世界遺産ならぬ「世間遺産」を知っていますか?
世界遺産ほど珍しくはないものの、その土地にしかない希少な建物や美しい景観、風習などを世間遺産と呼んでいます。
今回は、2000年代初めから使われだしたとされるこの世間遺産の意味や魅力についてまとめました。東日本きっての “焼き物の町” であり、世間遺産への取り組みを積極的に行っている栃木県益子町について、役場の方に伺ったお話もご紹介しています。
いま注目を集める「世間遺産」とは?
いわば世界遺産のローカル版ともいえるのが、世間遺産。古くからある町の文化を残し、未来へ引き継いでいきたいという思いで誕生し広まったといいます。
世界遺産や重要指定文化財に登録されているわけではありませんが、町や市にとって欠かせないものです。
そんな世間遺産が近年注目されはじめた背景にあるのが、観光のローカル化だといわれます。
インバウンド増加の影響もあり、近年は世界遺産や重要指定文化財のような有名スポットはどこも観光客で飽和状態。人ごみをかきわけて記念撮影をしたり、人気グルメを食べるために行列に並んだりと、のんびり旅行を楽しめないことが多くなってしまいました。京都や鎌倉などの観光地では特に、オーバーツーリズムによる観光公害も深刻化しています。
そんななか、旅行者たちが次に目を付けはじめたのが「まだあまり人に知られていない隠れた名スポット」です。特に訪日観光客や若者に多い傾向で、すでにSNSに上げつくされた観光スポットではなく、知る人ぞ知る絶景やユニークな建物、文化などを求めて自らフォトスポットを探す人も少なくないとか。
ローカルでニッチな隠れた名所を求める人々と、昔ながらの地域の隠れた文化を大切にしている世間遺産の相性はぴったり。ということで、知る人ぞ知る名所を写真に収めたいニーズが増えつつある影響で、世間遺産への関心もひっそりと高まっているといいます。