■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
qdcとFitEarのコラボモデルが実現!
中国深圳のqdcのイヤホン「SUPERIOR」をFitEarの須山氏が個人的にカスタマイズしたことが、きっかけで「SUPERIOR EX」が生まれたという。
「まあ、これ普通はありえないことですよね。競合他社、例えばトヨタと日産がコラボしてクルマ作りましたみたいな。本来、失礼な事ですね、俺のラーメンにコショウ入れるの?、みたいな感じで。それがqdcさんは懐が深くて本当に素晴らしい会社とのコラボになりました」と須山さんは語る。「SUPERIOR EX」はドライバーはオリジナルと同じだが、音質を追求してアルミケースを採用、さらに音色の問題から銀メッキOFCケーブルに変更されている。価格は3万3000円。
「ウチでやろうとすると、このクラスの製品だと、価格は7~8万円でないと難しいですね。qdcさんのノウハウとリソース、人材的な所で可能なんだと思います」と須山さん。
ノーマルの「SUPERIOR」は1万4300円、こちらを聴いてから「SUPERIOR EX」を聴くと、高域の変化が著しい。尖った部分がなくなりボーカルは滑らかになり、音量を上げても耳に刺さる音がなくなった。空間の描き方も精緻になっている。全体的に硬質でカッチリとした音がEXでは少し優しくなりホッとできる。カッチリと厳しい音なら無印のSUPERIORなので、どちらがいいかは試聴して決めていただきたい。
qdcとFitEarのダブルネームが入った「SUPERIOR EX」。オプションの4.4mmバランスケーブルは1万1000円
令和仕様になったFitEar「MH335DW EX」
私が初めて体験したカスタムIMEがFitEar「MH334」である。MHはマスタリングエンジニアの原田光晴氏が監修したことを意味する。これをダブルウーハー化したのが「MH335DW」なのだ。発売は2012年とかなり初期のモデルとなる。今聞いてみると低音の量感がある。有り過ぎると言っても過言ではない。「MH335DW EX」は現在のイヤホン開発担当の堀田息吹氏と製品開発顧問の原田氏による音の見直しが行われ、ネットワークに使うパーツなども変更して音を詰めている。本来、ステージ向けのモデルだったが、リスニングも含めて幅広く使えるモデルに生まれ変わったという。
実際に比較試聴すると、低域がタイトになり、解像度も上がっている。それに合わせて高域が伸びて、全体にワイドレンジ化を果たしている。同じドライバーを使っているのにチューニングだけで、こんなに音が変わるとは思わなかった。「MH335DW」ユーザー向けにEXへのアップグレードサービスもおこなっている。
FiiO「FD15」、qdc「EMPRESS-C」、A&K「NOVUS」
FiiO「FD15」はマグネシウム‐アルミニウム合金の振動板の13.8mmダイナミックドライバーを搭載。ハウジングは316Lステンレス鋼のミラーフィニィシュで海外での予価は149.99USD。低域はタイトで、ややドライな音色、音の輪郭をクッキリ描くタイプだ。
qdc「EMPRESS-C」はトライブリッド15ドライバー構成のハイエンドのカスタムIEMモデル。希望小売価格は55万円。4基のESTドライバーと10基のBAドライバーに超低音用のダイナミックドライバーを加えた5Way構成になっている。
A&K「NOVUS」はAstell&KernとEmpire Earsとのコラボモデルで世界限定600個、同社のフラッグシップモデル「SP3000」の実力を最大限に引き出すために開発された。13ドライバーのクアッドブリッド、ケーブルは4芯のトライブリッドで5N二リア結晶無酸素銅と4N金メッキ銀を使った4.4mmを採用。ハウジングはDLC(ダイヤモンド・ライカーボン)コーティングの6061-T6アルミニウムを使い、フェイスプレートはサファイヤガラスと24K金メッキによるゴージャスな仕上げ。海外での価格は4999USD。
解像度重視のカッチリした音を聞かせるFiiO「ED15」。ハイコスパな価格を期待したい
qdc「EMPRESS-C」はカスタムIEM専用モデルでカラーとデザインも本機だけのバージョンになる
付属ケーブルは3 in 1マルチプラグで2.5mmと4.4mmのバランス接続、3.5mmのアンバランス接続に端子の交換で対応する
A&K「NOVUS」は金メッキプとサファイヤガラスでインパクトのあるデザインを実現