連日の暑さで疲れが溜まる時期かと思います。疲れた時は「甘い物」、栄養ドリンクでもうひと頑張り、缶コーヒーや炭酸飲料で一服、無料の大盛りライスをがっつり…なんて思い当たる節はありませんか? 実は、これらも慢性疲労の要因なんだそうです。しかも、疲れやすい人は太りやすく、老化も早く、大病も患いやすい…。疲労を放置すれば、寿命まで縮まるとか!
東京・銀座のど真ん中にクリニックを構え、糖尿病やアンチエイジングの名医として日々患者に接する牧田先生。近年では著書累計200万部超を誇るベストセラー医師として、たびたびTVにも登場しています。超多忙であるにもかかわらず、若々しく、活気に満ち、スリムで肌つやもあり、とても73歳とは思えませんが、なぜなのでしょうか?
本記事では牧田先生の最新刊「疲れない体をつくる最高の食事術」から一部を抜粋し、牧田先生のように疲れ知らずの体を手に入れるヒントを解説していきます!
疲労を招く食生活でなぜ太るのか〈カロリーではなく糖質が原因〉
これまで何度も述べてきたように、糖質をたくさん摂ると血糖値が乱高下し、眠気やだるさ、集中力の低下などに代表される慢性疲労を招きます。みなさんの疲れをつくりだしているのは、糖質の多い食生活です。
では、それがなぜ、肥満に繫がるのでしょうか。
いまだに多くの人が、太るのは「カロリーの高いものを食べ過ぎているからだ」と思っています。
「瘦せたければ、出る(使う)カロリーよりも、入れる(食べる)カロリーを少なくすればいいだけだ」と、したり顔で言う人もいます。医師ですら、そう信じている人がたくさんいます。
一見、論理的なようですが、人間の体はそれほど単純なものではありません。そこには、消化・吸収などの「生化学」の視点が抜け落ちています。
「カロリー理論」でいくと、カロリーが高い脂身たっぷりのステーキをたくさん食べていれば、どんどん太ってしまいます。しかし、そんなことはありません。
実際には、脂身たっぷりのステーキを3枚食べた人より、米飯を3杯食べた人が太ります。太る原因は、糖質であって、タンパク質や脂質ではないからです。
そのメカニズムを説明しましょう。
前にもふれたように、米飯などに含まれる糖質も砂糖と同様、消化の過程ですべてブドウ糖に分解されます。
そのブドウ糖は、小腸から血液中に吸収されて血糖値を上げます。そのとき、膵臓からインスリンが分泌されて、血糖値が上がりすぎないよう対処します。
そして、この「対処」が肥満に繫がるのです。
血液中に余ったブドウ糖は、最初はインスリンによってグリコーゲンという物質に変えられ、筋肉や肝臓に蓄えられます。
ただ、グリコーゲンとして貯蔵できる量はさほど多くなく、残ったブドウ糖は、今度は中性脂肪に変えられ、脂肪細胞に取り込まれます。
どうして、余ったブドウ糖が中性脂肪に変えられるかといったら、そのほうが備蓄するのに効率的だからです。
■日本人の食生活は圧倒的に糖質が多い
糖質は1グラム4キロカロリーなのに対し、脂質は同じ1グラムで9キロカロリーのエネルギーを持っています。少しでも軽い状態で多くのエネルギーを有しているほうが有利ですから、ブドウ糖が積極的に中性脂肪に変えられるのです。
これもまた、人類が生き抜くための優れたプログラムですが、糖質過多の現代社会においては、それによって多くの人が太ってしまうわけです。
つまり、肥満のメカニズムは、糖質を摂りすぎて余ったブドウ糖が中性脂肪に変えられ、脂肪細胞に取り込まれるというものです。
口から食べたステーキの脂身が、そのまま脂肪細胞に取り込まれるわけではありません。あくまで、糖質がみなさんを太らせるのです。
そもそも脂質は、多くの人が想像しているような悪者ではありません。それどころか、脂質は細胞膜の原料となるなど重要な働きをしており、むしろ摂取量が足りていないくらいです。
一般的な日本人の一日の三大栄養素摂取量は、タンパク質約70グラム、脂質約60グラムであるのに対し、炭水化物(糖質)は4倍ほどの約250グラムにもなります。
このように、圧倒的に糖質が多いのが日本人の食生活の特徴です。
しかも、これは平均的な値であって、米飯やパン、麺類が好きな人はもっと食べているでしょう。
その結果、疲れやすくて太りやすい体になってしまうのです。
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いかがだったでしょうか?
牧田先生によれば身も心も若々しくいられる秘訣は、「すべて日々の食事にある」そうです。医学的、生化学的に正しい知識を身につけ、できることから少しずつ実践するだけで、牧田先生のように疲れ知らずの体を手に入れることができ、しかも太らず、老けずに、病気を遠ざけることができます。
名医が実践する「医学的に正しい食事術」が詰まった一冊「疲れない体をつくる最高の食事術」をぜひ書店でチェックしてみてください。
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著者/牧田善二
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牧田善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長・医学博士
糖尿病・合併症治療・アンチエイジング専門医1951年、北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されるAGEの研究を約5年間行う。
血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New England Journal of Medicine』『Science』『THE LANCET』などのトップジャーナルに論文を発表する。
北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を経て、2003年から糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に、シリーズ90万部超の『医者が教える食事術 最強の教科書』、10万部超の『糖質中毒 痩せられない本当の理由』ほか多数。著書累計は200万部を超える。
AGE牧田クリニック
構成/DIME編集部