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「疲労」の正体は?疲れているのは身体ではなく脳だった!

2024.07.08

デスクワークは自律神経を酷使している

集中力や注意力を高めるとなぜ疲れがたまる?

 デスクワークは運動などに比べると「体を動かさない分、疲れにくい」と思いがち。だが、自律神経への負担は大きいという。

「自律神経には、身体を活発に活動させる交感神経と、身体をリラックスさせる副交感神経の2系統があり、24時間休まずに調節を行なっています。デスクワークをする際は交感神経を活発に働かせますが、集中するほどに自律神経の神経細胞の活動が増え、活性酸素が大量に発生します。先ほど説明したとおり、これによって自律神経がサビつき、疲労が生じてしまうのです」

 デスクワークにつきものである眼精疲労も、単なる目の疲れではなく、自律神経の使いすぎが深く関わっている。

「はるか昔、人間が狩りをしていた時代は、獲物を捕る際は緊張感をもって遠くに焦点を合わせることが多かった。一方、家族や仲間との時間や食事の時間は、休息モードで近くのものに焦点を合わせていました。そのため、人間を含む動物の眼は、交感神経優位の時は遠くに、副交感神経優位の時は近くに焦点が合うよう進化しました。でも、現代のデスクワークでは、緊張感をもって交感神経を高ぶらせながらパソコンなど近くの対象に焦点を合わせます。この行為は、本来の機能と矛盾した状態です。これが続くことで自律神経が混乱し、その結果、眼精疲労につながってしまうのです」

自律神経は無意識に働き続ける

「脳の疲れ」を取れば、疲労はスッキリ消える

1日の疲れを足し算し、疲労を体にためない工夫を

 デスクワークをはじめ仕事によるストレスなどで自律神経を酷使し、疲労がたまっていくビジネスパーソン。では我々はどのように疲労を防げばいいのだろうか。

「自律神経が酷使されると、自律神経の中枢である前帯状回と視床下部という脳の部位に活性酸素が増え、自律神経機能が低下します。すると、脳の眼窩前頭野に『自律神経を休めろ』と情報が送られる。その情報が脳内で『身体が疲れた』と変換され、アラームとして全身に伝わります。この警報を察知したら、速やかに活動を抑え自律神経を休めることが肝要です。そして、普段からできるだけ自律神経に負担かけない生活を送ることを心がけたいですね」

 では、自律神経に負担をかけない生活とはどんなものなのか。

運動、仕事、ストレスなど、自律神経を使うことで生じた1日の疲れを足し算し、その合計を一定、かつ低く抑えるようにしましょう。気をつけたいのは入浴。熱い風呂に入ると体温を下げようと、自律神経に負荷がかかります。仕事でストレスを感じた日は風呂の温度に気をつけるなど調整してください。疲労は風呂により〝減る〟と考えがちですが、引き算ではなく足し算で考えるのがポイントです

 1日の中で上手にバランスを取り、脳の疲労を抑えていこう。

自律神経の活動に関わる2つの部位

取材・文/藤村はるな 撮影/五十嵐美弥(小学館写真室) イラスト/タイマ タカシ

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