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オランダ黄金時代の立役者、アムステルダム銀行が発展した必然的な理由

2024.06.23

金融経済アルキ帖「アムステルダムの時代」

アムステルダム銀行が発達したのには必然的な理由があります。

それまで、銀行ではなくヨーロッパには歴史に名を残すほどの莫大な財を築いた商業金融の証人一族がいました。たとえばフィレンツェのメディチ家は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。このメディチ家は14世紀後半からヨーロッパでも頭角を表していきます。その成長の基盤となったのが、ローマ教皇庁の外貨取引を担当して急成長・急拡大したことにあります。

当時のヨーロッパはさまざまな硬貨が流通しており、貿易や納税時の両替が大きなネックとなっていました。その役割を教皇庁に肩代わりしたのが、メディチ家なのです。

メディチ家による為替手形の仲介業務

メディチ家が特に注力した事業が「為替手形の仲介業務」でした。なぜ為替手形が必要だったのかというと、当時は現代のように交通網が整備されていないことが主な要因です。

たとえばフィレンツェ商人が海外で物を購入する際に、貨幣ではなく為替手形で支払うケースも多かったのです。この場合、為替手形の振出人はフィレンツェ商人、受取人は現地の商人が指定する第三者となる。つまり。この第三者が商人の代理人から代金に相当する額を支払うことになります。こうしたネットワークがヨーロッパ中に拡大していくことで、他の都市に住む債務者に債務を返済することが可能になるのです。

なにより為替手形によって、貨幣を運ぶリスクを避けられ、情報通の国際商人は交換比率を利用して利益を得ることも可能でした。

その一方、デメリットもありました。為替手形によって経済活動が活発になる反面、信用取引の割合が増えることは、ビジネスをする上での安全性の低下を意味します。

こうしたリスクをヘッジしたのが、アムステルダム銀行でした。

アムステルダム銀行の役割

1609年に設立されたアムステルダム銀行は、その後のヨーロッパ経済に大きな影響を与える存在となりました。この銀行の設立には、いくつかの重要な背景と理由があります。

まず、アムステルダムは17世紀初頭には既に重要な貿易都市となっており、多くの商人や金融業者が集まっていました。彼らの経済活動を支えるために、安定した通貨システムと信頼できる決済機関が求められていました。アムステルダム銀行はそのニーズに応える形で設立され、以下のような役割を果たしました。

【信頼性の高い通貨交換】

当時、ヨーロッパ各地で多種多様な硬貨が流通しており、それらの価値は一定ではありませんでした。アムステルダム銀行は、商人たちが異なる硬貨を持ち込むことができ、銀行がその硬貨を一定の価値で受け取ることで、商取引の安定化を図りました。これにより、商人たちは安心して取引を行うことができ、貿易の活発化に寄与しました。

【為替手形の決済機能】

メディチ家が行っていた為替手形の仲介業務を、アムステルダム銀行はさらに進化させました。同銀行は、商人たちが持ち込んだ為替手形を安全かつ効率的に決済する機能を提供しました。これにより、商人たちは貨幣を運ぶリスクを回避し、信用取引を円滑に行うことができました。

【預金と貸付業務】

アムステルダム銀行は、商人たちの預金を受け入れ、その資金を元に貸付業務も行いました。この預金と貸付業務により、商人たちは必要な資金を迅速に調達することができ、商取引を拡大させることができました。また銀行に預金することで、商人たちは安全に資金を保管できるというメリットもありました。

【信用の確立と経済の安定化】

アムステルダム銀行は、公的な信用を背景に運営されており、その信頼性は非常に高かったのです。この銀行を利用することで、商人たちは自分たちの信用を高め、より多くの取引を行うことができました。また、銀行が経済活動を支えることで、アムステルダムの経済全体が安定し、さらなる発展を遂げました。

これらの役割を果たしたアムステルダム銀行は磐石の地位を確立し、オランダの経済的繁栄を支える重要な基盤となりました。この銀行の成功は、他のヨーロッパ諸国にも影響を与え、銀行業の発展と経済のグローバル化を促進しました。

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