讃岐うどん専門店の「丸亀製麺」が、うどん生まれのスイーツ商品「丸亀うどーなつ」を開発した。名前の通り、〝うどん+ドーナツ〟というまったく新しい組み合わせのこちらのスイーツ、実際、原材料にうどんを30%以上使用しているのが特徴だ。
今回、販売されるのは、「丸亀うどーなつ きび糖味」と「丸亀うどーなつ やみつきカレー味」の二種類。すでに全国の丸亀製麺で販売がスタートしている。
一足早く開かれた6月18日の発表会には、テレビCMに出演の上戸彩さんと原菜乃華さんも登壇、当社の新商品にかける強い意気込みが伝わってきた。
なぜ、丸亀製麺は本業以外のスイーツ分野に挑戦したのだろうか、その意図を探ってみたい。
立て続けにヒット商品を発売してきた丸亀製麺
丸亀製麺といえば、手づくり・できたてにこだわった讃岐うどん専門店として有名だ。各店舗で毎日、粉から麺をつくり、出汁をひいている。2000年に1号店を兵庫県に出店して以来、「セルフうどん」業態の店として積極展開をしてきた。2011年には全都道府県への店舗出店を達成。現在、国内の店舗数は833店舗(2023年3月期の決算資料より)、「うどん業界」ナンバーワンであり、日本人の誰もが知るうどん店といえるだろう。
一方で、新たな事業展開も積極的である。コロナ禍の2021年4月には、「打ち立て丸亀うどん弁当」の販売をスタート、うどんが弁当になるというアイデアと、店舗以外でうどんを食せるということが時代にマッチし、累計4200万食の大人気商品へと成長した。
また、よりフリースタイルで楽しんでほしいと2023年に誕生したのが「丸亀シェイクうどん」だ。こちらも弁当と同様、カップに入れるという斬新さ、蓋を閉めてシェイクするというエンターテインメント性、季節を感じられる見た目が消費者に刺さり、こちらもまた人気商品となっている。
このような新商品への果敢なチャレンジ成功が続く中で、満を持してのスイーツ商品投入なのである。
〝丸亀製麺らしいスイーツとは?〟から生まれた「うどーなつ」
今回、開発にかけた期間は構想段階を含めると約3年。甘味の領域にチャレンジし、試作とテスト販売を繰り返してきた。試作品を作るたび一定の人気を誇るものの、丸亀製麺の山口寛社長によれば「どれも丸亀らしさが足りなかった」という。
〝丸亀らしさとは?〟という問いで立ち返ったのは、会社の原点である「手づくり・できたて」にこだわる「もっちもちの麺」。その〝もっちもち〟の食感を生かすスイーツは何だろうということで白羽の矢が立ったのが「ドーナツ」だったというわけだ。
とはいえ、うどんの生地を単純にドーナツに転用すればよいわけではない。「うどん生地をそのまま機械に入れると故障してしまったり、リング型のドーナツだとおいしさを感じられなかったりと試行錯誤を繰り返した数年間だった」(山口社長)
そうした苦労を経て生まれた「丸亀製麺うどーなつ」には〝丸亀製麺らしさ〟がふんだんに詰まっている。
製造はうどんと同様、全て各店舗で行なわれている。うどんをミキサーにかけてペースト状にし、そこに白だしを加えることで旨みと風味を出すこだわりよう。さらに、もっちもちの食感を生みだすために、空気を含ませながら粉と混ぜ合わせ、生地を少し寝かすのもポイントだ。そうした工程を経て、最後に丸い形に整えて、一つ一つ丁寧に揚げているのだ。