消費される情報より思考の血肉になる情報を得て心をととのえる
クリエイティブディレクター
辻 愛沙子さん
社会派クリエイティブを掲げ、「思想と社会性のある事業作り」と「世界観にこだわる作品作り」を2軸に大学時代から広告、商品プロデュースを手がける。
大自然にいることが最高の脳内デトックスです
──辻さんは大学時代からキャリアをスタートし、現在「arca(アルカ)」の代表として広告やイベントなどのクリエイティブディレクションを手がけるほか、テレビのお仕事などもされていて、とてもアクティブな印象があります。
学生時代から過集中になりやすく、疲れが蓄積し、身体に変調が表われてようやくオーバーワークに気づくみたいなところがありました。一日中ずっと息を止めているような感覚で、作業に集中していると、夜になって疲労がガッと押し寄せるタイプです。疲れには脳と身体とメンタルの3軸あり、それぞれ、「疲れがたまるとこういうミスをする」とか、「人と会うことにエネルギーを割かなくなったな」とか、自分にとっての疲労のサインがあるので、傾向と対策を意識しています。
──少し前に体調を崩し、休養を取っていたそうですね。
ウイルス性だったのでこればっかりは傾向と対策では防ぎきれない感じなのですが(笑)、緊急入院になりまして。療養中に、改めて、疲れの正体が仕事のしすぎだけではなく、自分に入ってきた情報の質にもあることがわかりました。もともと仕事柄SNSを見ることが多く、情報は私の血肉として吸収されていく感覚があるのですが、その中でも少しずつ自分を削っているような種類のものがあるなと。あくまで自分にとってはですが、例えば、煽る言葉の多いゴシップ記事のような誰かを消費する情報は、特に脳のリソースを消耗させていることに気がつきました。
──SNSを以前ほど積極的にやっていないことも関係がありますか?
そうですね。タイムライン上に上がってくる情報に、精査されていないものや、語気が強いものが増えてきて、風向きで対立を煽り合うような流れに嫌気が差したこともあります。Xもマネタイズできる仕様に変わってから、どこか騒がしい居酒屋にいる感じがして、少し距離を取る時間が増えました。良い悪いではなく、どちらかというとノイズを感じる情報よりも、編集がしっかりされた本を読んだり、映画を楽しんだりする時間のほうが好きですね。
──そのほかに普段の疲れをリフレッシュするコツはありますか?
日常的なガス抜きと、中長期的ガス抜き、2つのリフレッシュ法ですね。コロナ禍以降リモートワークが増え、変化ない同じ環境にい続けると、起動し続けて熱くなったパソコンのように、動きが鈍くなる感覚があります。日常のガス抜きは、そんな鈍くなった頭や気分を切り替える小さな手段。ずっと五感が刺激され続けると疲れますからね。
──中長期的なガス抜きとは?
ダイビングとシュノーケリングですね。先日も石垣島に出かけ、毎日海に出て、ウミガメやマンタと泳ぎ、非日常な時間を過ごしました。デジタルデトックス的な目的もありましたが、月並みながら、刻一刻と景色が変化していく大自然のすごさに圧倒されましたね。新しい場所や環境に触れることで、脳、メンタル、身体の3軸がすべてリフレッシュできました。
──ガス抜き法として具体的に挙げていただいたものは多岐にわたりますね。
今、突然思い出したのですが、マットレスを忘れていました(笑)。元々睡眠をおざなりにしがちだったのですが、シモンズのマットレスに替えてから目覚めた時の疲労回復度合いが明確に違います。こちらもおすすめしておきます。
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