マクニカは、サーキュラー蓄電ソリューションとともに家庭用鉛蓄電池システム「soldam(ソルダム)」を開発し、試作品が完成したことを発表した。なお、販売については、2024年秋を目処に受注開始を予定しているとしている。
一般的なリチウムイオン蓄電池に比べて約3分の1の価格ながら、同程度の蓄電容量と耐久年数を実現!
■家庭で発電した太陽光エネルギーを無駄なく使うために必須の蓄電池。注目が集まる今、一般家庭での導入にはハードルも
2050年のカーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギー拡大の動きに加えて、大規模地震・台風などの自然災害、値上がりし続ける電気代への対策などから、蓄電池への注目が高まっている。例えば東京都では、「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」の一環として、「家庭における蓄電池導入促進事業」を推進し、蓄電池システムの設置にかかる費用の助成を行なうなどの取り組みが始まっている。
また、2019年以降、電力会社による自家発電電力の固定価格買取が順次満了する、いわゆる「卒FIT※」を迎えた家庭において、発電したエネルギーを売るのではなく貯めて使うという選択をした場合、蓄電池は必須アイテムとなる。しかしながら、これまでの蓄電池はコストが高く、また安全性の面から、設置場所を選ぶなどの課題があった。
■安い・安全・長持ち・ほぼ100%リサイクル可能な家庭用鉛蓄電池システム「soldam」
そこで、マクニカとサーキュラー蓄電ソリューションは「soldam」を開発。「soldam」は、1個1.2kWhの鉛蓄電池を6個組み合わせた7.2kWhの鉛蓄電池システムで、一般的なリチウムイオン蓄電池に比べて約3分の1の価格ながら、同程度の蓄電容量と耐久年数を実現する。
また、鉛は素材としての安全性が高く、室外に設置しても安心して利用できる。さらに、これまでの蓄電池は、材料のリサイクルが困難なケースが多く、リサイクルが難しいという課題があったが、鉛は品質をそのままにほぼ100%リサイクルすることが可能。寿命を迎え交換が必要となった鉛蓄電池は、適切な処理でリサイクルを行なうことで再生鉛を活用した蓄電池として再利用ができる。
■マクニカオリジナルのエネルギー管理システムによりさらなる持続性向上へ
蓄電池は、常に同じ量で充電及び放電を行なう必要があり、これに偏りが発生すると消耗を早める原因となる。「soldam」では、マクニカが提供するエネルギー管理システム「Kisense(キーセンス)」の実装により、鉛蓄電池が常に均一的に放電及び充電を行なっている状態を監視することができるので、適切な時期に蓄電ユニットの交換することが可能だ。
↑鉛蓄電システムのリサイクルと、太陽光発電システム・エネルギー管理システムとの連携のイメージ
※卒FIT:再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度(=FIT制度)が、2019年以降、満了していくこと。
関連情報
https://www.macnica.co.jp/business/energy/products/145349/
構成/立原尚子