連日の暑さで疲れが溜まる時期かと思います。疲れた時は「甘い物」、栄養ドリンクでもうひと頑張り、缶コーヒーや炭酸飲料で一服、無料の大盛りライスをがっつり…なんて思い当たる節はありませんか? 実は、これらも慢性疲労の要因なんだそうです。しかも、疲れやすい人は太りやすく、老化も早く、大病も患いやすい…。疲労を放置すれば、寿命まで縮まるとか!
東京・銀座のど真ん中にクリニックを構え、糖尿病やアンチエイジングの名医として日々患者に接する牧田先生。近年では著書累計200万部超を誇るベストセラー医師として、たびたびTVにも登場しています。超多忙であるにもかかわらず、若々しく、活気に満ち、スリムで肌つやもあり、とても73歳とは思えませんが、なぜなのでしょうか?
本記事では牧田先生の最新刊「疲れない体をつくる最高の食事術」から一部を抜粋し、牧田先生のように疲れ知らずの体を手に入れるヒントを解説していきます!
疲れ知らずの体を手に入れる10の鉄則〈鉄則3〉一番いけないのは「液体の糖質」
疲れ知らずで健康な体を保ちたいと考えたときに、絶対に摂るべきではない食材の代表が「液体の糖質」です。
具体的には、液体に大量の糖質が溶け込んでいる清涼飲料水、缶コーヒー(無糖タイプを除く)、エナジードリンクなどです。
「○種類の野菜が摂れる」という売り文句の野菜ジュースや、果汁100%の果物ジュースも同様で、非常に多くの糖質を含んでいます。
私自身、こうしたものは一切、口にしません。私の水分補給は、もっぱらミネラルウォーターで行っています。
ではなぜ、そこまで液体の糖質を避けるのか。
同じ糖質でも、米飯やパンのような固形物なら、嚙んで、胃で消化して……という時間がかかるため、血糖値の上昇も比較的緩やかです。ところが、液体だと消化の手間がいらないため、すぐにドカンと血糖値を上げてしまいます。
この急激な血糖値上昇現象を、専門的には「血糖値スパイク」と表現します。
血糖値スパイクが起きると、上がりすぎた血糖値を下げるために、膵臓からたくさんのインスリンが分泌されます。そして、そのインスリンの作用で、今度は血糖値が下がりすぎ、疲労感や吐き気などの症状を引き起こすわけです。
血糖値スパイクを頻繁に起こしていると、そのたびにインスリンを大量に分泌する必要があり、次第に膵臓が疲弊していきます。やがて、疲れきった膵臓の働きが悪くなって、インスリンを出すタイミングが遅れます。すると、血糖値を下げることが難しくなり、糖尿病を発症します。
つまり、液体の糖質は、慢性疲労の原因になるだけでなく、糖尿病に罹りやすい危険な食材なのです。糖尿病に罹れば、その合併症で腎臓がやられ、さらに疲れやすい体になることは2章で説明した通りです。
気をつけてほしいのは、健康に良さそうな野菜ジュースやスポーツドリンクにも糖質がたくさん含まれていることです。
実際に、学校の部活動でスポーツドリンクを多飲していた中学生が、いきなり高血糖で昏倒し、救急車で搬送された事例も報告されています。
こうしたケースを「ペットボトル症候群」と呼びますが、若くして重症の糖尿病を発症しているわけで、実に深刻な問題です。
たとえば、コカ・コーラはペットボトル500mLの場合、56.5グラムの糖質を含んでいます。これは、角砂糖14個分に相当します。
とくに炭酸が入っている飲み物は、清涼感にごまかされ甘さに気づきにくくなります。しかし、ためしに蓋を開けたまま放置し、炭酸が抜けた状態で飲んでみると、砂糖水のような甘さに驚くはずです。
つまり、清涼飲料水は、自分が想像しているよりも遙かに多くの砂糖を摂ってしまう飲み物なのです。
■水は飲めば飲むほど腎臓に良い
缶コーヒーも、ほどよい苦みがあるがゆえに、甘すぎることがわからなくなります。こうしたものを日常的に口にしていると、簡単に糖質中毒に陥ります。
仕事を途中で抜け出し、限られた喫煙所で一心不乱にタバコを吸っている人たちは、ニコチン中毒(依存症)に陥っています。同様に、あるタイミングで缶コーヒーなどを飲むのが決まりになっている人もまた、糖質中毒である可能性が高いのです。
まずは、液体の糖質を「厳禁」とし、ペットボトルの飲料でも、ミネラルウォーターや糖質の入っていないお茶類を選ぶ癖をつけてください。
なお、清涼飲料水のシュワシュワした刺激が好きな人は、ハイボールなどをつくるときに使う「炭酸水」を飲んでもいいでしょう。なんの味付けもしていない炭酸水なら、余計な糖質を摂ってしまう懸念はありません。
水は飲めば飲むほど腎臓に良いということが研究で分かっています。できれば一日2リットル以上の水分を摂るように心掛けましょう。
☆ ☆ ☆
いかがだったでしょうか?
牧田先生によれば身も心も若々しくいられる秘訣は、「すべて日々の食事にある」そうです。医学的、生化学的に正しい知識を身につけ、できることから少しずつ実践するだけで、牧田先生のように疲れ知らずの体を手に入れることができ、しかも太らず、老けずに、病気を遠ざけることができます。
名医が実践する「医学的に正しい食事術」が詰まった一冊「疲れない体をつくる最高の食事術」をぜひ書店でチェックしてみてください。
「疲れない体をつくる最高の食事術」
著者/牧田善二
発行/小学館
【Amazonで購入する】
【楽天ブックスで購入する】
牧田善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長・医学博士
糖尿病・合併症治療・アンチエイジング専門医1951年、北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されるAGEの研究を約5年間行う。
血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New England Journal of Medicine』『Science』『THE LANCET』などのトップジャーナルに論文を発表する。
北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を経て、2003年から糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に、シリーズ90万部超の『医者が教える食事術 最強の教科書』、10万部超の『糖質中毒 痩せられない本当の理由』ほか多数。著書累計は200万部を超える。
AGE牧田クリニック
構成/DIME編集部