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ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジ、静粛性、乗り心地、安全性能が大幅に向上

2024.06.27

e:HEV Z PLaYパッケージのFFモデル試乗レポート

さて、今回試乗したのは、e:HEV Z PLaYパッケージのFFモデルである。4WDを試乗することもできたのだが、足回りのアップデートによって、マイナーチェンジ前のヴェゼルのe:HEV、FFモデルの、4WDに比べ硬めでゴツゴツした乗り心地がどのぐらい進化したのかを確かめる意味もあり(4WDの足回りは不変)、選んだ次第である。

撮影 雪岡直樹

走り出してまず実感できたのは、とにかく静かになったということだ。それは一般道、高速道路を問わずで、ロードノイズ、エンジンの透過音が低減したことが分かる。それは、領域が拡大し、粘り強く行われるEV走行からエンジンが始動し、HV走行に移行した時も、それに気づきにくい制御が行われているからだ。エンジン始動回数、停止頻度が大幅に低減したとともに、アクセルレスポンスの向上も体感できた。つまり、より走りやすくなったということだ。加速力そのものは燃費重視のECONモードでは比較的穏やかだが、ノーマルモードにセットすれば、1.5Lエンジン(106ps、13.0kg-m)+2モーター(131ps、25.8kg-m)のハイブリッドコンパクトSUVとして十分以上の動力性能を発揮してくれると言っていい。

マイナーチェンジ後のe:HEVのFFヴェゼルとして注目の乗り心地の進化はどうか。以前あったリヤからの突き上げ感は影を潜め、全体的にクラスアップしたような、フラットで快適な乗り味になっていることを確認。例えば、首都高の段差を乗り越えるシーンでも、軽やかに「タン」といなしてくれるからゴキゲンだ。結果、一段と爽快感ある、藤井風の爽やかでスピード感あるCMソング「きらり」が似合うドライブフィールになったとも言い替えられる。当然、エアコン吹き出し口を備えた後席の乗り心地、快適性も向上していた。

操縦性に関しても、スムーズなステアリングフィール、カーブや山道での路面にぴたりと張り付くような安定感が好ましい。実際には最低地上高185~195mmのSUVらしい高めの乗車位置なのだが、室内高1225mmのセダン、ワゴン感覚の前席空間(天井が低いという意味)もあって、重心の高さを感覚的に感じにくいことも、その要因のひとつだろうか。今回、首都高約60%(主に最新制御のACCを使用)、一般道約30%の走行で、カタログ値のWLTCモード燃費25.3km/Lに対して23km/L近くまで伸びた実燃費性能も、さすがである。

ただし、e:HEV Xグレードの16インチタイヤに対してe:HEV Zは18インチタイヤを履くのだが、最小回転半径が16インチの5.3mから5.5mになるため、小回り性はあまり褒められない。ボディサイズの割に、小回りが効かない印象だった。そして2代目ヴェゼルの登場時から感じていたことなのだが、16インチタイヤはもちろん、18インチタイヤ装着車でもボディとタイヤのバランスの見映えがやや不自然であるように思える点は(個人の感想です)、今も変わらない・・・。

また、初代ヴェゼルに対して容量、使い勝手で後退したと思えるラゲッジルーム(後席使用時でのゴルフバッグの積載は難しい)も、使い方によっては気になる部分と言っていい。この点については、後席の広さとともに大容量ラゲッジルームを持つ、ハイブリッドモデルのないWR-Vがリードしている。

ホンダ・ヴェゼル

文/青山尚暉
写真/青山尚暉 雪岡直樹

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