2024年3月21日、東京株式市場における日経平均株価は4万0815円66銭となり、3月4日に記録した4万0109円23銭の史上最高値を更新。ちなみに2024年2月22日には、バブル期の最高値3万8915円87銭を34年ぶりに更新する3万9098円68銭をつけるなど、春先の経済ニュースにおいては日経平均株価が〝主役級〟の活躍を示したと言えるだろう。
この日経平均株価とは、日本経済新聞社が東京証券取引所プライム市場に上場する225銘柄を選定して算出する株価指数。銘柄は定期的に入れ替えられており、毎年4月と10月の第1営業日に実施されている。
そんな日経平均株価の4-6月期における上下動に影響を与えた銘柄について、三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川 雅浩氏からリポートが届いたので、概要をお伝えする。
日経平均は4-6月期に約786円下げたがプラス寄与額上位3銘柄で約700円押し上げた計算
日経平均株価は2024年1-3月期に20.6%上昇したものの、4-6月期には1.9%の下落となり、株高の勢いは一服した。
そこで今回のレポートは、日経平均を構成する225銘柄の値動きに注目。4-6月期に日経平均を押し上げた銘柄と押し下げた銘柄を検証してみたい。
具体的には、4-6月期における日経平均の下げ幅786円36銭について、銘柄別に寄与額を計算する。
はじめに、日経平均の変動幅に対し、プラスに寄与した銘柄からみていきたい。
プラスの寄与額の大きい上位10銘柄は図表1のとおりだが、第1位のソフトバンクグループ(寄与額280円10銭)と第2位のTDK(同233円81銭)、そして第3位のリクルートホールディングス(同186円34銭)の3銘柄だけで、4-6月期の日経平均を700円24銭(3銘柄のプラス寄与額合計)押し上げたことになる。
■マイナス寄与額1位の銘柄だけで約645円押し下げ、上位5銘柄では約1396円の押し下げに
このようにプラス寄与額上位3銘柄によって、4-6月期の日経平均は約700円押し上げられたが、実際は前述のとおり、約786円下落していることから、他の銘柄のマイナス寄与額がかなり大きかったと推測される。
そこで次に、日経平均の変動幅に対し、マイナスに寄与した銘柄を確認してみると、マイナス寄与額の大きい上位10銘柄は図表1のとおりだった。
第1位のファーストリテイリングの寄与額は、マイナス645円32銭なので、これだけでプラス寄与額上位3銘柄の押し上げ効果(プラス700円24銭)が、ほぼ相殺されてしまったことがわかる。
さらに、マイナス寄与額上位5銘柄の寄与額を合計すると、マイナス1396円46銭となり、ここからプラス寄与額上位3銘柄の押し上げ効果を差し引けば、マイナス696円22銭と、4-6月期の日経平均の下げ幅786円36銭に近づく。
■これら銘柄の多くは、日経平均への影響が大きい値がさ株で、今後の日経平均持ち直しのカギに
このように、4-6月期の日経平均の動きは、プラス寄与額上位3銘柄とマイナス寄与額上位5銘柄で、大方説明が可能と思われる。
これらの銘柄の多くは、いずれも1単元(売買単位)あたりの株価が高い、いわゆる「値がさ株」だが(図表2)、日経平均は、構成銘柄の平均値によって算出(厳密には構成銘柄の株価を株価換算係数で調整した上で合計し、除数で割って算出)されるため、値がさ株の影響を大きく受ける傾向がある。
当然ながら、7-9月期以降、プラス寄与額上位銘柄のプラス寄与が続くとは限らず、同様に、マイナス寄与額上位のマイナス寄与が続くとも限らない。
しかしながら、この先、値がさ株のマイナス寄与の度合いがいくらか低下していけば、7-9月期に日経平均が持ち直す余地はかなり拡大すると思われ、図表2で示される日経平均を構成する値がさ株の動向が注目される。
◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
構成/清水眞希