「本物の土鍋を使った炊飯器」はじつは凄い技術
土鍋が炊飯に向いている理由を説明したが、そもそも日本人の多くは「土鍋で炊くごはんが美味しい」という印象を持っているはずだ。しかし、いままでタイガー以外に土鍋を使った炊飯器はほとんど開発されていない。この理由は、土鍋というのは乾燥や焼成で10%近く縮むこともある生き物のような素材だからだ。炊飯器をはじめとする家電は精密機械なので、ミリ単位、0.1ミリ単位の正確な寸法精度が必要となる。この寸法精度をクリアでき、さらに量産技術をもったメーカーがそもそもほとんど存在しないのだ。土鍋ご泡火炊きの土鍋内釜を生産するミヤオカンパニーも、最初は規格外品のほうが多く生産されていたと当時の苦労を語る。
土鍋内鍋の製造工程。成形後に一度、釉薬塗布後に一度、発熱体シートを貼ったあとに一度の合計3回焼く工程がある。全行程あわせて内釜ができるまでに約3か月かかる
本物の土鍋を使った「土鍋ご泡火炊き」シリーズは、正直安い製品とはいえない。しかし、これだけの手間と時間をかけ、他にはない技術で作り上げた製品だと考えればコストがかかるのは当たり前ともいえる。ごはんは毎日食べる家庭も多い料理。一度JRX-G100を購入すれば、買い換えまで毎日安定して美味しいごはんが食べられると考えれば、意外とそこまで高価格な買い物ではないかもしれない。
取材・文/倉本 春