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自己投資とは、自分自身を成長させる『もの』や『こと』に資金を投じることです。できるだけ早く始めることで、より長く人生を有意義に過ごせるようになるでしょう。意味や種類を解説し、さらに年代を問わず取り組めるおすすめの自己投資の方法を紹介します。
自己投資とは
一般的に『投資』とは、つぎ込んだお金以上のリターンを期待して、お金を使うことを指します。『設備投資』や『投資家』をイメージすると分かりやすいでしょう。
では、自分に投資するという意味の『自己投資』には、どのようなメリットがあるのでしょうか。若いうちから始めた方がいい理由についても解説します。
自分の成長のためにお金を使うこと
自己投資とは、自分を今よりもさらに成長させることを目的としてお金を使うことです。そのため、必然的に時間も労力も費やす必要があります。
自己投資にはさまざまな種類があり、体を鍛えるトレーニング、英会話などを習得する語学の勉強、見識を広げるための旅行などが挙げられます。
自分の能力や人間性を成長させるという目的がなければ、自己投資という意味でのお金の使い方とはいえません。同じくお金を使う行為でも、贅沢や浪費とは対極にある概念ともいえます。
自己投資をすることのメリット
自己投資をすることで、隙間時間を有効に使えます。今までなにげなく過ごしていた時間も、明確な目的を持って使えるようになるため、自分にとって無駄な時間を減らせるでしょう。
自分に自信を持てるようになることもメリットです。自分を磨くことで、何事にも前向きに対峙できるようになり、人生を楽しく過ごせるようになります。
自己投資でお金を使うと、ほかのことに充てられるお金が減るため、自然と贅沢や浪費が少なくなり、お金のありがたみも理解できるようになります。
自己投資を早めに始めた方がいい理由
自己投資は、人生においてできるだけ早い段階から始めるに越したことはありません。実践したことで得た成果をより長く発揮できるということが、その理由です。
例えば、10年かけて習得できるスキルがあれば、20代で勉強に取り組めば30代から、30代で始めれば40代から、そのスキルを発揮することが可能です。
一般的に、年齢を重ねるごとにチャレンジ精神が弱まっていく傾向にあることも、自己投資を早めに始めた方がいい理由として挙げられます。
体力や気力がより充実している若い頃から始めた方が、目標達成までの時間も短縮しやすくなるため、長い人生をより有意義に過ごせるということです。
自己投資の種類
自己投資は、以下に挙げる3種類に大きく分けられます。「自分も始めてみたい」と考えているなら、自分に合った種類を選ぶようにしましょう。
種類1:身体への自己投資
自分の身体にお金をかけるにあたり、想定する目的としては、身体能力の向上・健康維持・美容の三つが挙げられます。
近年は、筋力アップを目指す人が増えており、ジョギングやスポーツジム通いが人気です。肉体労働系の仕事をしている人なら、身体を鍛えることが直接的に仕事上のメリットにつながりやすいでしょう。
健康維持への自己投資もおすすめです。食事やサプリメントにお金をかけたり、健康診断の回数を増やしたりするなどの例が挙げられます。
美容は、特に女性から人気を集めている自己投資の一つです。エステやネイルサロンに通ったり、化粧品にお金を使ったりするだけでなく、ファッションに気を使うことも一種の自己投資といえます。
種類2:能力への自己投資
多くの知識や経験を得ることも、人生がより豊かになったり、仕事における職位向上や収入アップが期待できたりという意味で、自己投資の一つといえます。
専門スキルの習得も、多くの人が定めている自己投資の目的です。現在の仕事に役立つスキルや、就職・転職の際に有利なスキルなど、さまざまなものが対象となるでしょう。
能力アップの手段としては、幅広いジャンルの本を読んだり、専門書で勉強したり、セミナーに通ったり、資格を取得したりすることなどが挙げられます。
いずれも、お金だけでなく、時間もそれなりに必要となる自己投資です。一つの目標に向かって突き進む強い意思を持った人に向いた自己投資といえるでしょう。
種類3:視野を広げるための自己投資
人脈を増やしたり、未経験のことに挑戦したりすることも、それらが自分のためになるなら立派な自己投資です。
多くの人と積極的に交流すれば、仕事における実質的な利益を得られる可能性があるほか、視野を広げられるという点も期待できます。
新しいことへのチャレンジは、人生において常にポジティブな姿勢を保ち続けるという意味で、自分をより成長させられる可能性を秘めた自己投資といえるでしょう。
留学やワーキングホリデーも、向上心の強い人に人気です。特に、仕事をしながら海外でさまざまな勉強ができるワーキングホリデーは、グローバル化が進む現代に生きる社会人におすすめです。
年代別おすすめの自己投資
自分には何が必要で、何をすべきか。年齢ごとにぶつかる壁や任される仕事は異なるため、タイミングに合った自己投資の方法を選ぶことが大切です。
20代、30代、40代の年代別に、今の自分はどんなフェーズにいて、何を求められているのか整理していきましょう。そこから、おすすめの自己投資をひも解いていきます。
■20代で身につけたいスキル
1. コミュニケーション能力
20代は、周囲の力を借りながら成長していく世代です。効果的なコミュニケーションは、チームワークやクライアントとの関係構築に不可欠です。
身につける方法:
コミュニケーションスキルに特化したセミナーやワークショップに参加したり、会社の飲み会に積極的に顔を出したり、無理やりにでも人脈を広げてみましょう。また、 上司や同僚からフィードバックを積極的に受けることで、自分のコミュニケーションスタイルを改善することも大切です。頼られて嫌な気持ちになる人は少ないはず。上司や同僚にこうしたお願いをすることで、自然と関係値も構築されていきます。
2. タイムマネジメント能力
効率的に業務を進めるための「時間配分」や「時間管理」の能力がまだ身についていない20代も多いでしょう。どんな仕事でもスムーズに進めるためには、時間の意識が必要になってきます。
身につける方法:
ツールの活用に挑戦してみましょう。仕事だけでなく、プライベートも含めて TrelloやAsana、Googleカレンダーなどを使ってみるのも自己投資のひとつです。最初は慣れないツールに時間がかかるかもしれませんが、それらのツールはこれからの社会人人生で多いに自分の味方になることでしょう。また、Udemyなどを活用して、時間がある時にタイムマネジメントに関するオンラインコースを受講するのも手です。
3.問題解決能力
ビジネスの現場では、予期しない問題が頻繁に発生します。その際に冷静に対応できる能力が求められます。そんな時、感情的にならないよう、ロジカルな思考を身につけておくと役立ちます。
身につける方法:
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの書籍やコースを通じて、問題解決のフレームワークを学んでみましょう。休日などの時間を学習にあて、実際のプロジェクトで試して、経験を積むことで着実に力は身についていきます。
■30代で身につけたいスキル
1. リーダーシップ能力
30代は管理職やリーダーとしての役割を担うことが増えるため、リーダーシップ能力が求められます。
身につける方法:
企業内外のリーダーシップ研修があったら、まずは参加してみましょう。そこで同じくリーダーとして仕事を推進する人に出会ったり、過去の事例を聞いたりするだけでも経験として蓄積されていきます。また、あえて チームメンバーからのフィードバックを積極的に取り入れる360度評価を取り入れてみるのもいいでしょう。自分のリーダーシップスタイルを改善するヒントが見つかるはずです。
2. 戦略的思考
30代は、会社においてビジネスの方向性を決定する立場に差し掛かります。そのために、長期的な視点で戦略を立てる能力が必要です。
身につける方法:
機会があれば、戦略的思考を学ぶためのビジネススクールやMBAプログラムに参加するといいでしょう。また、書籍から学ぶのもおすすめです。 『マイケル・ポーターの競争戦略』などの戦略に関する本を手に取ってみてください。
3. ファイナンシャルリテラシー
事業の財務状況を理解し、適切な意思決定を行なうスキルも求められます。そのためには、基本的なファイナンスの知識が不可欠です。
身につける方法:
ファイナンスの基礎を学ぶためのオンラインコースやセミナーに参加してみましょう。また、予算管理や財務報告書の分析など、実際の業務を通じて学ぶことも大切です。最初は意味を理解できなくても、わからないところを調べながら目を通すうちに、感覚がつかめるはずです。
■40代で身につけたいスキル
1. チェンジマネジメント能力
40代以降は、組織の変革や新しい戦略の導入を求められるようになっていきます。これを成功させるためには、変化を効果的に管理する能力が必要です。
身につける方法:
チェンジマネジメントのフレームワークを学んでみましょう。また、組織の大きな課題として、変わることへの反発や不安を抱く「チェンジモンスター」が指摘されています。こうした課題についても知識を身につけ、部下や同僚との向き合い方を考えることに時間を割いてもいいでしょう。
2. コーチングスキル
経験を次世代に伝え、組織の成長をサポートするのが役職者の仕事です。そこで注目されているのが、部下が目標達成できるように導くコーチングの能力です。ただ教えるティーチングとは違い、伴走していく姿勢が求められます。
身につける方法:
こちらもまずは、コーチングに関する認定プログラムやワークショップを受講して、知識を身につけましょう。そのうえで実践し、周囲からのフィードバックを受けることで自然と理解が深まります。
仕事でも役立つスキルは?年代を問わずおすすめの自己投資
若者層からミドル層まで、年齢を問わず取り組む価値がある自己投資を紹介します。自分にとって、お金と時間を有効活用できそうなものを選んでみましょう。
(1)トレーニングで体を鍛える
身体への自己投資の中では、トレーニングで体を鍛えることがおすすめです。通いやすい場所にジムがあるなら、定期的に足を運んでみましょう。
近年は、シニア層もジムで汗を流す人が増えています。筋力がアップすれば体の見栄えがよくなるため、自分に自信が持てるようにもなるでしょう。
トレーニングで体を鍛えることは、健康維持にもつながります。特に、仕事が忙しいといった理由で運動不足の人には、時間とお金を健康維持のために使うことをおすすめします。
体を鍛えることは、成果が目に見えて分かることがメリットです。努力が実を結んでいることを実感できるため、長続きもしやすいでしょう。
(2)英会話で語学力を身に付ける
能力開発系の自己投資がしたいなら、英語などの語学力を身に付けるのがおすすめです。完全な初学者であれば、お金や時間がそれなりにかかるものの、納得のいくレベルまでマスターすれば、大きな達成感を得られるでしょう。
海外とのつながりがさらに強まる現代において、英語が話せることは大きな武器になります。仕事の幅を広げたいビジネスマンだけでなく、海外旅行が好きな人にとっても役立つスキルです。
近くに英会話教室がなくても、オンラインの英会話講座であれば、自宅にいながら英会話が学べます。
お金や時間に余裕のある人は、英語に限らずほかの言語に挑戦するのもよいでしょう。自分の価値を高められ、さまざまな活動の場で可能性の幅が広がります。
(3)旅行で異文化に触れる
視野を広げるなら、実際に現地の異文化に触れられる旅行がおすすめです。
人から聞いたり本で読んだりしただけで得た情報とは異なり、非日常的な雰囲気の中で強い刺激を受けながら得られる情報は、その後の成長に大きく役立つことでしょう。
日頃の仕事で疲れた心身をリフレッシュできるのも、旅行のメリットです。気力や体力を充填できるという意味においても立派な自己投資の一つといえます。
海外旅行なら、国内旅行に比べて得られるものはさらに大きくなります。数週間の時間を作り、ワークショップに参加してみるといった経験もおすすめです。
次に、自由に使えるお金や時間が少ない人でも、手軽に取り組める自己投資を紹介します。仕事などで忙しい人におすすめです。
(4)隙間時間に知識が得られる読書
お金と時間を最小限に抑えながら行う自己投資としては、読書がおすすめです。図書館で本を借りれば、まったく費用をかけずに取り組めます。
まとまった時間を確保する必要がなく、自分の都合に合わせて隙間時間を有効活用できることも、読書のメリットです。外出する際に本を携帯しておけば、空いた時間にサッと取り出して読めます。
読書はさまざまなジャンルに対応できるため、設定する目的の幅を広げられることもメリットといえるでしょう。
自己投資で読書をする人の多くは、自分が成長するための答えを見つけやすい『ビジネス書』や『自己啓発書』を選ぶ傾向にあります。
(5)資格の勉強をする
手軽にできる自己投資としては、資格の勉強もおすすめです。資格を取るための受験料だけであれば、多くの場合、数千円程度で済みます。
勉強には、教材やスクールなど、いくらでもお金をかけられる選択肢がありますが、ネット上の学習サイトなどを上手に利用すれば、お金をかけずに勉強することも可能です。
読書と同様、隙間時間を有効活用できることも、資格の勉強のメリットです。学習書やスマホが手元にあれば、空いた時間に少しずつ学習を進められるでしょう。
資格の勉強は、仮に資格を取得できなくても、勉強の過程で得た知識がそのまま自分のスキルになります。資格選びで迷う場合は、仕事に生かせそうな資格に挑戦するのがおすすめです。
上手に自己投資を行なう方法
挑戦してみたい自己投資の方法が決まったら、自己投資を効果的に進めるためのヒントも押さえておきましょう。お金と時間の使い方が大きなポイントです。
(1)金額の目安は年収の10%程度
自己投資に使う金額の目安は、年収の10~15%が望ましいとされています。例えば年収400万円の場合は、40~60万円が投資できる金額の目安です。
自己投資には、人によって少なからず自分にストレスを与える側面もあります。生活費だけでなく、完全な息抜きとしてお金を使いたいこともあるでしょう。
したがって、ある程度の予算を立て、計画的にバランスよくお金を使うことが大切です。
また、若いうちは年収も少ないため、身の丈にあった種類を選ぶことが大事です。自分自身が成長していけば年収も上がり、より高いレベルの自己投資ができるようになります。
(2)スマホを活用して時間を作る
スキルを身に付けるタイプの自己投資は、スマホを有効活用することで、より多くの時間が作れるようになります。
例えば、スマホで資格の勉強をできるようにしておけば、バスや電車で通勤している人なら、通勤中のわずかな時間にも勉強できます。
仕事中や家にいる間も、ちょっとした隙間時間は意外と多く発生するものです。時間ができるたびにスマホで勉強すれば、1日の中でもかなりの時間を勉強に充てられます。
何らかの目標を掲げて行う自己投資には、それなりに強い意思も必要です。時間を有効に使うという意識を持つことで、自己投資をより上手に行えるようになるでしょう。
(3)お金を払うことで時間を確保する
空いた時間を有効活用するだけでなく、時間をお金で買うこともできます。
例えば、1時間の徒歩通勤を20分の電車通勤に変えると、40分という時間をお金で買ったことになるでしょう。この40分は、自己投資の時間として使えます。
お金で時間を確保することは、有意義な人生を送る上で非常に大事な考え方です。自己投資を効果的に進めていく手段としてもおすすめです。
ただし、やみくもに時間をお金で買えばよいというわけではありません。どちらがよいのかをその都度考え、お金を払った方が自分のためになると判断できた場合のみ選択しましょう。
(4)目的を明確にする
どのような種類の自己投資でも、自分磨きの方法としてそれなりに成立します。しかし、「自分はこうなりたい」という明確な目的がなければ、お金や時間を無駄にする可能性は高くなるでしょう。
自己投資の多くは、長く続けることで成果を発揮します。目的が明確でない自己投資を選んでしまうと、考えがぶれやすくなり、長続きしにくくなってしまいます。
自己投資を始めようと考えているなら、実際に取り組む前に「何のためにお金や時間を使うのか」ということを、じっくりと考えることが大切です。
(5)コストとリターンを意識する
一般的な投資は、つぎ込んだお金以上のリターンを期待して行われます。自己投資も、自分への投資である以上は、コスト以上のリターンを意識する必要があるでしょう。
自己投資で得られる成果は、お金で価値が測れるものばかりではありません。コストがリターンに見合うかどうかは、常識的に判断することも大切です。
例えば、何の役にも立ちそうにない資格を取得するために、スクール代として50万円支払うようなケースは、コストとリターンのバランスが悪いと言わざるを得ません。
投資のつもりが単なる浪費にならないよう、コストとリターンを意識して取り組みましょう。
構成/編集部