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英文法は忘れよ!日本語脳で中国語を学習するヒント

2024.06.30

「日本人のみなさんは、他の国の人よりも中国語の習得に大きなアドバンテージがあります」と言うのが中国語教室・翻訳工房「語林」代表の林 松涛(りん しょうとう)先生。

これから中国語を学ぼうと考えている人や、すでに中国語を学んでいるものの、なかなか話せるようにならないという人に、「日本語脳のままで中国語を学びましょう」と呼び掛けている。

中国語を英語と比較するのはNG

外国語と学ぼうと言う人は、最初の外国語体験である英語学習をベースに考えがち。多くの中国語の教科書でも、「中国語の語順は英語のS(主語)+V(動詞)+O(目的語)と同じである」と紹介されていて、英語の文法を基に解説を進めていく教科書が、大多数を占めている。

実はこの英語の文法を持ち出していることが、中国語学習を必要以上に難しくさせている、と説くのが、長年、日本人に中国語を教えてきた林 松涛先生である。林先生は「せっかく中国語は日本語と言語構造が似ているという大きなアドバンテージがあるのに、わざわざ言語構造の異なる英語を持ち出して学ぶのは、もったいない」と、新刊書の「一度読んだら絶対に忘れない中国語の教科書」(SBクリエイティブ刊、定価1870円)で主張している。

中国語と日本語は同じ言語グループにあり、言語の構造が似ている。林先生によると、英語との比較では無く、日本語と中国語に共通する「主題」という考え方で理解すれば、日本人にとって中国語はもっと簡単に身に付くことができると教えてくれた。

中国語と日本語の言語構造に共通する「主題+説明」

林先生によると「まず、中国語と日本語に共通する『主題』という考え方を理解しましょう」と言う。主題を中心とした文のとらえ方として、「ゾウは鼻が長い」という文章を例にしてみよう。中国語では

大象鼻子有长(Dà xiàng yǒu cháng bízi)

となる。これを英語方式で主語を中心とした文のとらえ方で見ると、主語の「ゾウは」と「鼻が」の2つの主語が存在してしまい、「主語+述語文」では理解しにくい。

しかし、これを「主語」ではなく「主題」を中心とした文章として見ると、「ゾウ(大象)」という主題に対して、「鼻が長い(鼻子有长)という説明文を加えていると考えればすんなり理解できる。

この主題+説明という文のとらえ方は「主語優位言語」という名前がつけられた言語に特有のもので、日本語と中国語に見られる特徴である。主語ではなく「主題」を中心に文を理解するというやり方で、この考え方は日本人にとって理解しやすい捉え方なのである。英語のように「主語述語文」として考えるよりも、主題を先に言ってからその説明を加えると見なす。この「主題」という考え方で中国語を理解すれば、日本人の中国語に対する理解が、より簡単に進むと林先生は主張している。

林先生は主語ではなく主題と名付けた理由は他にもある。例えば日本語では普通に言われる「あの映画は見たことがある」という文。これは英語に欠かせない「私」という主語が入っていない。でも林先生の言う通り、映画を「主語」ではなく「主題」と考え、「見たことがある」はこの主題(映画のこと)を説明する文章と捉えれば、「あの映画は見たことがある」はごく自然な日本語であり、翻訳すれば自然な中国語にもなる。

中国語を全く理解していない私でも、林先生の「主題」というとらえ方で文章を構築していく中国語の全体像はとても分かりやすかった。中国語に対する興味が湧いてきて、新しく勉強してみようかなという気にさせてくれる。

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