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日常会話で使われる『オーラス』には、二つの意味があります。それぞれの意味が何を語源としているのかを判断できれば、正しく使い分けられるようになるでしょう。オーラスの意味や由来、理解を深めるための類義語と対義語を、例文を交えて紹介します。
オーラスとは?2つの意味を解説
オーラスとは、麻雀や日常生活、飲食業のアルバイトなどで使われる言葉です。オーラスには二つの意味があるため、シチュエーションによって使い分ける必要があります。
■最終局面を指す「オールラスト」
オーラスの一つ目の意味は、麻雀の最終局面を指す『オールラスト』です。具体的には南四局が該当し、ゲームの終盤で緊張感を伴う局面を表します。
オーラスは麻雀用語としてだけでなく、一般的な物事の最終局面を表す際にも用いられます。ビジネスや日常生活で使えるオーラスの例文は、以下の通りです。
- プロジェクトのオーラスに向けて、全力を尽くそう
- 試験のオーラスに差し掛かる
また、ライブやコンサートにおけるオーラスは『最終日』を意味します。最終日にしかない演出が加えられることもあり、アーティストやファンにとって、特別な公演となる傾向にあります。
■開店から閉店までを指す「オープンラスト」
店舗の営業時間が長い飲食業・接客業・サービス業におけるオーラスは、『オープンラスト』の略語です。スタッフが開店から閉店までシフトに入ることを指します。勤務時間が長くなるケースが多く、体力的にも精神的にも負担が大きい働き方といえます。
キャバクラの場合は、キャストが開店から閉店まで働くことだけでなく、来店客が開店から閉店まで飲み続けることもオーラスといいます。以下が、『オーラス』を使用した例文です。
- 明日はオーラスで働くから、今日は早く寝て体力を蓄えておこう
- 昨日同僚とキャバクラに行って、オーラスで楽しんできたよ
どちらの例文でも、『開店から閉店まで』を表しています。
オーラスの類義語と対義語
二つの意味を持つオーラスを深く理解するために、類義語と対義語についても知っておきましょう。さまざまな場面で使える、オーラスの類義語と対義語について紹介します。
■オーラスの類義語
麻雀用語から生じ、ゲームや一般的な物事において使用されるオーラスの類義語は、『終局』や『大詰め』です。終局は物事の最終段階、大詰めは最後の重要な場面を指します。
コンサートやライブで使われるオーラスの類義語には、『最終日』や『千秋楽』が挙げられます。最終日はイベントやツアーの最後の日を指し、千秋楽は公演の締めくくりの日という意味です。
アルバイトなどのシフトにおけるオーラスの類義語は、『通し勤務』や『通しシフト』です。どちらも、8時間勤務もしくは開店から閉店まで、通しで勤務するシフトを指します。
■オーラスの対義語
オープンラストを省略したオーラスの対義語は、『開局』や『初っ端(しょっぱな)』などです。開局はゲームの開始、初っ端は物事の最初の部分を意味します。
コンサートやライブにおけるオーラスの対義語には、『初日』や『幕が開く』などが挙げられます。初日は公演の最初の日、幕が開くはイベントが始まるという意味です。
アルバイトなどの通し勤務を意味するオーラスの対義語は、終電に合わせて仕事を終える『終電上がり』や、昼間のみなど営業時間の真ん中に勤務する『中番シフト』が該当します。
オーラス以外にも麻雀由来の言葉がある
日常会話で使われる麻雀由来の言葉は、意外に多くあります。日常生活に溶け込んでいる、オーラス以外の麻雀由来の言葉を紹介します。
■可能性が残っていることを表す「ワンチャン」
近年、若者の間で多く使われるようになった『ワンチャン』も、麻雀が由来です。ワンチャンは、麻雀で比較的安全な守備を指す『ワンチャンス』という、麻雀用語の省略形です。
ワンチャンスは英語の『one chance』を語源としており、麻雀においては『一度のチャンス』という意味を持っています。しかし、日常会話でのワンチャンは、『もしかしたら』や『それもあり』という、広い意味で使われています。以下が、『ワンチャン』を使った例文です。
- ライブのオーラスで、スペシャルゲストがワンチャン来る
- カフェに行くのもいいけど、ファストフードもワンチャンある
一つ目の例文では『もしかしたら』、二つ目の例文では『ファストフードでもよい』という意味を表しています。
■動揺や焦りを意味する「テンパる」
動揺したときや焦ったときに使われる『テンパる』という言葉は、麻雀の『聴牌(テンパイ)』が語源です。麻雀の聴牌は、あと1牌で上がれる状態を指しており、緊張感や焦りが生じる状況です。
テンパるという言葉には、動揺や焦りの他にも、『慌てる』『いっぱいいっぱいになる』など、さまざまなニュアンスが含まれています。二つの例文を見てみましょう。
- 面接で緊張しすぎてテンパってしまい、思うように発言できなかった
- 急な予定変更にテンパる
■当たり障りのないことを指す「安牌」
一般用語としてよく使われている『安牌(あんぱい)』は、麻雀用語の『安全牌』の省略形です。安全牌とは、麻雀で捨てても相手にロンされない、安全な牌を指します。転じて、一般用語の安牌は、危険のない選択肢や、益にも害にもならない物事・人物を意味します。以下が、安牌を使用した例文です。
- 今回は挑戦せず、安牌なプランを採用しよう
- リーダー候補として、彼は安牌だ
どちらも、『安全』『当たり障りがない』という意味で使われています。
オーラスの意味は会話の内容で判断しよう
オーラスは麻雀用語のオールラストを語源としており、『物事の最終局面』『コンサートやライブの最終日』などの意味を持っています。オープンラストの省略形として使われるオーラスは、アルバイトなどのシフトで、開店から閉店まで勤務することです。
オーラスという言葉が会話で出た際は、文脈からどちらの意味で使われているのか判断しなければなりません。適切に理解するために、オーラスの正しい意味を知っておきましょう。
構成/編集部