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フェラーリが電気自動車も生産可能なプラント「e-ビルディング」を公開

2024.06.27

フェラーリは、2024年6月21日(現地時間)、内燃エンジン車両、ハイブリッド車両およびフェラーリ初の電気自動車を生産するプラントである「e—ビルディング」の落成式が執り行われたことを発表した。この落成式には、イタリア共和国大統領であるセルジョ・マッタレッラ氏の立ち会いのもと行われ、フェラーリのジョン・エルカーン会長、ピエロ・フェラーリ副会長、ベネデット・ヴィーニャCEOおよびフェラーリの代表社員たちが大統領を迎えた。

Photo/Duccio Malagamba (C)MCA

■フェラーリ ジョン・エルカーン会長のコメント

「e—ビルディングの落成式にマッタレッラ大統領をお招きできたことを光栄に思います。我々が、人を中心とした職場と環境への配慮を兼ね備えたプラントに投資することは、自信を持ってフェラーリの未来に備えるために不可欠であり、イタリアの卓越性と我が国に対する我々のコミットメントを確実にするものです」

生産の柔軟性

Photo/Duccio Malagamba (C)MCA

フェラーリは、このe—ビルディングを通じて、収益の額より質を優先するという戦略に従って生産の柔軟性を強化。このプラントは、技術的中立の原則を反映しており、フェラーリの特長である「ドライビングの興奮」を提供するための内燃エンジン、ハイブリッドエンジン、および新しい電気モーターの生産と開発が行われる。

さらにフェラーリは、すべてのエンジンおよび電気モーターの生産を1つのプラントに統合することで、マラネッロにある既存の施設間でのすべての生産活動をより効率的に再編成・再配置し、生産ニーズヘの迅速な対応能力を高める。

そして最先端のテクノロジーを備えたe—ビルディングでは、フェラーリのテクノロジーとパフォーマンスの差別化に極めて重要な高圧バッテリー、eアクスルおよび電気モーターなどの戦略的電気コンポーネントが生産される。

環境への配慮

Photo/Duccio Malagamba (C)MCA

このe—ビルディングは、最高水準のエネルギー性能を達成するために様々な設計が施され、屋根に設置された3,000枚を超える太陽光発電パネルなどが、1.3MWの電力を供給する。2024年末に予定されているトリジェネレーションプラントの閉鎖に伴い、e—ビルディングで使用されるエネルギーは、すべて社内外の製造元が保証された再生可能エネルギーとなる。

さらに生産サイクルでエネルギーおよび雨水を再利用するために、複数の最先端ソリューションが採用されている。例えば、バッテリーおよびモーターの試験に使用するエネルギーの60%以上はアキュムレータに回生され、他のプロセスの電力として再利用される。

このプラントは、現在拡張工事中のフェラーリの敷地の北側に建設された。この敷地は、老朽化したエネルギー効率の低い産業用構造物を置き換えることで、新たな土地を消費することなく再開発した。

従業員への配慮

e—ビルディングの設計では、従業員の研修とウェルビーイングが優先され、専用の研修スペースが設けられている。新設ライン担当として選抜された従業員に対する研修コースはすでに2年前に始まっており、新しいシステムや製品に必要なスキルやプロセスを掘り下げるとともに、電気モーターに関する知識を強化することを目的としている。フェラーリの伝統である機械関連および電子関連のスキルが完全に連携することにより、例えば化学やバッテリー組み立ての生産工程など、さらなる能力が相乗効果として開発された。

そして製造工程には、オペレーターのニーズに応じて動作を適応させる協働ロボットや、製品や工程のデジタルレプリカを作成するデジタルツインが採用されている。これらのソリューションによって、テクノロジーを従業員の管理下に置き活用できるようになる。他とは一線を画するフェラーリのモデルレンジの卓越性とディテールヘのこだわりを確実に実現するために、生産工程における従業員の役割はさらに重要なものとなっている。これは、フェラーリのモデルレンジの卓越性とディテールヘのこだわりを確実に実現するためとなる。

なお、プラント内部には、人間工学に基づいたワークステーション、リラクゼーションエリア、音響的・視覚的快適性の実現や適切な自然光と人工光の配分などが、従業員の職場におけるウェルビーイングを改善するさまざまなソリューションも導入されている。

地域社会への配慮

Photo/Duccio Malagamba (C)MCA

e—ビルディングは、地域の産業景観においてフェラーリが中心的な役割を果たしていることの証拠となる。その役割は、地域社会の具体的なニーズに合わせた継続的な投資によって強力に支えられている。

10万平方メートルを超える市街地の再開発と道路インフラの再設計によって、e—ビルディングは都市環境に完璧に融合されている。実際に、敷地内の道路と街とのネットワークを接続する1.5kmの自転車道も建設された。

特に、道路設計では、交通量の多い部分をe—ビルディングの物流ハブ周辺に集中させることで、歩行者ルート近辺の交適量の軽減を図るなどの配慮も行っている。

建築デザイン

Photo/Duccio Malagamba (C)MCA

e—ビルディングのファサードと主要な内部空間は、持続可能なソリューションの開発と都市再生の最前線に立つMCA (マリオ・クチネッラ・アーキテクツ)社がフェラーリチームとの協同で設計を行った。

長方形で高さ25mの新しいビルは、景観や周囲の建物と調和しており、オーダーメイドの非常に効果的な「外皮」を持つファサードが特徴となる。オパリンガラスを採用し、一部に透明ガラスをちりばめることで、建物の印象的な視覚的質量を減衰させ、昼間には自然光が建物内に行き渡り、夜間の外観は光るランタンを想起させる。

このファサードを構成する部材は、現場での組み立てとメンテナンス作業を容易にするために、DfMA (製造性・組立て性を考慮した設計)ロジックに基づいて設計・製造された。これにより、使用されている材料と工程のコスト効率が向上し、環境への影響が軽減されている。

関連情報:https://www.ferrari.com/ja-JP

構成/土屋嘉久

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