下半期トレンド予測関連の商品。さまざまなニーズが見て取れる
毎年恒例の@cosmeベストアワード2024「上半期新作ベストコスメ」と「2024下半期トレンド予測」が公開。円安や物価高の影響を強く受ける中、コスメに対するこだわりが色濃く表れる結果となった。
2024年下半期には何がトレンドになりそうか
常時変化する生活者のインサイトや美容トレンドを予測するべく発足された「@cosmeトレンド予測部」。「@cosme」に投稿されたクチコミや直営店舗での売り上げ等の分析、ユーザーアンケートといったデータを基に、これから「来る」トレンドをキーワード化している。
今回発表された2024年下半期トレンドキーワードは、
- 「おくち美活動」
- 「旅備コスメ」
- 「コンシーラー七変化」
- 「成分フリーpick」
- 「バリュパ消費」
の5つ。コロナ禍の自粛明けの影響や災害への意識、タイパ・コスパへの関心の高さなどが現れたキーワードが並んだ。
■おくち美活動
歯磨きなどの従来のケアに加え、審美の観点からも注目が集まるオーラルケア
マスクが手放せない生活だったここ数年、口臭・虫歯対策といったオーラルケアに関心が高まった。さらにマスクを外すようになったことで歯の白さや美しさへこだわる傾向が生じた。
@cosmeが実施したアンケートによると、オーラルケアに使用する商品アイテム数が増えた人は全体の約3割。歯や舌の色が気になるようになった人は45%を超えたという。
美容ブランドから歯の黄ばみをオフするシートや口腔洗浄器が登場、韓国で人気のオーラルケアブランド「VUSSEN」(ビュッセン)が日本での販売を開始するなど、さまざまなニーズに応える商品が販売され始めている。今後さらなる広まりを見せそうだ。
■旅備コスメ
ミニサイズ・オールインワン、ドライシャンプーやフェムケアアイテムなどを旅行鞄や防災リュックに
旅行に行く人がぐんと増え、観光地が大賑わいの2024年。そんなとき活躍するトラベルサイズのコスメがトレンドワードに。特筆すべきは「備え」という意味も含まれていること。
元日に能登半島地震が起こり、誰もが防災を意識した年始となった。そんな中、生活者は食料や水だけではなく、身の回りの清潔さや衛生に対する備えも必要だと感じている様子。備蓄としてコスメ・スキンケア用品を考える人が増えていくかもしれない。防災リュックの中身を見直してみては?
■コンシーラー七変化
用途も形態もここ数年で大きく変化しているコンシーラー
その名の通り、シミやクマなど気になる部分を隠すことが目的の化粧品であるコンシーラー。実は2000年代後半には女性の間でもそこまで馴染みのないアイテムだった。しかしここ数年で眉や涙袋に使用する、ハイライト代わりなど、従来とは違う用途で活躍中。
リキッドやパレットといった形態も多様化し、様々な悩み、目的に対応するようになっている。メンズメイクでもヒゲの剃り跡を隠したり、眉のハイライト代わりに使ったりなど、徐々に浸透しつつあるコンシーラー。さらなる活用法が今後誕生していくかもしれない。
■成分フリーpick
@cosmeリサーチプランナー西原羽衣子氏(左)・@cosmeTOKYOマネージャー中原絢子氏による解説
NSや、美容系YouTuberの登場に伴い、レチノールやビタミンCなど、成分を意識してスキンケア製品や化粧品を選ぶ生活者がここ数年で急増している。「成分を意識してスキンケア化粧品を選ぶことが増えた」と回答した人は、実に43%。半分近くを占める結果となった。
そんな風潮を受け、あえての特定の成分を避けたコスメに注目が集まりつつある。毛穴が詰まりにくいとされる酸化亜鉛フリー、肌荒れを避けるためのグリセリンフリーといった製品が登場し、時には完売が続出することも。
「何を必要としているのか」「肌をどうしたいのか」自分なりの基準を持って買い物をする人は今後も増えていきそうだ。
■バリュパ消費
高級だが高品質の「いいとこどり」アイテムや、優秀なメイクツールなどバリュパ消費となるアイテムたち
近年、タイパやコスパを意識した商品やサービスが次々と登場、大ヒットを飛ばしている。「バリュパ」(バリューパフォーマンス)とはいわばその進化形。多少時間やお金や手間がかかっても価値のあるものを手にしたいという、価値に重点を考え方だ。
Z世代にはMBTI診断、パーソナルカラーや骨格診断など、有料だったり時間がかかったりする「診断系コンテンツ」も人気。ものがあふれている現代ならではの価値観かもしれない。