カバヤ食品は帝京大学医学部教授・三宅 康史先生の監修により、「熱中症への対策意識・行動に関する調査」を実施。年々暑くなる気温に対しての認識が甘く、正しい対策も取れていない人が多いという現状を明らかにした。
本稿では同社による調査結果リリースを元に、その概要をお伝えする。
「自分は大丈夫だろう」という思い込みが危険
夏の発汗時の意識について調査するため、『通常は不足しないはずの塩分ですが、スポーツ時や暑い夏場など急に大量の汗をかいた時は、水分とともに体内の塩分が出てしまい、一時的に塩分が不足してしまう事があると知っていますか?』と質問をしたところ、約78%の人が知っていると回答した。
一方で、『たくさん汗をかいたときには、積極的に塩分補給をしていますか?最もあてはまるものを回答ください』という質問には、「発汗時は、食事以外にも塩分補給をする習慣がある」という人が約16%に留まり、一時的な塩分ロスの可能性や危険性を知っているにもかかわらず、塩分補給を習慣化している人が少ないことが明らかになった。
自分に限っては大丈夫だろう、という正常性バイアスが熱中症のリスクを高めてしまっていることが推察できる結果となっている。
■発汗時でも意図的に塩分を摂らないように心掛ける人が約42%
発汗時の塩分摂取意識についてもさらに掘り下げて見ていくと、前項同様の『たくさん汗をかいたときには、積極的に塩分補給をしていますか?最もあてはまるものを回答ください』と質問に対し、「発汗時でも、特になにも塩分補給の工夫はしない」「発汗時でも、なるべく塩分を摂らないように心掛けている」と約42%の人が回答していることもわかった。
理由としては、「水分補給さえしていれば十分だと思うから」が約30%、「塩分は食事から十分補給できているから」が約32%となっている。
また、「塩分不足になるほど汗をかいていると思えないから」という自覚不足や「塩分の適切な摂取量が分からないから」といった悩みがあることも明らかになった。
一方できちんとした塩分摂取意識のある人に『「発汗時は、食事以外にも塩分補給をする習慣がある」「発汗時は、食事以外にも塩分補給をしたことがある」と回答した方にお伺いいたします。汗をかいた時のこまめな塩分補給では、どのような方法を活用していますか?(複数回答)』の質問をしたところ、「スポーツドリンクなど塩味が入っている飲料を飲んでいる」が約61%で最も多く、「塩分の入った飴を食べている」の約41%が続いた。
注目するべきは約34%が回答した「麦茶を飲んでいる」という回答だ。麦茶に含まれるミネラルはごく少量であるため、この点を誤解している人が多いことも判明した。
■熱中症対策ができているとの回答が約48%
ここまでのデータからもわかるように、熱中症対策のための知識や意識が十分とは言えないにもかかわらず、自身の熱中症対策に自信を持っている人が多くいることも、今回の調査によって明らかになった。
『ご自身は、暑い時期の体調管理や熱中症の備えができていると思いますか?』という質問に、「完璧にできている」「ある程度できている」と回答した人が約48%おり、「あまりできていない」「できていない」と回答した約24%を大きく上回る結果となっている。
『「完璧にできている」「ある程度できている」と回答した方にお伺いいたします。それはなぜですか?(複数回答)』と根拠を尋ねる質問をしたところ、「水分補給をこまめにしているから」との回答が約87%で、「汗をかいたら、水分だけでなくこまめな塩分補給も意識しているから」の約40%を上回る結果になっている。
この設問からも、発汗時には「水分も塩分も補給」が必要だという意識が浸透していないことが考えられる。
さらに、熱中症対策ができているという自信が本当なのかを検証するため、前出の『実際に、汗をかく夏場に下記のような体調不良に見舞われたことはありますか?』という設問と『ご自身は、暑い時期の体調管理や熱中症の備えができていると思いますか?』の設問をクロス集計してみたところ、調査対象者全体の1000人のうち約27%となる266人は「完璧にできている」「ある程度できている」という回答だったにもかかわらず、体調不良に見舞われたことがあるということがわかった。
備えができているという自信が過信である人も散見される結果となっているようだ。