれませんね。
なお、ヘルメットを選ぶ際は必ず「PSC」および「SG」マークの付いた製品を選びましょう。PSC・SGとは、国(PSC)と製品安全協会(SG)が定めた安全基準のこと。特にPSCに適合しない製品は、乗車用のヘルメットとしての販売が法律で禁止されているのです。
他にも「JIS」「SNELL」「MFJ」「ECE」「DOT」といった様々な任意規格が国内外にありますが、それだけヘルメットが重要なアイテムであるということです。命を守るために、安心して使用できるヘルメットを正しい使い方で着用してくださいね。