スマホ社会の中で急増する30~50代のスマホ依存。脳を疲れさせるだけではなく、記憶力や情報処理能力を低下させるためビジネスパーソンにとっても脅威だ。認知症医療の第一線で活躍する医師に症状と予防法を聞いた。
脳神経外科医
奥村 歩さん
認知症の専門医。『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』『スマホ脳の処方箋』や認知症シリーズなど著作は累計30万部を突破。
スマホの使いすぎはビジネスパフォーマンスも劣化させる
情報検索から映像、音楽、キャッシュレス決済までスマホ1台で完結できる時代。無意識にスマホを触る「ダラダラスマホ」など〝スマホ依存〟が問題になっている。これは、端末から新しい情報を得る時にドーパミンが分泌されるため、他の依存症と同様、快楽を得るために常にスマホを操作していないと落ち着かなくなる状態のことだ。
しかし、スマホの問題はこれだけではない。スマホを長時間使い続けることで、記憶力や集中力が低下。物忘れが増え、イライラや肩こり、睡眠障害を起こすきっかけにもなる。
『おくむらメモリークリニック』院長で、脳神経外科医の奥村歩医師によると、当院の「もの忘れ外来」には、約10年前からスマホが原因と思われる30~50代の脳過労患者が急増しているという。
「記憶障害によって仕事に穴をあけてしまったり、今までは普通にできていた仕事が遅々として進まなくなったり、ビジネスの大きな支障となっています。また、会議でも言いたい言葉が出てこない、発言者の言うことが頭に入ってこないなど、情報処理能力の低下も顕著になっています」と警鐘を鳴らしている。
スマホを1日に見る時間は平均で何時間くらいですか?
スマホユーザーの半数以上が1日に3時間以上、5人に1人が2時間程度スマホを使用。別データでは、最も利用の多い時間帯は夜間の18~0時で61.07%。使用目的では55.62%がアプリとゲーム、21.47%が動画視聴だった。
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