Q. 疲れている時に体調を崩しやすいのは関係ある?
疲労で自律神経が酷使されると、免疫機能も低下する
疲れがたまると、風邪をひくなど体調を壊しやすいもの。この現象も、たまった疲労によって引き起こされるという。
「自律神経には体内の機能を正常に保つ働きがあります。でも、自律神経の疲労が慢性化すると免疫系や内分泌系に支障を来し、身体の不調が増えてしまいます。放っておくと、精神にも影響し、うつ症状を呈することもあります」
Q.「身体の疲れ」と「頭の疲れ」は同じ?
メカニズムは同じ。身体の疲れも、疲れているのは「脳」
運動後と仕事終わりの疲労感は別モノに感じがちだが、「どちらも疲れているのは脳だ」と梶本先生は続ける。
「運動中には筋肉以上に自律神経が酷使されています。身体負荷が増し、脳に酸素と栄養を安定供給するため、呼吸や心拍、体温を秒以下の単位で調整し指示し続けるので非常に疲弊します。これが、人々が『運動すると疲れる』と感じる現象を引き起こすのです」
Q. 最近、仕事や趣味に集中できず、すぐに飽きてしまうのはなぜ?
「飽きた」は脳からのサイン。5分でいいので休憩を!
仕事への集中力や新たな趣味への情熱が続かない。そんな「飽き」も、脳の疲労が関係している。
「『飽きた』と感じるのは脳が疲れているサインです。さらに、自律神経は年とともに衰えていくので、若い頃と同様の継続力を維持するのは難しくなる。根詰めるのではなく、1時間に5分程度でいいので休憩をはさんで別のことをするだけでも、脳が休まり、仕事や趣味を飽きずに継続できます」
Q. 仕事中は平気なのに、帰宅後に疲れが押し寄せるのはなぜ?
〝隠れ疲労〟です。真面目なビジネスパーソンこそ要注意!
仕事中は疲れを感じなかったはずなのに、いざ家に帰るとどっと疲れを感じてしまう。そのメカニズムとは?
「動物は脳の疲労の信号を感じたら、生命の危機を感じて休息します。でも、人間は欲を感じる脳の部位・前頭葉が発達しすぎて、強い意欲や達成感を抱くと、信号が打ち消されてしまう。すると、脳が疲れているのに本人は疲れを感じない〝隠れ疲労〟状態に。これが続くと過労死も起こりやすいので、責任感ある真面目なビジネスパーソンほどご注意を」
取材・文/藤村はるな イラスト/タイマ タカシ