生成AI専用保険
4月に生成AI拡大の狼煙となった「ChatGPT」を擁するOpenAI社が東京都に世界3か所目となる拠点設立を発表した。政府は生成AIの標準化へ向けたギアを一段上げたが、急進する大企業に対し、〝活用イメージが湧かない〟〝事故が怖い〟など中小企業は様々な懸念を拭えずにいる。
この現状に、あいおいニッセイ同和損保が手を差し伸べる。生成AIのリスクを補償する『生成AI専用保険』を発売するのだ。
「1年かけ捨ての保険ですが、保険料は実質無料。国内企業アルカイック社が開発・構築する、オーダーメイドの生成AIシステム・サービス導入時の無料オプションとして提供します」(あいおいニッセイ同和損保・荒井さん)
保険適用となるリスクは生成物による知的財産権侵害、情報漏えい、不適切な表現による人格権侵害などの3つ。原因分析時の調査費用、法律相談費用などに対して、最大1000万円を補償する。
「事故を未然に防ぐための体制づくり、事故後の支援をパッケージしている点も大きな特徴です」(同)
現在までに生成AIの損害事例は耳にしない。見えない敵と戦う現状を抜け出すための検討材料としても、この商品は有用だ。
生成AIはクリエイターのためのツールだと考えるビジネスパーソンは多いが、まだ黎明期の技術だ。今後思わぬトラブルが発生するリスクに認識していくべきだ。
生成AI専用保険が掲げるサービスの3本柱
『生成AI専用保険』は生成AIの生成物によって生じた損害の補償だけにとどまらない。導入以前・以後の支援も行なうことで、生成AI普及ひいては社会貢献を目指す。
保険導入までの主なフロー
『生成AI専用保険』は、アルカイック社の生成AIシステム・サービスに付与した商品。保険料はアルカイック社が負担する。『生成AI専用保険』単体で契約は不可。
取材・文/渡辺和博