大病をしたことで第二の人生について考え、独立を決意
――なるほど。それなのに会社を辞めることを決意したのですね。
阿部:35歳のころだったのですが大病をしたんです。37歳のときに手術をして、命は取り留めたのですが、あとどのくらい生きられるかわからなくて……。今のうちに本当にやりたいことをしたいと思ったのです。何をしようかいろいろと模索して、以前から興味のあった心理学の勉強をして、カウンセラーになりたいと思いました。
――そのとき、すでにFPの資格は取得なさっていたのですか?
阿部:FP資格を取得したのは手術をした直後で、まだ商社に勤めていました。
FPには、日本FP協会が認定する「AFP」(アフィリエイテッド ファイナンシャルプランナー)資格と、その上級資格である「CFP」(サーティファイド ファイナンシャルプランナー)資格、それに国家検定である「FP技能士(1~3級)」があります。
「FP技能士」は検定に合格すれば、それで終わりなのですが、「AFP」と「CFP」に関しては、2年ごとの資格更新時に所定の継続教育が義務づけられていまして、常に知識とスキルの向上が求められます。
まずは「2級FP技能士」の資格を取ろうと思い、通信教育の手続きをしたのですが、その後に病気が進行して、手術をすることになったんです。そのため、手術後に退院してから勉強をして資格を取得しました。その後、「2級FP技能士」の資格があると、手続きをすることで「AFP」の資格が取得できるので、「AFP」の資格も取りました。
――それは大変でしたね。でも、命が危ぶまれるような病気をしたあとに、よく勉強に集中できましたね。
阿部:弱っている自分の気持ちを、奮い立たせたいという思いがあったような気がします。また、病のことだけに向き合うのは苦しかったので、「2級FP技能士=AFP」の資格取得を目指すことで、気持ちが少し楽になった一面もありました。頑張って勉強をした結果、一発で合格することができました。2005年のことでした。
FPの資格取得で得た知識が、独立を後押ししてくれた
――退職なさったのは、それからどのくらい経ってからですか?
阿部:2012年、40代のときに辞めました。退院してから、何となく退職を考えていたのですが、会社に復帰してからしばらくは、退職後に何をしようかとか、心理学関連の学校の情報を集めたり、退職後の社会保障がどうなるか調べたりしていました。
実際に退職したのは、保険業務の部署から異動して、別の部署に移ったときです。その部署での仕事がいまひとつ馴染めなかったんですよね。結局、それが退職を後押しする形になりました。
――会社を辞めることに躊躇はありませんでしたか。
阿部:ええ、「退職はやめたほうがいいんじゃないか」と、周囲のいろんな人に言われました(笑)。でも、FPとして私自身の退職後のキャッシュフローを作って、ある程度の暮らしができる目途が立っていたので、ほとんど迷いはありませんでした。
もちろん不安はありましたが、リスクをとってでも、これからの人生はやりたいことをやろうという想いが強かったんですよね。退職後は、心理学の専門学校へ通いつつ、FPのスキルを身につけるために、個人相談を少しずつ受けたりもしていました。心理学の学校へ通ったのは2年間でしたが、充実した毎日で楽しかったです。
――FPとしての個別相談は、どのようにして集客していったのですか。
阿部:お金に関する個人セミナーを自分で開いて、セミナーに参加していただいた方から相談を受注したり、「お悩み専門のインターネットサイト」に「お金の悩みのカウンセラー」として登録して、そこから依頼をしていただいた方の相談を受けたりしていました。「お悩み専門サイト」には、お金の悩みだけでなく、キャリアアップや、子育て、離婚問題など、さまざまな悩みごとに対応するカウンセラーとして登録できるんです。そうして、少しずつ相談を受けることで、FPとしてのスキルを徐々に身につけていきました。