「大阪のおばちゃん」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?
“ヒョウ柄” や “おばちゃんパーマ” など昔ながらの外見のイメージ?それとも、 “周囲に臆さない行動力” や “誰にでもフレンドリーな態度” など、内面のイメージだろうか?
どちらにしても、「大阪のおばちゃん」と聞いて何1つイメージがわかないという人はそう多くないのではないかと思う。
誰もがイメージしやすい「大阪のおばちゃん」が操る、独特の「ことば」に着目したのが今回取り上げているワークショップだ。本記事では、京都芸術大学大学院の研究員によって実際に行われたワークショップの様子や研究の背景について、伺ったお話をご紹介する。
いま密かに注目を集める「方言」の魅力
日本の方言は大きく16種類ほどに分けられるという。さらに細かく分類すると、都道府県の数以上にあるという説もある。
そんな方言について、エンタメ的な要素以外にも、コミュニケーション不足をサポートするツールとしての関心が寄せられているとか。近頃では自分の出身地以外の方言を学ぶため、ワークショップや体験講座、書籍を活用する例も少なくなく、なかでも関西弁は知名度・人気共に高い方言として注目されているという。
京都芸術大学大学院のゼミで行われた「大阪のおばちゃんことば」を使ったワークショップとは?
「大阪のおばちゃんことば」の研究を行っているのは、京都芸術大学大学院 芸術環境専攻 学際デザイン研究領域の早川ゼミに所属する2名の研究員だ。22年度の早川ゼミでの修士研究から、更なる研究の深掘りと社会実装を模索するべく、修士終了後も2名が研究員として大学院に在籍し、現在も研究を行っているという。
出典:「大阪のおばちゃんことば」を用いて小さな援助行動を促す、きっかけのデザイン|早川ゼミ|研究|学際デザイン研究領域|芸術環境専攻|京都芸術大学 通信制大学院 芸術研究科
研究テーマは『「大阪のおばちゃんことば」を用いて小さな援助行動を促す、きっかけのデザイン』。公開されている修士研究レポートでは、大阪と東京の意識の差や、大阪独特の文化・歴史的土壌、「大阪のおばちゃんことば」抽出のプロセスなどについて説明されている。
出典:「大阪のおばちゃんことば」を用いて小さな援助行動を促す、きっかけのデザイン|早川ゼミ|研究|学際デザイン研究領域|芸術環境専攻|京都芸術大学 通信制大学院 芸術研究科
ワークショップはこの研究の一環で、定義された「大阪のおばちゃんことば」を活用し、日常の “小さな援助行動” のきっかけとして使うことを習慣化させる手段として開発された。単に大阪弁や関西弁ではなく「大阪のおばちゃんことば」でなくてはならない理由はそこにある。本研究やワークショップの本質は、大阪のおばちゃんのユニークな言葉じりをとらえて楽しむことではないのだ。