間もなく、梅雨や台風で川が増水しやすくなる本格的な「出水期」に入る。このタイミングで改めて防災への備えを確認したいものだが、実際のところ、どれくらいの人が災害への備えを常日頃から徹底しているのだろうか?
NTTドコモの企業内研究所であるモバイル社会研究所はこのほど、「防災への備え」に関する調査レポートを発表した。
1. 約7割は災害に備えて準備をしている
災害に備えて、何をどの程度準備しているのか、調査した結果は図1の通りだ。「懐中電灯」が最も多く、半数を超えた。6項目で調査したが、「何も準備していない」人は約3割となった。
図1. 災害への備え・準備実施率(%)
2.「スマホ用バッテリー」と「数日分の水・食糧」を備えている人は年々増加している
2018年から経年で各備えの変化を見たのが図2だ。伸びているのは「スマホ用バッテリー」と「数日分の水・食糧」となった。何も準備していない割合は年々減少傾向だ。
図2. 災害への備え・準備実施率(経年推移)
※懐中電灯は2023年より実査 懐中電灯を除いて何も準備していない割合2023年35.6% 2024年34.8%
3. スマホ用モバイルバッテリーを備えている人は防災リテラシーが高い
備えている人の伸びが特に大きい「スマホ用モバイルバッテリー」について、持っている人の特性を分析した(ここからは2023年10月実施調査を利用)。図3は年代別に所有状況だ。10代の所有が高く、70代の所有が低い。ただ、20~60代は大きく変わらない。
また、図4ではインターネット利用時間と「スマホ用モバイルバッテリー」の所有状況を合わせて見たが、1時間未満とインターネット利用時間が低い人以外、所有率はあまり変わらない。
この2つのことから、スマホを多く利用している人が「スマホ用モバイルバッテリー」を備えているとは言い切れない。
図3. スマホ用モバイルバッテリー所有率(年代別)
図4. スマホ用モバイルバッテリー所有率(インターネット利用時間別)
ではどういった人が「スマホ用モバイルバッテリー」を備えているか、次に防災リテラシーの高低と合わせて見た。その結果、防災リテラシーが高い人が備えていることがはっきりとわかった(図5)。ちなみに、防災リテラシーは、以下、8問の回答結果を得点化したものだ。
1、2. 発災時自分で何かできるか(身の回り・身の回り以外)
3. 助け合いへの考え
4. 助け合いへの意欲
5. 他人から救助意向
6. 他人への注意喚起
7. 命を守る自信
8. 防災教育・震災伝承への取組)
このことから、災害時に情報収集が重要であり、その収集方法としてスマホが活用されていることが増え、災害時の備えの一つとしてモバイルバッテリーが広がっていると思われる。
図5. スマホ用モバイルバッテリー所有率(防災リテラシーの高低別)
<調査概要>
●「2023年防災調査」― 図3~5
調査方法:Web
調査対象:全国 15~79歳男女
有効回答数:8,991
サンプリング:QUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県のセグメントで日本の人口分布に比例して割付。
調査時期:2023年11月
●「2024年一般向けモバイル動向調査」― 図1,2
調査方法:Web
調査対象:全国 15~79歳男女
有効回答数:6,440
サンプリング:QUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県のセグメントで日本の人口分布に比例して割付。
調査時期:2024年1月
出典元:NTTドコモ モバイル社会研究所
構成/こじへい