事業や投資などに関して、ある分野では利益が出たものの、別の分野では損失が出てしまうというケースもあるかと思います。
このようなケースでは「損益通算」を適切に行うことが、所得税の申告を正しく行うためのポイントです。
事業や投資などを行っている方は、損益通算に関する税法上のルールを正しく理解しておきましょう。
1. 損益通算とは
「損益通算」とは、所得金額の計算上生じた損失を、他の種類の所得の金額から控除することをいいます。
たとえば、ある年に事業所得として300万円を得た一方で、同じ年の不動産所得が100万円の損失だったとします。
この場合、事業所得の300万円から不動産所得の損失100万円を差し引き、トータルの所得を200万円に減らすことができます。これが「損益通算」です。
所得税の申告を正しく行うためには、損益通算を適切に行うことが大切になります。損益通算を忘れると、本来よりも多くの税金を納めることになりかねないのでご注意ください。
2. 損益通算ができる所得・できない所得
損益通算はすべての所得について認められるわけではなく、一部の所得に限って認められています。
2-1. 損益通算ができる所得
損益通算の対象となるのは、以下の所得です。これらの所得については、異なる種類の所得の間で損益通算をすることができます。
(1)不動産所得
(2)事業所得
(3)譲渡所得
(4)山林所得
2-2. 損益通算ができない所得
これに対して、以下の所得は原則として損益通算の対象になりません。
・利子所得
・配当所得
・給与所得
・退職所得
・一時所得
・雑所得
上記の各所得については、同じ所得の範囲内で収入から必要経費などを控除することはできますが、他の所得との間での損益通算は原則として認められません。