2. 2020年6月末に施行されたあおり運転の厳罰化を盛り込んだ「改正道路交通法」により、あおり運転が「減少したと思う」と回答したドライバーは51.5%
悪質なあおり運転に起因する事件、事故が多発し、あおり運転に対する問題意識が高まっている。2020年6月には、あおり運転の厳罰化を盛り込んだ「改正道路交通法」が施行された。
この法改正によりあおり運転が減少したと思うかとの問いでは、「減少したと思う」と回答したドライバーは51.5%となった。また、「減少したとは思わない」と回答した人は、理由として「危険な運転をする人の心理や行動は変わらないと思うから(68%)」が最も多く、前年と同様の結果となった。
3. 遭遇したあおり運転は、「激しく接近し、もっと速く走るように挑発してきた」が76.5%と最多
遭遇したあおり運転について聞いたところ、「あなたの自動車に激しく接近し、もっと速く走るように挑発してきた」が76.5%、続いて「必要のないハイビームをされた」が22%となった。また、あおり運転をされた際にとった行動としては、「道を譲った(44.3%)」「何もしなかった(32.5%)」と、あおり運転をやり過ごしたドライバーが目立つ結果となった。
■九州大学 志堂寺教授の見解
前の車に異常接近することはあおり運転の最も典型的なものです。調査でも76.5%と突出して多い結果となりました。異常接近するようなあおり運転の場合は、もっと速く走ってほしい、あるいは違う車線に移ってほしいという、多少いらだちが入った気持ちの表れであることが多いものです。このことに早く気づいて道を譲るなどの、あおってくる車を先に行かせるような対応を取ることで解決ができることが多いと思います。
しかし、あおってくる車のドライバーがいらだちではなく怒りの感情を抱いているような場合は、異常接近してくるだけでなく、より危険性の高い行動を取ってくることがあります。このような場合は対応が非常に難しくなります。日常生活においてもわれわれは怒って他人を攻撃(大人の場合はさすがに身体的な暴力はあまりないかもしれませんが、言葉による暴力はあるのではないでしょうか)している人に出会うことがありますが、そのような人の怒りを鎮めて攻撃を止めさせることは容易ではありません。
あおり運転の場合も同じです。しかも運転時には取ることができる行動は非常に限られています。火に油を注ぐようなことはせずに、その場の状況に応じた、冷静な対応が必要です。