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今秋登場するApple独自の生成AI「Apple Intelligence」でどんなことができるようになる?

2024.06.16

Appleは、開発者向けイベント「WWDC 2024」にて、独自の生成AI「Apple Intelligence」を発表した。

「メール」や「メモ」などのアプリで文章の書き直し、校正、要約が可能に!

Apple Intelligenceは、「生成モデルのパワーと個人的な背景を組み合わせて驚くほど有用で関連性のあるインテリジェンスを提供する、iPhone、iPad、Macのためのパーソナルインテリジェンスシステム」と謳うApple独自の生成AI。

Appleでは、その性能について、「Appleシリコンのパワーを活用して、言語や画像を理解して生成したり、複数のアプリにわたってアクションを実行したり、個人的な背景にもとづいて、日々のタスクをシンプルにしてよりすばやくこなせるようにする」と説明。

また、「Private Cloud Computeにより、AppleはAIにおけるプライバシーの新しい基準を打ち立てる」とし、「デバイス上の処理から、専用のAppleシリコン搭載のサーバ上で実行する、より大規模なサーバベースのモデルまで、演算能力を柔軟に拡張できるようになる」とアピールしている。

なお、Apple Intelligenceは、今年の秋に「iOS 18」「iPadOS 18」「macOS Sequoia」の一部としてベータ版が英語(米国)で利用可能になる。なお、一部の機能、ソフトウェアプラットフォーム、追加言語は来年中に公開される予定とのこと。また、対応デバイスは「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」およびM1以降を搭載した「iPad」「Mac」で、Siriとデバイスの言語を英語(米国)に設定している場合に利用できるようになるとのことだ。

■テキストの書き直しや校正、要約が可能

iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaにわたってシステム全体に組み込まれたまったく新しい記述ツールにより、ユーザーは、メール、メモ、Pages、他社製アプリなど、ほとんどすべての書く場面で、文章の書き直し、校正、要約が可能となる。

具体的には、「書き直し」を使うと、「Apple Intelligence」によってユーザーは自分が書いた文章の様々なバージョンから選ぶことができ、読者や作業中のタスクに合わせて表現方法を調整できる。

「校正」では、文法、言葉の選択、文の構造をチェックするほか、編集候補をその説明とともに提案し、「要約」を使うと、ユーザーはテキストを選択して、それを読みやすい段落、箇条書き、表、リストなどの形にまとめることができる。

「メール」アプリでは、優先メッセージとして、当日のディナーの招待や搭乗券など、最も緊急性の高いEメールを表示。また、受信ボックス全体で、メッセージを開くことなく、各Eメールの最初の数行のプレビューの代わりに要約を確認できるほか、長いスレッドの場合は、ユーザーはタップするだけで関連する詳細を表示可能。スマートリプライでは、すばやく返信するための提案を提供するほか、Eメール内の質問を特定して、すべてに確実に回答できるようにする。

通知にもAIが活用され、「優先通知」では最も重要なことを知らせ、「要約」ではロック画面に重要な詳細情報を表示。新しい集中モード「じゃま低減」では、保育園からの早めの迎えに関するテキストなど、すぐに確認する必要がある通知のみを表示する。

「メモ」アプリと「電話」アプリでは、ユーザーは音声の録音、書き起こし、要約が可能に。通話中に録音が開始されると、参加者に自動的に通知が届き、通話が終了すると、重要なポイントを思い出せるようにApple Intelligenceが要約を生成する。

■数秒で楽しい画像を作成できる機能も搭載

「Image Playground」により、ユーザーは、アニメーション、イラスト、スケッチの3つのスタイルから選んで、数秒で楽しい画像を作成できる。Image Playgroundはメッセージなどのアプリに直接組み込まれており、画像はすべてデバイス上で作成されるので、ユーザーは自由に好きなだけ多くの画像を作成してみることができる。

また、Image Playgroundでは、ユーザーはテーマ、コスチューム、アクセサリ、場所などのカテゴリから様々なコンセプトを選択可能。画像を定義する説明を入力し、自分の写真ライブラリから画像に含める人物を選んで、好きなスタイルを選べる。

例えば、「メッセージ」では、Image Playgroundを使って、友人に送るための楽しい画像をすばやく作成できるほか、会話に関連するコンセプトのパーソナライズされた提案も見ることが可能。「メモ」では、ユーザーはApple Pencilのツールパレット内の新しいImage Wandを通じてImage Playgroundにアクセスでき、メモをさらに視覚的に魅力的なものにすることができる。

なお、Image Playgroundは、Keynote、フリーボード、Pagesなどのアプリや、新しいImage Playground APIを採用している他社製アプリでも利用可能だ。

このほか、自分を表現するためにオリジナルの「Genmoji」を作成することも可能で、説明を入力するだけで、追加のオプションと一緒にGenmojiが表示され、絵文字と同様に、Genmojiをメッセージの文中に追加したり、Tapbackでステッカーやリアクションとして共有したりすることができる。写真をもとにして、友人や家族のGenmojiを作成することも可能だ。

■写真とビデオの検索もより便利に

Apple Intelligenceで、写真とビデオの検索もより一層便利になる。特定の写真の検索に「マヤが絞り染めTシャツを着てスケートボードをしている」や「顔にステッカーが付いているケイティ」といった自然な言語を使用できるほか、ビデオの検索も、クリップの特定の瞬間を見つける機能でさらにパワフルになり、ユーザーは関連するセグメントに直接移動が可能。さらに、被写体を誤って改変することなく、写真の背景にある不要な対象物を特定して削除できる、新しいクリーンアップツールも用意する。

メモリーでは、Apple Intelligenceがユーザーの説明にもとづいて最高の写真とビデオを選び、ストーリーラインを作成して、それらすべてを流れのある物語のムービーに仕上げることができる。また、思い出に合う楽曲の候補をApple Musicから提案してもらうことも可能だ。

■Siriの性能も大幅に向上

Apple Intelligenceのパワーにより、Siriはより豊かな言語理解の能力を装備。しかも、タイプ入力にも対応し、その時々に合う方法でテキストと声を切り替えてSiriとやり取りすることが可能だ。

また、画面認識により、Siriは時間が経つにつれて、より多くのアプリでユーザーのコンテンツを理解し、アクションを実行できるようになる。例えば、友人がメッセージで新しい住所を送ってきた場合、受信者が「この住所を彼の連絡先カードに追加して」と言うことで、Siriがそれを実行してくれる。

さらに、Siriは、ユーザーおよびデバイス上の情報に合わせた知能を提供できるようになる。例えば、ユーザーが「ジェイミーがすすめてくれたポッドキャストを再生して」と言えば、メッセージとEメールのどちらに書かれていたかを思い出さなくても、Siriがそのエピソードを探して再生してくれる。

■AIにおけるプライバシーの新しい基準

Apple Intelligenceは個人的な背景を深く理解すると同時に、ユーザーのプライバシーも保護する。Apple Intelligenceの基礎はデバイス上の処理で、それを動かすモデルの多くは完全にデバイス上で実行される。より多くの処理能力を必要とする、より複雑なリクエストを実行する場合は、Private Cloud ComputeがApple製デバイスのプライバシーとセキュリティをクラウドにまで拡大し、より優れたインテリジェンスを活用できるようにする。

また、Private Cloud Computeにより、Apple Intelligenceは演算能力を柔軟に拡張でき、より複雑なリクエストには、より大規模なサーバベースモデルを利用できる。これらのモデルはAppleシリコンを搭載したサーバ上で実行され、基盤を作ることで、Appleはデータが保持されたり、露呈されないようにする。

さらに、独立した専門家がAppleシリコン搭載のサーバ上で実行されるコードを調べてプライバシーが保護されているかを検証できるほか、Private Cloud Computeの暗号化により、ソフトウェアのログが調査のために公開されていない限り、iPhone、iPad、Macがサーバと通信できないようになっている。

■Appleのプラットフォーム全体にChatGPTを統合

Appleは、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoia内での体験にChatGPTへのアクセスを統合し、ユーザーがツールの間を行ったり来たりしなくても、ChatGPTの専門知識や画像と文書を理解する機能にアクセスできるようにしている。

SiriはChatGPTの専門知識が役立つ場合にChatGPTを活用することが可能で、ユーザーが許可を与えると、SiriはChatGPTの広範な知識を利用して、直接回答を提示できる、

さらに、ChatGPTはAppleのシステム全体に組み込まれた記述ツールで使用でき、ユーザーが書いているあらゆる内容のためのコンテンツの生成に役立つ。「作成」では、ユーザーはChatGPTの画像ツールにもアクセスでき、書いているものを補完する画像を多様なスタイルで生成できる。

ChatGPTにアクセスするユーザーのためにプライバシー保護が組み込まれており、ユーザーのIPアドレスは匿名化され、OpenAIはリクエストを保存しない。自分のアカウントとの連携を選択したユーザーには、ChatGPTのデータ利用に関するポリシーが適用される。

なお、ChatGPTは、年内にiOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaで利用できるようになるとのこと(GPT-4oモデル)。ユーザーはアカウントを作成しなくても無料でChatGPTにアクセスでき、ChatGPTのサブスクリプション登録者は、自分のアカウントに連携することで、有料機能に直接アクセスすることが可能だ。

関連情報
https://www.apple.com/jp/

構成/立原尚子

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