余計な疲労をためないコツは、ルーティンに少しの「味変」を加えること
issin代表取締役CEO
程 涛(てい とう)さん
中国・河南省生まれ。2008年東京大学大学院・創造情報学専攻の修士在学中に東大発ベンチャー「popIn」を創業。2021年にissinを立ち上げ『スマートバスマット』、『スマートファイブミニッツ』の開発・販売を行なう。
ヒットメーカーの疲労回復は小さな発見と楽しい経験の積み重ね
──程さんは、世界初の照明一体型3in1プロジェクター『popIn Aladdin』を生んだpopInの創業者であり、2021年に立ち上げたissinでは、『スマートバスマット』もヒットしました。経営と商品開発のデュアルポジションは、かなり脳が疲弊しそうですが。
経営者あるあるですが、事業がうまくいかず、次の展開に手詰まりすると、かなりの疲労を感じます。経営に波があるとわかっていても、定期的に上げ下げの波がやってくると余計に疲れるんです。プロダクト開発では、アイデアが閃くまでと、遅々として開発が進まない時が特にきついですね。経営も開発も、正解が見つかるまでひたすら考え続けますから、脳への負荷は相当だと思います。
──中でも一番脳疲労を感じる瞬間は?
朝から晩までずっとミーティングが続いた時ですね。内容もそれぞれ違いますから、脳のリソースに余裕がなくなり、正しい判断ができなくなります。結果として決断や次に進む方向性を決めるのが先延ばしになることもしばしばです。
──そんな時の疲れはどのように解消しているのでしょうか?
今年になって始めたのですが、疲れや眠気が出る午後3時前後に、10分程度社員全員で身体を動かすんです。これがかなりイイ。ゲーム要素を取り入れたレクリエーションのような軽運動で、メニューはオリジナル。社員が交代で考えています。体操のように形にはまったものではなく、おしゃべりしながら身体を動かすので、社員間のコミュニケーションも深まり、脳のリフレッシュになるんです。
──毎回やり方を変えることにも程さんのこだわりがあるそうですね。
同じことをやると慣れてしまいますからね。ルーティンにも「味変」を加え、常に楽しいと感じる体験をつくり出すことが、脳にも大事かなと思っています。
──ちなみに、デスクに丸い穴の開いたクッションのようなものがありますが。
あれは穴の部分に顔を当ててうつぶせ寝ができる枕です(笑)。眠気は周りにも伝染しますから、仕事効率を高める意味でも、短時間の昼寝は推奨しています。
──会社を離れて、プライベートで実践している疲労解消法はありますか?
歩くことですね。会社から家まで徒歩で帰る時間にアイデアがよく浮かぶんです。会社で2〜3時間考え続けるより、歩いている30~40分で解決策にたどり着くことも。休日は家族サービスを兼ね、3人の子供たちと一緒に街歩き。あえて目的地を決めず、子供たちがじゃんけんをして、勝った人が行きたい方向に進むという冒険感覚を取り入れているのがポイントです。新しい風景に出会ったり、お店や施設を見つけたりなど、毎回発見があり、仕事のヒントになることも。冒険の旅を終えると脳の疲れがスーッと引いていくのがわかります。実はこれが一番の脳疲労回復法かもしれませんね。
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