近年、メンズ美容の一般化に伴い、男性の利用も増えているといわれるネイルサロン。では、その市場規模はここ数年でどれほど拡大し、また、男性は一回の利用につきどれくらいの金額をネイルサロンに費やすのか?
リクルートの美容に関する調査研究機関『ホットペッパービューティーアカデミー』はこのほど、全国の人口20万人以上の都市居住者のうち、15~69歳の男女1万3,200人を対象に「過去1年間におけるネイルサロンの利用に関する実態調査」を実施し、その結果を発表した。
女性の46.7%、男性の28.3%が「手足の爪・指先のケアで悩みがある」
美容センサスから推計したネイルサロンの市場規模は、1390億円(前年比16.3%増)で2年連続で拡大していた。 1年以内サロン利用者は6.8%だが、意向者(9.2%)と潜在層(爪の悩みがある人)(26.8%)を合計すると42.8%となり、マーケットは約6倍に広がる可能性がある。
1年以内のネイルサロン利用率について調べたところ、女性の利用率は前年から増加し、男性の利用率は3年連続で増加していた。
ネイルサロン1回あたりの利用金額について調べたところ、女性の利用金額はここ5年でほぼ横ばいとなった。年代別に見ると、40代・50代の利用金額が前年から大きく上昇していた。
一方、男性の利用金額は前年から上昇。年代別に見ると、15~19歳・20代・30代・40代の利用金額が前年から大きく上昇していた。
ネイルサロンの年間利用回数は男女ともここ5年で最も多くなった。
手足の爪・指先のケアで悩みがある人は、女性は46.7%、男性は28.3%となった。
また、爪・指先に悩みを持つ男女を対象に「手足の爪・指先のケアのお悩みに対し、どのように対処しているか」と尋ねたところ、女性は49.5%、男性は40.4%が「特に何もしていない」と回答しており、最も割合が高くなった。他方「美容サロン・医療機関」は女性が11.8%、男性が20.4%となった。
■研究員からのコメント ~男性のネイルサロン利用が進みマーケットが拡大。今後は「意向者」「潜在層」の取り込みが成長のカギ!~
男性の美容意識の向上に伴い、ネイルサロン利用も増えています。若年層は韓流アイドルブームの影響も受け、ネイルデザインを楽しむ男性も。一方、ビジネスパーソンは身だしなみとしてサロンで「ケア」
を利用。コロナ禍の規制がほぼなくなり、ビジネスシーンにおいて対面で名刺を渡す際など、手元に目が行く機会が増えているからかもしれません。
また、男女とも「興味があるけれど行っていない」という意向者や、「ネイルサロンに行くつもりはないが爪に悩みがある」という潜在層の存在にも注目です。現在のネイルサロンの利用者は男女合わせて6.8%と決して高くありませんが、意向者や潜在層を取り込むことで、現状の約6倍ものマーケットに広がる可能性があります。
ネイルサロンは外から見えづらい店舗も多く、「入りづらい」と思う人や「そもそもどんなメニューがあるのか分からない」と思って来店をためらう人も多いのではないでしょうか。ネット上で店内の写真や施術の様子を発信するなど、サロンを疑似体験していただけるような丁寧なPRが大切でしょう。
(『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員・田中公子氏)
<調査概要>
調査名 :「美容センサス2024年上期≪ネイルサロン編≫」
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年2月1日(木)~2月12日(月)
調査対象:全国、人口20万人以上の都市に居住する15~69歳の男女各6,600人
※図表内の%の値は小数第2位を四捨五入しているため、差分や合計値において、単純計算した数値と合致しない場合がある。
※実数回答設問では、想定範囲から外れた値を「外れ値」として除外して集計しているため、記載しているn 数と算出に用いた基数が異なる場合がある。
出典元:美容センサス2024年上期「ネイルサロン編」(リクルート)
構成/こじへい