LCC(格安航空会社)を利用した海外旅行、それも旅行代理店に頼らず自分自身でチケットを確保するスタイルの個人旅行は、初心者にはかなりハードルが高い。なぜなら、複数キャリアのチケットの料金を比較する作業が待っているからだ。
そこで広く利用されているのが「旅行予約アプリ」である。この記事ではTrip.comを例に取り、旅行予約アプリの利便性を伝えたいと思う。が、実は旅行予約アプリは「便利だからこそ」の落とし穴があり、数あるアプリの中でもTrip.comがそれをよく体現しているという事情もある。
そして、これを突き詰めていけば「LCCの落とし穴」につながっていく。
Trip.comなら複数社の料金比較も一目瞭然!
たとえば、東京からシンガポールへ行くとする。LCCを使ってできるだけ安く済ませたい、という場合はまずエアアジアの公式サイトもしくはアプリを立ち上げ、往路と復路の日時を入力してそれぞれの航空券料金をチェックする。次にスクートの公式サイトを開き、こちらでも往路と復路の日時を入力して航空券料金を……という具合にやると、手間と時間がかかる。
また、海外LCCの場合は「日本発行のクレジットカード」が使えないということがよくある。特にエアアジアのサイトを利用した人からそのような声が相次いでいるが、基本的にLCCはクレカ決済が基本。何かしらの理由でクレカが使えないとなると、その時点で購入を諦めるしかないのだ。
だが、Trip.comを使えばそれらの問題を一挙に解決できる。
「複数のLCCの料金比較」ということで言えば、上から最安値順にリストアップしてくれる機能があるため「このキャリアが一番安い」ということが一目で分かる。
「この日付ではエアアジアよりベトジェットエアのほうが安い」という検索結果だけでなく、複数のキャリアを利用した場合の最安値もピタリと表示する。LCCを使った海外旅行の場合、往路と復路で別のキャリアを利用したほうが結果的に安く上がるということがしばしばあるのだ。
そして、クレカ決済問題に関してもTrip.comで解決する場合が多い。全く同じ日付、全く同じキャリアのチケットも高額な手数料が発生せず、むしろTrip.comのほうが若干安くなっていることすらある。LCCの公式サイトやアプリでクレカが使えないという時、Trip.comを使えば今までの苦悩が嘘のように問題が解決してしまう。
それって受託手荷物込みの値段?
ここまではTrip.comを絶賛しているかのような内容だが、実はこのあたりに「罠」が含まれている。
上述の「最安値順のリストアップ」は、あくまでも「受託手荷物なしの場合の最安値」に基づいていることを忘れてはいけない。そして恐るべきことに、Trip.comの最安値検索を使って吟味した末に購入した航空券が、実は最安値ではなかったということがあり得る。
LCCの傾向として、受託手荷物分の料金がやや割高というものがある。つまり航空券+受託手荷物料金の総額がレガシーキャリアのそれよりも高かった……という現象が多々見受けられるのだ。
それを回避する方法は、「絞り込み」から「無料の受託手荷物枠あり」にチェックを入れること。すると、文言通り受託手荷物を含めた値段の航空券だけを表示してくれる。そして、この時点で多くの人(特に海外旅行初心者)は愕然とするだろう。LCCとレガシーキャリアの価格差は、決して大きなものではないのだ。日によってはレガシーキャリアのほうが安くなっていることも。
Trip.com、そして旅行予約アプリはそのような「LCCの落とし穴」を図らずも世に示している。
レガシーキャリアの「質の良さ」
レガシーキャリアの利点は、やはり「フルサービス」という点に他ならない。
座席にモニターがあり、その傍らに充電のできるUSBポートが付属し、機内食も出る。特に機内食は、LCCで頼むと別途料金が発生する。これは決して笑い飛ばすことのできない値段で、経験を積んだ貧乏旅行者の間では「LCCに乗る前に必ず腹ごしらえ」が常識になっている。が、もちろんレガシーキャリアの旅客機に搭乗する分には空腹の心配は不要。
より広域的な視点で見た場合、レガシーキャリアはLCCを大きく突き放す「質の良さ」を含んでいるのだ。これはTrip.comを始めとした旅行予約アプリを操作するだけでは見えない部分でもある。
LCCの「逆転現象」
LCCという形態が日本に上陸した当時(10年以上前のことだが)、多くの旅行メディアは「空の価格破壊」というトーンでこれをセンセーショナル気味に報道していた。近いうちに世界の空はLCCが席巻し、レガシーキャリアは苦戦を強いられるか、そうでなければ金持ち専用キャリアになるのではないか――。
期待と憂いが混ざったその観測は、だいぶ大きく外れた。基本料金の安さと引き換えに様々なサービスをオプション制にした結果、快適な移動を求めた場合はむしろ高くつくという逆転現象が起こってしまったのだ。
「LCCは安い」というイメージは、ここで一度捨てるべきだろう。
それを踏まえた上で旅行予約アプリを使うと、にわかに信じがたい低料金のレガシーキャリアの航空券が見つかるかもしれない。
取材・文/澤田真一