はじめに
日本でも米国株が年々人気となる中で、投資家の間で特に注目を集めているのが、米国の株式市場を代表する指数であるS&P500です。この指数は米国の大手500社の株式を取り扱い、その株価の推移を示すものです。
つまりS&P500をみれば、米国経済の現在と将来の期待値が数字として表れていると言えるでしょう。
そこで今回は知ってるようで知らないS&P500の仕組みについて詳しく解説していきます。
S&P500とインデックス投資とは
そもそもS&P500とは、S&Pグローバル社がニューヨーク証券取引所やナスダックに上場する大手米国企業から選んだ500社の株価指数であり、1957年に誕生しました。この指数は、情報技術、ヘルスケア、エネルギー、金融、一般消費財、公共事業など様々なセクターを広くカバーしています。これにより、単一企業の業績が指数全体に与える影響を軽減するメリットがあります。
つまり特定の企業に依存しない投資をすることができることを意味します。
S&P500指数の算出は、1941年~43年の平均指数を10ポイントとし、そこからの成長を示すポイントの推移を追う形で行われます。インデックス投資は、S&P500に連動するインデックスファンドやETF(上場投資信託)を通じて行われます。これらの商品は、S&P500の構成銘柄に比例したポートフォリオを構築し、指数全体の動きを反映させます。したがって、S&P500が好調な時期にはインデックス投資も良いリターンが期待できますが、不調な時期には損失が発生する可能性もあります。
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏の著書「ファスト&スロー」で紹介されたインデックスファンドは、投資マネージャーが個別株を運用するアクティブファンドの成績を上回ることが多いとされています。カーネマン氏の研究によれば、インデックスファンドはアクティブファンドよりも優れた成績を示すことが多く、これがインデックス投資の普及に大きな貢献を果たしています。
米国株が強い理由
米国株が注目される理由は、その米国経済が他国よりも強いことにあります。長期的に見れば、米国株は持続的な成長が見込まれており、その安定性と高いリターンが世界中の投資家に人気の理由です。実際、S&P500の過去20年間の年平均リターンは約7%であり、他の先進国を上回る成長力を示しています。
また米国は人口増加が続いている国であり、人口は労働力や経済力に直結します。また米国経済は内需型産業という特徴があり、人口が増えて国内消費が増加することで国内経済を支えています。さらに米国企業の国際的な競争力が高く、テクノロジー分野でのリーダーシップや革新的な技術、サービスの提供が市場全体の成長を加速させています。
こうした条件から米国株式市場は流動性が高く、透明性もあるため、国内外からの資金が集まりやすくなっているのです。
S&P500の構成銘柄と割合
S&P500の構成銘柄は500社ですが、時価総額加重平均で構成されており、時価総額が大きい企業ほど比率が高くなります。2024年6月のデータでは、上位10銘柄にはマイクロソフト、アップル、エヌビディア、アマゾン、メタ、アルファベット(クラスA,C)、バークシャーハサウェイ、イーライリリー、ブロードコム、JPモルガンなどが名を連ねています。これらの企業の成長がS&P500に大きな影響を与えることになります。
個人がS&P500に投資する方法としては投資信託とETFがあり、2024年1月から開始される新NISAでも購入することが可能です。
S&P500の構成銘柄は入れ替えがある
S&P500の銘柄は経済状況や企業の業績に応じて定期的に入れ替えられます。S&Pグローバル社は、米国企業であること、合計時価総額が146億ドル以上であること、浮動株比率が50%以上であること、直近の4四半期決算が連続黒字であることなどの条件を基準にしています。これにより、S&P500は常に健全で成長力のある企業で構成されるようになります。
つまりS&P500に投資をしておけば自動的に構成銘柄を入れ替えてくれるため、マーケット動向などを追いかけない「ほったらかし投資」をすることが可能になるのです。