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【NIKKIのKINIなる世界】来年でラジオ放送100周年!ラジオ・スターは不死身!

2024.06.26

 1981年の8月1日、『ラジオ・スターの悲劇』のメロディーとともにMTVがアメリカから爆誕しました。映像で楽しむFMラジオという斬新なアイデアは、その後のメディアカルチャーを激変させましたが、43年後の今ではラジオもMTVも斜陽メディアと呼ばれる状態に……(4年前にラジオパーソナリティーを務めることになった私に「すごいじゃん、絶対に聴くよ!……ところでラジオってどうやって聴くんだっけ?」と真剣に訪ねてきた友達は1人や2人じゃありません)。ラジオ離れや高齢化という課題を克服するため、日本では生き残りをかけた戦略が各局で行なわれていますが、世界規模で見ればラジオはまだまだ元気なんです!

 各国で相次ぐAM局の衰退に懸念の声も上がっていますが、ラジオは世界で最も広く利用され、最も信頼されているメディア媒体だと複数の調査で確認されています。アフリカでは総人口の6割以上が高速インターネットにアクセスできないため、多くの人にとってラジオは情報と娯楽のための大切な手段です。識字率が低かったり、情勢が不安定な地域では、家庭医療や教育など福祉的な役割も担い、人々の命を脅かすヘイトスピーチや混乱を煽りかねないフェイクニュースへの対策としても、ラジオの影響力は日本に住む私たちが想像する以上に大きいようです。国連も「誰も取り残さないメディア」としてラジオが社会的貢献を続けられるよう支援を行なっています。

ラジオ・スターは不死身!

 とはいっても、やっぱり新時代の寵児はポッドキャスト。あのピュリツァー賞が数年前に「音声報道部門」を新設して以来、報道系ポッドキャストへの注目がさらに高まっています。ノミネート作品の中には、何とカリフォルニアの刑務所から配信されているシリーズも! 収監者と市民ボランティアが共同制作する『Ear Hustle』は無期懲役囚などのインタビューや塀の中のリアルを赤裸々に紹介し、エピソードはすでに100以上。こんなふうに、従来メディアでは主体的に参加することが不可能だった人々が自分の言葉で語れるのもポッドキャストの魅力のひとつなのだと思います。正直、実際に聴いてみる前はちょっとだけ身構えていたんですが、笑いあり涙ありの本音トークに心も頭も刺激されまくりました。

 話をラジオに戻しますが、実は私が育ったニュージーランドは人口当たりの周波数が世界で最も多いラジオ大国! 人気の全国ネット放送局では、一般リスナーがMCと電話でディベートしたり、首相がスタジオで生放送インタビューに応じたりと、人々の関心に刺さる話題を飾り気のない臨場感の中で提供するのがNZラジオの大きな特徴です。ちなみに私の母校のオークランド大学キャンパスにも、60年代に海賊放送として始まった24時間放送のラジオ局があり、今でもアングラ音楽や気だるいトークが大学構内はもちろん、市内中に響き渡っています。

 日本はとうとう来年でラジオ放送100周年。次の100年もあらゆる人に寄り添うメディアでいられるのか。今がまさに正念場であり、腕の見せどころでもあるのです。

音声メディアで世界の声を聴くためのキーワード

『The Joe Rogan Experience』

現在世界で最も再生されているポッドキャスト。これまでコロナワクチンや気候変動の話題、差別発言などで炎上を重ねているが、Spotifyとの新契約は2億5000万ドル相当だとか。

『The Joe Rogan Experience』

『Deep Dive from The Japan Times』

国内大手英字新聞ジャパンタイムズのポッドキャスト。日本のニュースや文化、歴史などを国際的、かつユニークな切り口で深掘りしている。

『Tune In』

10万以上のラジオ放送やポッドキャストを無料で聴けるサービス。世界地図をスクロールしながらランダムに放送局をセレクトするだけで異国情緒が味わえそう。

文/キニマンス塚本ニキ

世界ではまだまだラジオは元気です

ラジオ・スターは不死身!キニマンス塚本ニキ
東京都生まれ。9歳まで日本で過ごし、その後15年間ニュージーランドで生活。通訳、翻訳、エッセイ執筆のほか、ラジオパーソナリティーやコメンテーターとしてメディアで活躍する。

撮影/干川 修 ヘア&メイク/高部友見 USA TODAY Sports/ロイター/アフロ、AFP/アフロ

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