連日の暑さで疲れが溜まる時期かと思います。疲れた時は「甘い物」、栄養ドリンクでもうひと頑張り、缶コーヒーや炭酸飲料で一服、無料の大盛りライスをがっつり…なんて思い当たる節はありませんか? 実は、これらも慢性疲労の要因なんだそうです。しかも、疲れやすい人は太りやすく、老化も早く、大病も患いやすい…。疲労を放置すれば、寿命まで縮まるとか!
東京・銀座のど真ん中にクリニックを構え、糖尿病やアンチエイジングの名医として日々患者に接する牧田先生。近年では著書累計200万部超を誇るベストセラー医師として、たびたびTVにも登場しています。超多忙であるにもかかわらず、若々しく、活気に満ち、スリムで肌つやもあり、とても73歳とは思えませんが、なぜなのでしょうか?
本記事では牧田先生の最新刊「疲れない体をつくる最高の食事術」から一部を抜粋し、牧田先生のように疲れ知らずの体を手に入れるヒントを解説していきます!
「疲労」「肥満」「老化」を防ぐ15の基本〈基本9〉食物繊維を摂る。「腸活」を怠らない
元気な状態を表す言い回しに、「快眠・快食・快便」があります。
これら3つの要素は、互いにリンクしています。快便は快食や快眠がつくるし、快便がなくては快眠も快食もかないません。
そして、ここで言う「快食」とは、食欲があって美味しく食べられる状態を指します。その上で、食事内容にこだわり、かつ腹八分目を守れたらベストです。
ガツガツ大食いするのは、決して快食ではありません。それをやっているから、よく眠れず疲れが溜まり、腸内環境も整わないのです。
2章では、腎臓が老廃物や毒素を濾過して出す「尿」の重要性について述べましたが、もちろん「便」も疎かにはできません。なぜなら、便は「腸」という大切な臓器の働きの結果を示すものだからです。
過去において、腸は「便を排泄する器官」くらいにしか見られていませんでした。しかし、今は腸に関する研究が世界中で進んでいます。
その結果、腸内環境が悪いと、下痢や便秘という不調を招くだけでなく、疲労を溜め込み、あらゆる病気に罹りやすくなることがわかってきました。
腸内環境を整えるために、非常に重要なのが「腸内細菌」の存在です。
皮膚や口腔内など、私たちの体には、もともとさまざまな細菌が大量に住み着いています。なかでも大腸内には、1000を超える種類の腸内細菌がいて、重さにすると1~1.5キロにもなります。
この1000を超える種類の腸内細菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の大きく3つに分類されます。日和見菌は、その名の通り、状況に応じて善玉菌にも悪玉菌にもなります。
いずれにしても、悪玉菌に対して善玉菌優位にしておくことが大事です。
ただ、食事内容が悪かったり、強いストレスがかかったりすると、そもそも1000を超えていた腸内細菌の種類自体が減ってしまうことがわかっています。
それによって、善玉菌や悪玉菌の割合にもゆがみが生じ、腸内環境を整えにくくなるのです。
■水溶性も不溶性もバランス良く
種類豊かな腸内細菌を持った人の大腸は、まるでさまざまな花が分布して咲き誇るお花畑のようで、そこから「腸内フローラ」という言葉が生まれました。
多様性があって善玉菌優位の腸内細菌を育て、見事なお花畑をつくるには、食事が大事。なかでも、食物繊維が不可欠です。
食物繊維は、ほかの栄養素と違って小腸で吸収されず大腸まで届きます。
その食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ異なる良い働きをします。
ワカメやヒジキなどの海藻類や、キノコ類に多く含まれる水溶性食物繊維は、腸内細菌の餌となります。
一方、キャベツやレタスなど野菜類に多い不溶性食物繊維は、便の嵩を増やして便秘を解消してくれます。
いかにも食物繊維が豊富そうなごぼうやにんじんは、水溶性と不溶性の両方をバランス良く含んでいます。
こうした食材を偏らずに食べていくことで、腸内環境が整っていきます。
また、腸の炎症を引き起こすようなものを食べないことも大事です。下痢や便秘も腸の炎症の一つですが、とくに、「リーキーガット症候群」には注意が必要です。
リーキーガット症候群とは、もともと余計なものはなにも通さないはずの腸の表面に、ごく小さな穴が開いてしまう病態です。これによって、老廃物の毒素が血液を通して体内に回ってしまうのです。
当然、慢性疲労が抜けにくくなりますし、ほかのさまざまな病気を呼び込みやすくなります。
■便の状態は黄土色のバナナ状が理想
ストレスもリーキーガット症候群の大きな原因ですが、人工甘味料や添加物など、不自然な食材によっても引き起こされることがわかっています。
現代人にリーキーガット症候群が激増しているのは、こうした食材と無関係ではないでしょう。
なお、便の状態はちゃんとチェックしましょう。
いい便としては、黄土色で柔らかいバナナ状のものが1~2本、するりと出たら最高です。そういう便はあまり臭いも強くなく、お尻を拭いたとき、ペーパーにくっつきません。かつ、軽く水に浮いたような状態になります。
逆に、コロコロと固かったり、柔らかすぎて形にならなかったりするような便が出ていたら、腸内環境の悪化を疑う必要があります。
黒い便や重い便、臭いの強い便も同様です。
疲れ知らずの健康体を手に入れたいなら、食事の記録と共に、排便の記録もつけるといいでしょう。
☆ ☆ ☆
いかがだったでしょうか?
牧田先生によれば身も心も若々しくいられる秘訣は、「すべて日々の食事にある」そうです。医学的、生化学的に正しい知識を身につけ、できることから少しずつ実践するだけで、牧田先生のように疲れ知らずの体を手に入れることができ、しかも太らず、老けずに、病気を遠ざけることができます。
名医が実践する「医学的に正しい食事術」が詰まった一冊「疲れない体をつくる最高の食事術」をぜひ書店でチェックしてみてください。
「疲れない体をつくる最高の食事術」
著者/牧田善二
発行/小学館
【Amazonで購入する】
【楽天ブックスで購入する】
牧田善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長・医学博士
糖尿病・合併症治療・アンチエイジング専門医1951年、北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されるAGEの研究を約5年間行う。
血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New England Journal of Medicine』『Science』『THE LANCET』などのトップジャーナルに論文を発表する。
北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を経て、2003年から糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に、シリーズ90万部超の『医者が教える食事術 最強の教科書』、10万部超の『糖質中毒 痩せられない本当の理由』ほか多数。著書累計は200万部を超える。
AGE牧田クリニック
構成/DIME編集部