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夏場に自宅でカビを繰り返し吸入することで発症する「過敏性肺炎」とは?

2024.07.04

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

屋内に漂うカビを吸入するとアレルギー症状を引き起こす「過敏性肺炎」の危険性が

発熱、咳といった風邪の症状が出るものの風邪薬を飲んでも全然効かない、家の中から外に出たり、学校や職場に行くと咳や発熱がなくなるが、家に帰ってくるとまた咳が出る。

パナソニックと、病原微生物の感染制御に関する研究を専門とする大阪公立大学 名誉教授 向本雅郁氏の共同調査により、屋内のカビ吸入を繰り返すと、「過敏性肺炎」を発症する危険性があることがわかり、これらの症状はカビが原因でアレルギー症状を引き起こしていることが判明した。

カビは食品だけではなく様々なところに発生するが、原因となるのが「胞子」。カビは増殖の過程で目に見えないほど小さなカビ胞子を空気中に放出、それらが食品や生活環境の中にあるものにくっつき、さらに増殖して、緑色、黒色など色をついた、普段目にするカビになる。

「カビは微生物です。微生物は顕微鏡でしか見えない生物なので、細菌やウイルスの仲間ですが、カビは細菌やウイルスよりも植物に近く、タンポポの種子が風で遠くに飛び、そこで根が生えて増えていくように、カビ胞子が室内環境の中に飛び、いろいろなところにカビが生えるのです。

食品だけではなくて生活環境の中にもたくさんカビが存在しています。洗面所やキッチン周りによく見られますが、リビングや玄関といった比較的乾燥した空間においてもカビが生えます。

それぞれのカビに最適な条件があり、室内空間でも場所によって生えているカビが異なります。キッチンのぬめりや汚れなどの原因になったり、食品が食べられなくなるといった問題がありますが、健康被害を起こす場合があります。

その一つはアレルギーで、気管支喘息や皮膚炎などを起こすカビがあります。さらに、食中毒の原因となるものもあり、カビが産生するカビ毒という毒素が原因となって起こすものも多く見られます。

新型コロナが猛威を振るっていた2022年は世界中で125万人が亡くなったのに対し、カビが原因で亡くなられる方が170万人と、新型コロナウイルスでの死者よりも多い人数がカビで亡くなられています。

生活空間で胞子が漂っており、呼吸をするごとに我々の体内にカビが入ってきます。同じ部屋で生活していると、毎日どんどん同じカビが体内に入っていき蓄積されて、それが肺に達して過敏性肺炎という肺炎症状を起こす場合があるのです」(向本氏)

過敏性肺炎はカビが原因となるアレルギーで、体内にカビが蓄積されると、カビの成分が抗原となって、異物を除去するために体内で抗体が作られる。毎日取り込まれているうちに徐々に体内のカビの成分に対する抗体が増加。それがさらに続くと、抗体が許容量をオーバーして、溢れ出た抗体が体内に悪影響を及ぼし、過敏性肺炎のアレルギーの一つになる。

「(上記画像の)9種類のカビが過敏性肺炎の原因になると言われており、特にトリコスポロンというカビが日本ではかなりの原因の割合を占めているということも既に明らかとなっています。

アメリカでのデータでは、1988年から2016年まで過敏性肺炎で亡くなったり、発症された方が年々増加。30年弱の間に患者数が5倍に上昇しており、近年は過敏性肺炎が、生活環境が原因となる疾病として問題視されています。

カビ吸入の繰り返しにより発症する過敏性肺炎の対応策としては、屋内で繁殖するカビの抑制が非常に重要となります。

今回パナソニックの調査で、ナノイーがカビに対する殺菌効果があり、殺菌効果を利用してある程度、過敏性肺炎を制御できるのではないかとわかりました。カビの増殖をナノイーが抑えて過敏性肺炎の対応策の一手段として、今後大きな期待が持てると考えています」(向本氏)

ナノイー照射によるカビへの殺菌効果、細胞壁の破壊、カビの空洞化を確認

ナノイーとは反応性の高いOHラジカルを持つナノサイズのイオン。OHラジカルが有害物を化学的に変性させることで、菌やウイルス等の殺菌など様々な効果を発揮する。

通常のOHラジカルは短い寿命しかないが、パナソニックのナノイー技術で発生するOHラジカルは水に包まれていることから、約6倍と長寿命化を達成し、部屋の隅々まで拡散することができる。

「パナソニックでは、これまで家庭に発生する代表的な8種類のカビに対してナノイーによる殺菌効果を検証しました。カビにナノイーを照射することにより、代表的な8種類のカビ全てに対して99%以上の殺菌効果を確認できています。

メカニズムとして、ナノイーがカビに接触するとカビの細胞壁に損傷が起こり、損傷した細胞壁から内容物が流出し、カビが不活化されます。

カビの生えやすい環境下でカビを付着した食パンに対してナノイーの照射のありとなしの違いを観察。ナノイーを照射していない食パンにはカビが生え始めましたが、ナノイーを照射しているパンにはカビが生えてきません。ナノイーによるカビの抑制効果を実証しました」(パナソニック くらしプロダクトイノベーション本部 コアテクノロジー開発センター所長 佐々木 正人氏)

パナソニックでは、過敏性肺炎の実態を把握するため患者にアンケート調査を実施。症状で

最もつらかった点として「咳による息苦しさで眠れなかった」と40%が回答した。その他には、「風邪と診断されたが薬が効かない」「喉が痛くて体がだるい」「長年喘息と診断されていた」という声もあった。

過敏性肺炎は7割が誤診を経験しており、過半数が診断の確定までに3ヶ月以上療したというほど診断が非常に難しい病気とされ、過半数の患者が治療に3ヶ月以上かかったという実態もある。

過敏性肺炎の中で7割を占める夏型過敏性肺炎の発症時期は、6月~9月に集中しており、8月に最も多く発生。過敏性肺炎の原因となるカビが繁殖する時期と重なっている。

日本内科学会の論文では、夏型過敏性肺炎の患者数は40代~50代の女性が多い。自宅に浮遊するカビを繰り返し吸い込むことで発症するケースが多く、入院などにより自宅を離れることで回復したと思い再び自宅に戻ると、90%以上の確率で発症するという結果が報告されている。

パナソニックでは、一般の家庭から部屋の空気を採取し、過敏性肺炎の発症の原因となるカビがあるかどうかを確認した。

集めた空気からカビが生えるか確認し、一見きれいに見えるリビングの空気中にもたくさんのカビが浮遊しているということがわかった。

8軒の家庭で採取した全ての空気から多くのカビが検出され、訪問した家庭の約60%で過敏性肺炎の原因となるカビが検出された。

過敏性肺炎の原因となる夏型、換気装置型の2種類を合わると全体の7割以上を占め、向本氏の監修のもと、夏型、換気装置型の過敏性肺炎の原因となるカビの3種類を選定し、ナノイーによる殺菌効果の検証の対象とした。

3種類のカビ全てでナノイーを照射したカビの生存率は、ナノイーを照射していない方と比較して99%減少をし、過敏性肺炎の原因となる3種類のカビに対してナノイーの殺菌効果を確認することがでた。

電子顕微鏡による夏型過敏性肺炎の発症の原因となるカビ(トリコスポロン)表面の観察のでも、ナノイーを照射すると表面形状には明確な差が見られた。トリコスポロンには出芽細胞と分節細胞の2種類の形態があるが、いずれもナノイー照射により細胞壁及び細胞膜が破壊され内容物が消失。ナノイーによってカビの細胞壁が破壊され、内部の空洞化が起きているということも確認できた。

「実体調査では一般の家庭の空気を採取して分析した結果、多くのカビが検出され、その中には過敏性肺炎の原因となるカビも含まれていました。また、過敏性肺炎の原因となるカビにナノイーを照射し、残存したカビの数からカビの生存率を算出して、殺菌効果を確認できました。

さらにはナノイーを照射したカビを電子顕微鏡で観察し、細胞壁の破壊や空洞化などカビの形態変化を確認。ナノイーは過敏性肺炎の発症原因となる一般の家庭にも浮遊しているカビに対し、その細胞を破壊し殺菌効果を発揮するということが確認できました。

パナソニックのナノイー技術は20年を超える研究開発の中で、グローバル45機関で作用効果や作用メカニズムを検証し、対象となる菌、ウイルス、カビは60種類を超えています。花粉やアレル物質を加えると、これまでに100項目を超える検証を積み重ねてきました。

パナソニックは、住空間はもちろん、空気の質への関心が高まる鉄道などの移動空間、病院やホテルなど、公共、業務空間などあらゆる空間へとお役立ちの領域を広げていくと共に、グローバル展開も狙ってまいります」(佐々木氏)

【AJの読み】目に見えない空気もキレイにするという意識を持ちたい

発表会で公開された過敏性肺炎で死亡した数はアメリカの事例だったが、日本では疫学調査が始まったところで、まだ統計的に数字が集まっていない状況だという。

「別の病気として診断されて、実は過敏性肺炎で亡くなられた方はあると思います。明確に過敏性肺炎と診断され亡くなった方もおられますが、実際はもっと多い可能性もあります。徐々に診断方法も開発されていますので、今後はさらにはっきりしていくと思います」(向本氏)

家の中に浮遊するカビが原因で亡くなるというのはかなり怖い。目に見えない空気もキレイにするという意識が必要ということだろう。

ナノイー技術で病原カビの99%を殺菌できるという結果が明らかになったのは心強い。空気の浄化や脱臭、除菌、美容に効果を発揮する、パナソニックの「ナノイー/ナノイーX」は、エアコン、空気清浄機をはじめ、洗濯機、冷蔵庫、美容家電などに幅広く採用されている。製品選びの基準の一つとして考慮したい。

取材・文/阿部純子

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