手軽な飲み比べもできる!
そうした背景を鑑みながらICHI-GO-CANを観察していくと、このブランドが「手に取りやすさ」を第一にしていることが見えてくる。
一合缶というキリの良いサイズだからこそ、「これを飲んだら次はこの銘柄を試してみよう」という考えが生まれやすいのだ。
今回のイベントで特に注目を集めた銘柄がある。佐賀県の光武酒造場が作った『北斗百裂拳』と『北斗剛掌波』だ。漫画『北斗の拳』とのコラボ商品で、ちゃんと原哲夫先生の描き下ろしイラストもある。
とりあえず最初はケンシロウの酒を試し、それが終わったら拳王の酒を試そう! ということもICHI-GO-CANなら手軽にできるのだ。
日本酒復権への道筋
今回のイベントに先立つ記者発表会は、6月20日の16時から18時にかけて行われた。
ふと、筆者は店の外に出てみる。すると、カフェピアッザの窓に貼られたチラシを眺める中年女性のグループが。盗み聞きはいけないことだと自覚しつつ、女性たちの会話に耳を傾けてみる。どうやらICHI-GO-CANに強い興味を持ったらしく、しばらくしたらまたここへ戻ってくるとのこと。
日本酒の国内出荷量の減少は上述の通りだが、それは日本酒の魅力が損なわれているという意味ではない。輸出量の増加が示すように、日本酒はフランス産のワインにも肩を並べられるほどの上等かつ文化的価値の高い酒なのだ。
そうしたことが見直され、同時に手軽な一合缶が「普遍的な酒の飲み方」として定着した時、日本酒は劇的な復権を果たす可能性がある。
【参考】
全国60銘柄の「ICHI-GO-CAN®」が集結!日本酒イベント「NIPPON SAKE TRIP!!」を新橋駅前で期間限定オープン-PR TIMES
農林水産省
取材・文/澤田真一